上 下
105 / 136
第2部

フェーズ8-6

しおりを挟む
 頻度が増えた。今までは基本的にコンドームがあるベッドでしていたのが、つけなくていいとなればベッド以外のどこでもできてしまうから。くつろぎ中のリビングのソファでも、誘われて一緒に入ったお風呂でも。料理を作ってる最中のキッチンで、帰宅したばかりの涼に立ったまま襲われることもある。最初は私にそんなつもりはなくても、いろいろ触られているうちにすぐに気分が盛り上がってしまうから拒めたためしがない。
 一緒に住み始めたばかりの毎日していた頃を思い出す。ただ今はマッサージやキスのような感覚で気軽にすることが多い。手を抜かれると嫌だが、平日ならある程度は仕方がない。時間をかけてちゃんと丁寧にしてくれる日もあるからいい。それは主に休みの前日だ。
 胸からお腹、そして下腹部へとキスが降りていく間に、私は言った。
「涼も見ていいよ?」
 涼が動きを止めて私を見た。
「何を?」
 訊き返されると困ってしまう。でもこれだけ言ってもわからないよね。
「中……」
 恥ずかしいから小声になって答えると、理解したらしい涼の口元が緩んだ。ピルを処方してもらったと伝えたときよりも、あからさまにうれしそう。
「いいのか?」
「婦人科の先生には診てもらったから……」
 それなのに涼に見せないのは変だな、って。病院での診察前はすごく緊張して怖くて、専門外でもまずは涼に診てもらえばよかったと後悔した。
「男の医者だった?」
「うん。四十歳くらいの」
 うわ、複雑そうな顔してる。嫉妬は少なからずしているのかもしれないけど、嫉妬するようなことではないし、しても仕方がないとわかってるからだろう。当然、怒るわけにもいかない。そもそも怒る相手がいない。私も婦人科の先生も悪くない。
「じゃあ、見ようか」
「え?」
 涼がベッドから降りて机の引き出しを開けた。そして手にしたのは、例の器械、つまり腟鏡だった。
「なんでもう持ってるの!?」
 てっきり「じゃあ用意しておく」の流れになると思った。その間に心の準備をするつもりだった。
「この話したの、だいぶ前だろ。そのうち彩の気が変わるかもと思って、用意しておいた。時間経ちすぎてすっかり忘れてたけど」
 引き出しを閉めて涼がベッドに戻ってきた。
「前の彼女に使ったわけじゃないよね?」
「まさか。新品だよ。プライベートで見るのは初めてだし」
 ということは仕事ではそれを使って診察をしたことがあるんだ。研修医時代だろうか。
「その前に俺、お前が初めてだし」
 私は冷めた目で涼を見た。その信ぴょう性ゼロな謎の初めてだったアピールはなんなの。しかも毎回、思い出したようにつけ足して。
 透明なビニール袋から腟鏡が取り出された。アヒルのくちばしのような形をしている。これで中を広げて奥まで見えるようにするんだ。婦人科での内診でも使われたはずだけど、カーテンで仕切られていたから見るのは初めてだ。思っていたよりも大きい。だいたいの医療器具と同様にステンレス製だと思っていた。涼が持っているのは透明なプラスチック製だ。
 涼が私の腰の下に枕を入れた。腰が浮き上がり、涼にとって見やすい格好になる。
「本当にいいのか?」
 ドキドキはしてるけど、病院のような怖さはない。ただ、すごく恥ずかしい。でも涼ならいい。
「見て……」
 涼にはさらけ出してもいい。何をされてもいい。
「彩……それ、かわいすぎ」
 パンツをするすると脱がされ、脚を広げられた。見られている様を見るのが恥ずかしくて、私は両手で目隠しをした。何をされているか見えないという点では内診のときと同じだ。
「痛かったら言えよ」
「うん」
 ゆっくりと器械が入ってくる。痛みはない。プラスチック製だからそんなに冷たくもない。やがて広げられる感覚がした。無意識に中が反応してしまう。
「めちゃくちゃきれい。やらしい気持ちなんか吹っ飛ぶ」
 喋ると涼の吐息がそこにかかる。目隠しをしていても至近距離で見られてるのがわかる。それに、ステンレスではなく透明ということは、隠れる部分がなくて全部丸見えになってるのでは。
「女の、というより人間の神秘だ」
 感動されている。涼が前に診た人も造りは一緒でしょうに。
「これは、婦人科の先生の反応が気になるな」
「何言ってるの……。涼と一緒で診療中はそんな気にはならないでしょ。それに見慣れてるんだからなんとも思わないよ」
「って言ったって、十八歳でかわいくてこんなに中もきれいなんだからさ」
 中を褒められたことよりも、「かわいい」と言われたことのほうがこそばゆい。
「処女のときにも見ておけばよかった」
「痛いよ」
「処女用の小さいサイズもあるから大丈夫」
 なんでも知ってるんだね。
「あそこ舐めたい」
「どこ……」
 手を放してちらりと見る。いやらしすぎてやっぱり無理だった。
「一番奥。子宮の入口。でも舌も指も届かないからな。こいつじゃないと」
 さっき「やらしい気持ちなんか吹っ飛ぶ」って言ってなかった?
 器械が抜かれた。
「もういいの?」
「こっち入れたくなった」
 服を脱ぎながら涼が言った。そこはすでに張り詰めていて準備万端になっていた。
「一番奥に届くおもちゃ買っていい? また透明なやつ」
 なにそれ。わけのわからないものをまた勝手に買われるのは困る。
「ダメ」
「やっぱり生身のこっちのほうがいいか」
 薄笑いを浮かべながら、涼が入ってきた。
 終わった後にもう一度器械を挿入された。出された直後、まだ中に残っている自分が放ったものを見て、涼は「この世で一番エロい」と悦んでいた。変態だ。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

My Doctor

west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生 病気系ですので、苦手な方は引き返してください。 初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです! 主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな) 妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ) 医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

処理中です...