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第4部 漫画・出版史
コロコロのオリジナルストーリーは売れないを覆したコロッケ!
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コロコロの漫画といえば今も昔も、そしてこのシリーズで取り上げている00年代~10年代初頭においても、ホビーやゲームのタイアップやオリジナルギャグが基本的に強い。そのため、オリジナルのストーリーは伸びにくいと言われている(20年代以降ではキャッシュやブラックチャンネル、巻戻士といったミラコロ出身のオリジナルストーリーが台頭してきてるので必ずしもそうとは言い切れなくなってきたが)。
そんな中で「コロコロのオリジナルストーリーは売れない」と言うジンクスを跳ね返して00年代前半に大ヒットした作品がある。樫本学ヴ先生の「コロッケ!」だ。「学級王ヤマザキ」の後を継ぐ形で2001年4月号より連載が始まった。
樫本先生といえばそれまではヤマザキやラモズくんに代表されるお下品ギャグのイメージが強かった。といってもストーリーものは全く描いていなかったわけではなく、例として90年代前半には「ぶっとび闘人」というストーリーもののサッカー漫画を描いていたが、並行連載していたラモズくんのほうが人気が出てしまったという経緯があり、「ギャグの人」のイメージが付きまとっていた。そんな中でヤマザキとは180度違った冒険バトルストーリーのコロッケの連載は周りの漫画家仲間からも驚かれるほどだったという。
コロッケ!は「貯金箱」と呼ばれる特殊な貯金箱いっぱいにためると願いをかなえることができる「禁貨」をもとめて戦うバンカーたちの物語。主人公コロッケは黒マントの男に殺された父・バーグを生き返らせるために禁貨集めと戦いの旅に出る。
この作品の特徴として、バンカーのバックグラウンドがよく描かれているということが挙げられる。言ってしまえばこの作品は戦いを通じて仲間が増えていく的な王道のバトル物であるが、次々増えていく仲間たちの多くに願いとからめたものを中心としたバックグラウンドが描かれており、それぞれのキャラに感情移入がしやすくなっている。
コロッケの一番の仲間でありライバルでもあるリゾットは「グランシェフ王国」という国の王子。カラスミ軍団に侵略された祖国を取り返すためにバンカーとなった。バンカーサバイバル決勝トーナメントでコロッケに敗れた際に初めてそれが明らかとなるのだが、これがバンカーサバイバル編の次のエピソードである「王様だ~れだ大会編」へと繋がっていくことになる。
作中でコロッケと一番最初に出会ったバンカーであるウスターは世界一のモテモテ男になるために禁貨を集めている。お調子者だが友情に熱い男でもあり、バンカーサバイバルでの共闘の中でコロッケと固い絆を結ぶ。
同じく初期からの仲間であるプリンプリンはかぶるとブサイクになる覆面をかぶっているが、素顔はイケメン。しかし顔と低身長のアンバランスさでバカにされたことにコンプレックスを持っているために素顔を隠しており、禁貨をためて身長をのばそうとしている(アニメでは別の夢に変更)。
黒マントの男のシルエットにもよく似たいでたちから最初は黒マントの正体と思われていたフォンドヴォーは実はコロッケの父・バーグの一番弟子。コロッケたちをやさしく見守るお兄さん的存在ながら記憶喪失で洗脳されたフリをしてカラスミ軍団に忍びこんだりするなどの策略家な一面もある。
T-ボーンは気づけばすぐ昼寝している天然ボケバンカーだが満月を見ると犬に変身。それもドーベルマンとかの獰猛なやつじゃなくかわいらしい子犬。だがこれがメチャクチャ強い。通常の10倍の強さだという。
そんな彼にも禁貨で叶えたい願いが…ない。ではなぜ禁貨を集めているのかというと「ただキレイだから」と言うまさかの理由。
一方味方だけでなく敵サイドにもバックグラウンドを設けている。
