上 下
19 / 24

第19話 悪いニュースもあればいいニュースもあります

しおりを挟む
石嶺家のある土曜の朝…
つぼみ「ちち~!はは~!おはよ~!」
コテツ「おはよう!ところで急にオレたちのことを”父”、”母”って呼んでどうしたんだ?いつもは”お父さん”、”お母さん”って呼んでるのに…」
ダイゴ「それはこれが関係してるんじゃね?オレの部屋から勝手に持ってきたみたいだ…」
ダイゴが手に取ったのは自信が所有していたス〇イファミリーのコミックス。
コテツ「あ~!どっかで聞き覚えあると思ったらマンガのキャラの口まねか!子供の頃はマネしたがるもんだからな~」
「ただの口まねじゃないわ…」
ダイゴ「どうしたんですかケイコさん改まって…まさかこの状況をよく思ってないとか?」

「…そんなことないわ…実は黙ってたけどつい先日…つぼみちゃんが実写映画版〇パイファミリーでアー〇ャ役を担当することに決まったのよ!」
ダイゴ「マジかよ!実写化の話なんてウワサにもなかったのに!」
コテツ「それでその喋り方だったのか!まず形からってやつだな!…ちなみに他に誰が出るんだ?」
「え~と…みりあちゃんがベ〇キー役で、タケルくんがダ〇アン役で…他にもモブ役とかでパチパチプロの子たちいっぱい出る予定よ!でもまだ撮影も始まってないから情報漏らしちゃダメよ?」
ダイゴ「よっぽど秘密裏に計画進めてたんだな…つぼみちゃん!頑張れよ!実写化というのは常に批判との戦いだが、つぼみちゃんにはそれを覆すパワーがあると俺は信じている!去年出たWebドラマ版デ・〇・キ〇ラットのぷ〇こ役だって配信始まれば圧倒的に称賛の嵐だったじゃないか!始まる前は半信半疑で見ていた親父だって”この子はやる子や…”って感動してたぞ!つぼみちゃんには不安を払拭する力がある!だから頑張れ!」
「うん!頑張る!」
ダイゴ「おいおい、そこは”がんばるます”だろ?」
「はい!がんばるます!!」

プルルル…
ケイコ「あっ、電話…私のスマホだ…もしもし?あ、北見さんおはようございます!」
北見さんとはつぼみのマネージャー(男性)である。
「土曜の朝早くに失礼します…実は電話口ではお話しできないことなのですが、いいニュースと悪いニュースがありまして…この後つぼみちゃんと一緒に事務所に来ていただけますか?」
「はい!わかりました!」
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
「…つぼみちゃん、北見さんからいいニュースと悪いニュースがあるから事務所に来てほしいって…」
「悪いニュース…もしかしてまた”アレ”かな…」
つぼみな何か悪い予感がしているような表情を浮かべていた。それを見たダイゴは居ても立っても居られない表情でケイコにお願いした。
「ケイコさん!オレも行きます!いいニュースはあるけど悪いニュースもあるんでしょ!?つぼみちゃんがもし悲しい思いをしたらオレが兄としてそばにいてあげたいんだ!!」
「わかったわ…お願いねお兄ちゃん!」
コテツ「オレは仕事の資料を作らなきゃなんないから留守番してるよ!任せたぜダイゴ!」

そして午前10時前。つぼみ・ケイコ・ダイゴはパチパチプロに到着後、ロビーで待っていた北見さんに連れられ、厳重にガードされた会議室へ。
北見「休みの日の朝早く来てくださりありがとうございます…では本題に入りますがつぼみちゃん、いいニュースと悪いニュース、どっちから聞きたいですか?」
「どっちからって聞かれても…」
ケイコ「つぼみちゃん、こういう時は悪い方から聞いたほうがいいものなのよ。」
ダイゴ「どっちみち悪い方は必ず聞くことになるんだ!悪いニュースを先に聞いておけばショックになってもいいニュースが残ってると思えば少しは気が楽だろ?」
「うん…それじゃあ悪い方からお願いします…」

「了解しました…悪いニュースですが、こないだ決定したばかりだった実写版〇パイファミリーの話はナシになってしまいました!」
つぼみ「あ~…予感はしてたけどやっぱりこれか~…」
ダイゴ「つぼみちゃんは予感はしてたって言ってましたけど、理由は何ですか?まさか実写化をよしとしない勢力の圧力があったとか…」
北見「イヤイヤ圧力なんかはないよ!映画のスポンサーの関係で出れなくなっちゃったんだ。この世界ではよくあることだよ!」
「せっかく頑張って〇ーニャの喋り方れんしゅうしてたのに…」
ケイコ「つぼみちゃんも今までこういうこと何回も経験してきたけど、今回はオファーが嬉しかっただけにショックも大きいようね…」
ダイゴ「ほらほら、いつまでも落ち込んでちゃかわいいつぼみちゃんが台無しだぜ!ほら!まだいいニュースが残ってるじゃないか!!」
「あっ!そうだった!いいニュースって何ですか?」
「つぼみちゃんはアニメ映画界の巨匠、高津サンジロウ監督率いるスタジオカリフを知っているかい?」
「はい!つぼみもカリフの映画見たことあるよ!」
「実は高津監督から秋に公開される短編映画集のうちの1本の声優につぼみちゃんをぜひ起用したいという直々のオファーがあったんだ!つぼみちゃん、やってみるかい?」
ダイゴ「すごいじゃんつぼみちゃん!世界の高津監督直々のオファーだぜ!」
ケイコ「つぼみちゃんの返事次第だけど…どうするの?」
「声優…声のお仕事…前も楽しかった…はい!お願いします!」

帰宅後…
コテツ「スパイファ〇リーの話はナシになったが、高津監督の映画の声優か!しかも直々のオファーってすごいな!」
ダイゴ「つぼみちゃん、今までナレーションとかTVアニメでの声優はやってたけど映画の声優は初めてだもんな!」
つぼみ「うん!声のお仕事は実写とは違った楽しさがあって好きだし、ずっと映画の声優もやってみたかったからうれしい!つぼみ頑張る!」
ケイコ「頑張ってね!家族みんなで応援だ~!」
楽しみにしていた仕事はなくなったけど、もうひとつの夢をかなえたつぼみちゃん。
でもしっかりやり遂げるまでが夢への道だ!頑張れ!
ちなみに実写版スパイファミ〇ーだが、みりあやタケルもスポンサーの関係で出れなくなってしまうのだがそれはまた別の話…
しおりを挟む

処理中です...