レイヤリオンハルカ!

一刀星リョーマ

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第5話 フェアリーゆあを救え!!

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「あ~今月の小遣い残り300円か~これじゃあ今度の土曜にショータたちとショッピングモールまで遊びに行けないよ~!」
こんにちは、浦山ハルカの弟の浦山ゆあです。ごらんのとおりただいま金欠です。だいたい今時なんでも高けぇんだからすぐ金はなくなっちゃうんだよ…自慢じゃないけど我が家は父ちゃんがライターやってて、母ちゃんはイラストレーターっていう特殊な職業だけれどそこそこ儲かってるから普通の家よりちょこっと金はあるほうだけれど…それでもコスプレの衣装代とかは結構金かかるから嘆いてるのよ母ちゃん…嘆きたいのはこっちも同じさ…物価高騰に泣いてるのはサラリーマンや主婦だけじゃねえ!子供オレたちだって漫画とかゲームとかカードとかホビーとかいろいろ高くなって困ってんの!!株価上げるより給料上げろ!!そして小遣い上げろ!!これがオレたち子供の切実なる願いだ!!!
…だけどそんなオレにも”救世主”がいる!!
「ゆあく~ん、小遣いでお困りのようだね?」
「姉ちゃん!?突然入ってきて…」
…きました!我が救世主!!その名は浦山ハルカ!!!我が姉!!!!
姉ちゃんはオレより年上だから小遣い多めにもらってるし、レイヤーとしてWebとか雑誌とかの給料発生する撮影の仕事もちょくちょく入ってるからそういうのがあった時は小遣いに一部上乗せしてくれてるみたいで最近結構そういう撮影多かったから潤ってるみたいだから余裕あるのよ…ソロでの撮影の申し出とかめったにないオレとは大違いさ。で、こうして時々オレの助け舟となってくれるワケ。”条件付き”だけどな…
「そうかそうか…遊ぶ金が足りへんのか~ならば…やるかい?アルバイト!!」
「(あ~きっとまた”アレ”なんだろうな…だが今は金のほうが大事だ!)…やるよ…」
「よ~しきたきた!じゃ、早速姉ちゃんの部屋に行こうか!!」
姉ちゃんには感謝してるよ。こうやって恩恵がオレにもめぐってくるしさ…でもこれはリスクと隣り合わせなんだよな…え、リスクってなにかって?それは…

「さ、まずはお肌を整えていきましょ~♪」
姉ちゃんの部屋に入ったオレはただ言われるがままにされていく…自分の肌より少し明るいリキッドファンデーションを塗られ、今回はどんな感じにさせられるだろうと不安と恥ずかしさでいっぱいになり、顔が熱くなってファンデーションのひんやりとした感覚は一切感じられなくなる。鏡もみせてくれないから自分の顔がどうなってるかはわからない。
…おわかりだろうが要するにリスクとは女装させられるということだ。年頃の男には恥ずかしいんだよそりゃ…
「ほらほら、お目目パッチリ~♪」
ブルーのアイシャドウにマスカラとつけまつげだ…多分今回はナチュラルな感じじゃない、派手になりそうだ…
さらにピンク系のチークを塗られていく、それも結構長い時間ブラシでゴシゴシされている。間違いなく濃いめになっている…おまけに顔にラインストーンも貼られてる…
「仕上げはリップ~♪お口開けてね♪」
仕上げはほんのりブルーのリップ。そして…