コロッケの父を手にかけた張本人である黒マントの男の正体であるアンチョビと、リゾットの故郷・グランシェフ王国を侵略したカラスミは兄弟(カラスミが兄、アンチョビが弟)。ともに力こそがすべてと考える残忍な性格だが、彼らがそのように考えるようになったのは幼き日に父・フォアグラーを殺されたという重い過去があるからである(その父は後半に生きていたことが判明)。
カラスミは王様だ~れだ大会で自ら溶岩に落ちて命を落とすが、父の敵とはいえコロッケは同じく家族を失う悲しみを知ってる者としてカラスミを生き返らせることを決意した(なおカラスミものちに生きていたことが判明)。
家族を奪われたことによって歯車が狂ってしまった兄弟という子供向け漫画としてはかなり異色の悪役と言えよう。
コロッケの魅力はバトルにもある。
原作においては「バンカーサバイバル・王様だ~れだ大会・裏バンカーサバイバル・ビシソワーズパーティ」という4つの大会(ビシソワーズパーティは大会とはいえないが)が描かれており、それぞれただバトルするのではなく、ゲーム性を取り入れたルールのもと戦うのだ。
例えばバンカーサバイバル1次予選は残り30人になるまで相手の頭上の風船を割りあう風船割りバトル。2次予選は5人一組のチームになって洞窟を探検してなぜかカレーの材料を集めてカレーを作る(しかもダミーとしてハヤシライスやシチューのルーも紛れている)、王様だ~れだ大会では最終戦を除いて先に禁貨をゲットしたほうの勝ちというルールだが、禁貨はラウンドごとに砂に埋まってたり深い水槽の中に落とされたり、巨大迷路を走り回るネズミにかけられていたり、鋼鉄の壁に埋まってたりいろいろ異なる…といった具合だ。
こういった単に力だけでは勝てない、内容によっては戦略性や知恵も重視される一筋縄ではいかないバトル、それも大会ごと・ラウンドごとに異なるルールを用意して読者を飽きさせない。これこそコロッケが読者のハートをつかんだ大きな要因のひとつであろう。
コロッケは開始数カ月でいきなり表紙のメインを飾るまでになり、アニメ化に先駆けて連載1年半というスピードで2002年秋にゲーム化、その半年後の2003年4月にアニメ化し、2年間放送された。
原作の連載期間もコロコロオリジナルストーリーとしては長期の部類に入る5年半越えとなり、月刊コロコロにおける樫本作品としては最長連載記録である。
しばらくストーリーから離れていた樫本先生にとってこのマンガの連載はまさにコロッケたちもびっくりするぐらいの大冒険だっただろう。
しかしその冒険の結果は禁貨を手に入れた後以上に輝かしい願いをかなえた結果となった。
そんな中で「コロコロのオリジナルストーリーは売れない」と言うジンクスを跳ね返して00年代前半に大ヒットした作品がある。樫本学ヴ先生の「コロッケ!」だ。「学級王ヤマザキ」の後を継ぐ形で2001年4月号より連載が始まった。
樫本先生といえばそれまではヤマザキやラモズくんに代表されるお下品ギャグのイメージが強かった。といってもストーリーものは全く描いていなかったわけではなく、例として90年代前半には「ぶっとび闘人」というストーリーもののサッカー漫画を描いていたが、並行連載していたラモズくんのほうが人気が出てしまったという経緯があり、「ギャグの人」のイメージが付きまとっていた。そんな中でヤマザキとは180度違った冒険バトルストーリーのコロッケの連載は周りの漫画家仲間からも驚かれるほどだったという。
コロッケ!は「貯金箱」と呼ばれる特殊な貯金箱いっぱいにためると願いをかなえることができる「禁貨」をもとめて戦うバンカーたちの物語。主人公コロッケは黒マントの男に殺された父・バーグを生き返らせるために禁貨集めと戦いの旅に出る。
この作品の特徴として、バンカーのバックグラウンドがよく描かれているということが挙げられる。言ってしまえばこの作品は戦いを通じて仲間が増えていく的な王道のバトル物であるが、次々増えていく仲間たちの多くに願いとからめたものを中心としたバックグラウンドが描かれており、それぞれのキャラに感情移入がしやすくなっている。
コロッケの一番の仲間でありライバルでもあるリゾットは「グランシェフ王国」という国の王子。カラスミ軍団に侵略された祖国を取り返すためにバンカーとなった。バンカーサバイバル決勝トーナメントでコロッケに敗れた際に初めてそれが明らかとなるのだが、これがバンカーサバイバル編の次のエピソードである「王様だ~れだ大会編」へと繋がっていくことになる。
