リョーマ伝~幼稚園編~

一刀星リョーマ

文字の大きさ
17 / 18

記録ノ17 将来の夢:ネプチューンオオカブト

しおりを挟む
そう園を数か月後に控えたある日、僕は先生に突然こんなことを聞かれた。
「リョーマくんの将来の夢は?」
そして僕はこう答えた。
「ネプチューンオオカブト」と。

幼児期なら将来の夢にアニメのキャラとかの実現不可能な夢をあげるのも無理はない。
しかしなぜネプチューンオオカブトなのか?
この背景には当時の子供文化を席捲していたあの社会現象が存在する。
そう、ムシキングブームである。

ご存じのない方に説明すると、甲虫王者ムシキングはカブトムシやクワガタのカードを使って戦うアーケードカードゲーム。子供たちになじみのあるムシというテーマとじゃんけんをベースにしたシンプルかつ分かりやすいシステムが受け、ファミリー向けのゲーセンに置かれていないところはないと言われるほどの大ブームとなり、今日まで続くキッズアーケードカードゲームのパイオニアというべき存在だ。
僕も当時、休みの日になれば毎週のようにショッピングセンターのゲーセンに行き、はまったものだ。

そしてネプチューンオオカブトもこのゲームに登場する。
ネプチューンオオカブト自体は全ムシ好き少年のあこがれであるあのヘルクレスオオカブトに次いで世界に2番目に大きいカブトムシだ。
しかしゲームのネプチューンオオカブトはちょいレアキラカードであるが特別強いわけではない。
よく出る小型甲虫よりちょっと能力が高いぐらいであった(といってもムシキングはカスタマイズ次第でどんなムシも強くなるし、通常パラメーターの低い小型甲虫には究極技が使えるなどのそれなりのメリットがあり、中~大型甲虫には能力が高いかわりに究極技が使えないなどのデメリットが存在するのだが)

ではなぜネプチューンオオカブトと答えたのか?
それは僕の持ってたカードの中で数少ないキラカードだったからである。
レアじゃない小型甲虫ばっかり引き当ててた僕にとって、クラスに割といたヘルクレスとかのレアカード(彼らも自力で引き当てたとかではなく中古で買ったとかの可能性もあるが)持ってたヤツがうらやましくて仕方なかった。
そんな中引き当てた数少ないキラカードがこのネプチューンオオカブトというワケだ(あとモーレンカンプオオカブトものちに引き当てた。こちらもちょいレアレベルだ)。

とりあえず自信満々にネプチューンオオカブトと答えた僕。しかし僕はこの時しらなかった。
この将来の夢が一生残る卒園アルバムに刻まれることを…

そう、先生はあの時教えてくれなかったがこの将来の夢は卒園アルバムの自分の写真の下部に自分の名前とともに記されるのだ。
じつは僕だけでなくほかの男子たちにも将来の夢にムシを挙げた者は少なからずいた。それだけムシキングの影響力がすごかったということであろう。
しかし彼らがヘルクレスだのリッキーブルーだのという強いムシの名をあげているのに対し僕の”ネプチューンオオカブト”は浮いてしまった感がある(ちなみに小型甲虫であるオオクワガタを挙げている子もいた)。
そして僕は小学校入学後、クラスメイトから「将来の夢にネプチューンオオカブトと答えた男」してネタにされ続け、運命に翻弄されることとなるのだがそれはまた別の話…

しかしあの頃の自分たちは本気でムシになりたいと思ってたのだろうか?万が一ムシになった際のデメリットを考えていたのであろうか(喋れないとか)?
それはネプチューンオオカブトと答えた僕にも正直わからない。でもあの時の僕らは強いものへの憧れがあったのは間違いない。
もしかしたらゲームのムシみたいに強くなりたいという意味だったのだろう。ゲームの中の強いムシたちはヒーローだったから。

…長く綴ってきた僕の幼稚園時代の記録も、次で最後の1ページが埋まる。
さて最後は何を話そうか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり
エッセイ・ノンフィクション
〔あらすじ〕📝初めて🐶保護犬ちゃんを迎え入れる我が家。 過去の哀しい実情のせいで人間不信で怯える保護犬きーちゃん。 初日から試行錯誤の日々と保護犬きーちゃんがもたらす至福の日々。 ◇ 🔶保護犬ちゃん達の過去・現在の実情の記述もあります🐾 🔶日々の些細な出来事を綴っています。現在進行形のお話となります🐾 🔶🐶挿絵画像入りです。 🔶拙いエッセイにもかかわらず、HOTランキングに入れて頂き(2025.7.1、最高位31位)ありがとうございます🙇‍♀️

島猫たちのエピソード2025

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。 でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。 もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...