「はい、完成~♪」
「…うっ…」
メイクが終わり、姉ちゃんに鏡で自分の顔を見せられたその瞬間、思わず恥ずかしさで顔が噴火級に熱くなった…
派手になった目元に濃いめに塗られたチーク、さらにラインストーンも貼られて派手さを増している…
そして派手なピンクのリップが宝石のように輝いている…恥ずかしい…家族に見られるだけでも十分恥ずかしいが、もしこんな姿友達に見られたら…
「ゆあく~ん、まだお着替えと撮影が残ってるよ~♪全部終わるまでギャラは渡せませ~ん♪」
…恥ずかしさのせいで忘れていた…写真撮るまでがバイトだった…
そして渡された衣装は妖精のような子供っぽいもの、余計恥ずかしい…
「姉ちゃん、この衣装は…」
「私が幼稚園の頃にやってた妖精モノのアニメ”プティットミララ”に出てくる氷の妖精のアイシアよ♪私がちっちゃいころに着てた市販の衣装とっといてよかったわ♪幼稚園の頃のやつだけどゆあ君ちっちゃいからピッタリだよね?もちろんウィッグも用意してあるから!」
「いつのまに…」
…そしてオレは姉ちゃんに言われるがまま衣装に袖を通した…オレはクラスの中でも背の順では常に前のほうだが、いつも姉ちゃんのちっちゃい頃の服とか着させられるたびに背が低く生まれたことを後悔する…まあ、そのおかげで恩恵は受けられてるんだけどね。
そしてお着替え終わっていよいよ撮影…
「やっぱり似合ってるわ!ちっちゃい子には妖精コスさせよって古来から言うしね!!」
「古来から言ってないってそんな言葉…」
…で、そっからはオレは姉ちゃんの言われるがまま…金のためだから仕方ねえ…と言いつつもねえ…
「ほらほら!そんな恥ずかしそうな顔しないでもうちょっと目線をこっちに!」
「…」
やっぱ家族相手でも恥ずかしいな…
「次はキス顔おねがいしま~す!」
「えっ!?キス顔!?」
「あたりまえでしょ!?アイシアと言えばみんなを氷から復活させた目覚めのキッスじゃない!キッスを語らずしてアイシアは語れないわ!」
「う~ん…わかったよ…その代わり出来高払いということで小遣いに加えてポケカ5パック追加で!」
「え~?どこまで要求するのよアンタ…小2のくせに商魂はズルいぐらいあるんだから…」
「不満?じゃあ話はナシだな!割に合わん!」
「わかったわかった!でも3パックで勘弁してくれる?」
「仕方ない、付き合ってやるか!カード忘れんなよ!」

オレはほんのり青く染まった唇をカメラに近づける…ただでさえ派手めの色にされているのに…
「…こんなかんじでいい?」
「う~ん…唇とがらせすぎかな…もうちょっと緩めに…」
「姉ちゃんいっつも指示細かいんだから…」
「アンタは姉からお金もらってカメラの前にいるんだからブツブツ言わない!それじゃ、撮影いきま…」
ブーッ!ブーッ!
「ヴィラン反応!?こんな時に…場所は…ってウチのすぐそこじゃん!!」
ズズズ…
「姉ちゃん!窓見て!!すぐそこにモンスターが出てくるブラックホールが!」
「わっ!本当に目の前に!まさかウチの中入ってきたりするわけじゃ…」
…姉ちゃんの悪い予感は当たった…ホールから現れた怪物はすぐさま我が家の窓ガラスをぶち破り…
バリンッ!!!メキメキメキ…
「インボッ~チ!!」
「飛行タイプのインボッチ!!コラー!ガラスどころか屋根までちょっと壊れちゃったじゃないの!!」
「姉ちゃんそんなこと言ってる場合?」
…なんて言ってたオレに魔の手が…
ガシッ!
「わっ!」
「ボ~ッチ!!」
インボッチはオレをつかんでどこかへ飛び去っていく…
「オレをどうする気だよ!こんな姿外のみんなに見られたくないのに…」
「こら~!待ちなさーい!…なんて言ってる場合じゃない!レイヤチェ~ンジ!空中戦といえばマキカよ!」
とゆーワケでハルカはマキカにコスプレしてインボッチを追跡!!
「風忍流!螺旋弾頭ハリケーンロケット!」
…説明しよう!ハリケーンロケットは両手両足から放つ竜巻で猛スピードで相手につっこみながら空を飛ぶ技である!!空中の敵を打ち落とすのに有効だ!
「待ちなさーい!家の弁償代払ってもらうわよ~!…ってそもそもアイツを倒せば元に戻るんだっけ…」
ちょうどその頃、ガラスと屋根が壊れる音を聞いてハルカの部屋に駆け付けた母・みはるはその惨状を目にして…
「ハルカ!ゆあ!大丈夫!?…キャー!!何してくれてんのー!…ってそういえばあの子たちは…ずっと家にいたわよね?まさか誘拐!?」

…その頃、ハルカは上空でインボッチを追跡中。相手も猛スピードで飛んでるわけだからなかなか追いつかなかったりする…
「どこまで行くつもりよ…」
「ひぃぃぃ…飛行機で飛ぶのとはわけが違うぜ…メチャクチャ風圧浴びてるもん…下見たら建物だもん…落ちたら即死よ…姉ちゃん…こいつ打ち落とすにしてもオレが捕まっていることを忘れないで…かわいい弟の命がこの回太の手の中にあることを…」
「大丈夫!大事な家族を死なせることは絶対にしない!…背中が見えてきた!一気に超加速!」
ドカンッ!!
「ボ~ッチ…」
「わあああ!姉ちゃん!死なせないって言ったでしょ~!」
「風忍流、風のゆりかご!」
説明しよう!風のゆりかごは空中に風のクッションを作って落ちてくる人や物をキャッチする技だ!クッションは自分の意思で自由に動かすことができるぞ!
ポトンッ…
「ナイスキャッチ!ありがとう姉ちゃん!」
「でもインボッチはまだ生きている!落下点に人がいたら大変だ!早く!」