作中でコロッケと一番最初に出会ったバンカーであるウスターは世界一のモテモテ男になるために禁貨を集めている。お調子者だが友情に熱い男でもあり、バンカーサバイバルでの共闘の中でコロッケと固い絆を結ぶ。
同じく初期からの仲間であるプリンプリンはかぶるとブサイクになる覆面をかぶっているが、素顔はイケメン。しかし顔と低身長のアンバランスさでバカにされたことにコンプレックスを持っているために素顔を隠しており、禁貨をためて身長をのばそうとしている(アニメでは別の夢に変更)。
黒マントの男のシルエットにもよく似たいでたちから最初は黒マントの正体と思われていたフォンドヴォーは実はコロッケの父・バーグの一番弟子。コロッケたちをやさしく見守るお兄さん的存在ながら記憶喪失で洗脳されたフリをしてカラスミ軍団に忍びこんだりするなどの策略家な一面もある。
T-ボーンは気づけばすぐ昼寝している天然ボケバンカーだが満月を見ると犬に変身。それもドーベルマンとかの獰猛なやつじゃなくかわいらしい子犬。だがこれがメチャクチャ強い。通常の10倍の強さだという。
そんな彼にも禁貨で叶えたい願いが…ない。ではなぜ禁貨を集めているのかというと「ただキレイだから」と言うまさかの理由。
一方味方だけでなく敵サイドにもバックグラウンドを設けている。
コロッケの父を手にかけた張本人である黒マントの男の正体であるアンチョビと、リゾットの故郷・グランシェフ王国を侵略したカラスミは兄弟(カラスミが兄、アンチョビが弟)。ともに力こそがすべてと考える残忍な性格だが、彼らがそのように考えるようになったのは幼き日に父・フォアグラーを殺されたという重い過去があるからである(その父は後半に生きていたことが判明)。
カラスミは王様だ~れだ大会で自ら溶岩に落ちて命を落とすが、父の敵とはいえコロッケは同じく家族を失う悲しみを知ってる者としてカラスミを生き返らせることを決意した(なおカラスミものちに生きていたことが判明)。
家族を奪われたことによって歯車が狂ってしまった兄弟という子供向け漫画としてはかなり異色の悪役と言えよう。
コロッケの魅力はバトルにもある。
原作においては「バンカーサバイバル・王様だ~れだ大会・裏バンカーサバイバル・ビシソワーズパーティ」という4つの大会(ビシソワーズパーティは大会とはいえないが)が描かれており、それぞれただバトルするのではなく、ゲーム性を取り入れたルールのもと戦うのだ。
例えばバンカーサバイバル1次予選は残り30人になるまで相手の頭上の風船を割りあう風船割りバトル。2次予選は5人一組のチームになって洞窟を探検してなぜかカレーの材料を集めてカレーを作る(しかもダミーとしてハヤシライスやシチューのルーも紛れている)、王様だ~れだ大会では最終戦を除いて先に禁貨をゲットしたほうの勝ちというルールだが、禁貨はラウンドごとに砂に埋まってたり深い水槽の中に落とされたり、巨大迷路を走り回るネズミにかけられていたり、鋼鉄の壁に埋まってたりいろいろ異なる…といった具合だ。
こういった単に力だけでは勝てない、内容によっては戦略性や知恵も重視される一筋縄ではいかないバトル、それも大会ごと・ラウンドごとに異なるルールを用意して読者を飽きさせない。これこそコロッケが読者のハートをつかんだ大きな要因のひとつであろう。
コロッケは開始数カ月でいきなり表紙のメインを飾るまでになり、アニメ化に先駆けて連載1年半というスピードで2002年秋にゲーム化、その半年後の2003年4月にアニメ化し、2年間放送された。
原作の連載期間もコロコロオリジナルストーリーとしては長期の部類に入る5年半越えとなり、月刊コロコロにおける樫本作品としては最長連載記録である。
しばらくストーリーから離れていた樫本先生にとってこのマンガの連載はまさにコロッケたちもびっくりするぐらいの大冒険だっただろう。
しかしその冒険の結果は禁貨を手に入れた後以上に輝かしい願いをかなえた結果となった。
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