そして姉ちゃんとオレは急いで落下点へ降りる…
「落下点は…あの公園ね…インボッチが落ちる前に早く!人がいなければいいけど…」
「公園!?もし知ってる人いたらどうしよう…オレのこんな姿見られたら…」
「そんな心配してる場合!?」
…そして何とかインボッチが落ちる前に公園に到着…
「何とか間に合ったわ、後は落ちてくるインボッチを…」
「あ!ゆあの姉ちゃん!こんなところでコスプレして…」
「もしかしてまたバケモンが出たか?」
「ショ、ショータとミキト!!」
「!?そのアイシアのレイヤーどっかで聞いたことのある声…ん~…もしかしてゆあ?」
ゆあ「わっ!(裏声で)…ち、違うのよ、わたしは浦山あゆ!ゆあ君たちのいとこなの!お母さんが浜崎あゆみのファンだからあゆって名前なの!わかりやすいでしょ?」
「でもさっきオレたちの名前を…」
「(裏声で)ゆあ君からあなた達のことは聞いてるの!写真も送ってもらってるから顔も知ってるのよ!これから仲良く…」
「ボ~ッチ!」
ショータ「バケモンが落ちてきた!」
ハルカ「みんな離れて!風忍流、螺旋槍!」
姉ちゃんがドリルのような竜巻を繰り出す螺旋槍で落ちてきたインボッチに追撃だ!
ズガガガ…
「ボ~ッチ…」
ドシンッ…ヒュウウウウ…
一撃を食らって消えていくインボッチ…
「忍務完了!!これにて風のように去る!」

ショータ「よし!勝ったぜ!やっぱスゲーなレイヤリオンは!」
ゆあ「(裏声で)そ、そう!!ハルカおねえちゃんは強いのよ!わたしもいつかハルカおねえちゃんみたいに…」
ミキト「皆にお見通しの裏声タイムはおしまいだ。浦山あゆ、素直に白状しな、お前は礼矢小2年1組浦山ゆあだろ?」
「バ、バレたか!?」
ショータ「最初からバレバレだ!」
「ご、ごめん…これにはワケがあって…金のためだったんだ!!姉ちゃんの撮影バイトに付き合ってたんだ!!正体ばれるとまずいから…きっとバカにされるから…そうおもって裏声でごまかしてたんだけど…」
ショータ「そんなヤバい仕事に手を染めたヤツみたいなこと言うなよ!お前が女装してたってオレらは決してバカになんかしないぜ!」
「えっ…」
ミキト「オレらはかっこいいヒーローになりきるゆあも、かわいい妖精になりきるゆあも、どっちもすごくキャラになりきってるとおもうぜ!レイヤーなら男を演じようと女を演じようともっと自分のコスプレ姿に自信を持つべきだと思うぜ!そのアイシアのコスプレも似合ってるぜ!」
「…!ありがとう!」
ハルカ「ゆあく~ん、これで自信が尽きましたかな?おねえちゃんがちっちゃい頃の服や衣装まだまだありますからまたお願いしますよ~」
「わかったよ!でもオレの好きなカッコイイ系のやつもよろしくな!」
…オレの友達は女の子の姿になったオレを見ても決して幻滅することなく、バカにすることもなく、ただ一人のレイヤーとして受け入れてくれた。オレ、今日で少し女装に自身がついたかもしれない!…まだまだ恥ずかしさは残るけど…

これにてめでたしめでたし…さあ、お家に帰りましょう!…と思いきや家の前に…
「えっ!?パトカー!?」
「なに!?何があったの!?」
オレたち姉弟ふたりは慌てて家の中に飛び込み、姉ちゃんの部屋に戻ると…
「ですから奥さん、見てのようにガラスや天井にはキズひとつついてませんし…」
「ですからさっきまでは壊れてたんです!うちの子たち間違いなく連れ去られたんです!」
「お帰り…って取り込み中!?」
「ハルカ!ゆあ!無事でよかった…!」
「なんだ…お子さんちゃんと帰ってきたじゃないですか…最近ヘンな理由で110番する人が増えてるんですよ…奥さんも気をつけてくださいね…我々警察もヒマじゃないんですから…」
…どうやら母ちゃん部屋の惨状見てオレらが誘拐されたと思って警察呼んだんだな…でもインボッチ倒されて部屋元通りだからお咎めなし!…ってことでいいのか?
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