63 / 93
第3部 アニメ・特撮総合史
低年齢層もを取り込むジャンプアニメと背伸びしたマガジンアニメ
しおりを挟む
前々回にてサンデーアニメが2000年代に低年齢層を狙った策に出たことを紹介したが、今回はそのライバル紙であるジャンプ・マガジンアニメの傾向を比較してみよう。
2000年代のジャンプアニメといえばまだ全日帯が中心。さらにゴールデンタイムのアニメ枠が多少健在であったことからゴールデンで放送される作品もちらほらあり、人気作品の中には低年齢層にも人気がある作品が今以上に多かった。
この時期のゴールデンで放送された作品の中には現在も別時間で継続中の「ワンピース」をはじめ、「ナルト(途中で夕方からゴールデンへ)」「こち亀」「遊戯王(DMの終盤で夕方に移動)」「ボボボーボ・ボーボボ」「アイシールド21」「テニスの王子様」「ヒカルの碁」「銀魂」「ブリーチ」などが挙げられる。
こうしてみると、テニスブームを巻き起こしたテニプリや、囲碁ブームを巻き起こした「ヒカルの碁」などの社会現象クラスの作品もゴールデンで放送されてたし、「ジャンプで一番稼いだ作品」と言われている「遊戯王」もゴールデンで放送されていた。説明不要の少年漫画最長連載記録40年のこち亀もアニメ版はレギュラー放送約8年間ずっと日曜夜7時、サザエさんに続いて放送されていた。
驚くべきはとてもゴールデンで流せるとは思えない(誉め言葉)あの「銀魂」も初期はゴールデンで放送されていたことだ。
そして低年齢層への人気はというと、12歳までの子供を持つ親を対象とした「バンダイこどもアンケート」の「お子様の好きなキャラクター」においてワンピースはアニメ開始3年後には男子部門10位にランクインし、ナルトもアニメ開始2年後の2004年に男子同率10位にランクイン。低年齢層にもしっかり人気が根付いている証拠だ。
ワンピースやナルトにいたっては子供向けのメダルゲームとかの低年齢層向けの商品展開がこの頃は今以上に積極的であったことからそのことが見て取れる。まだ深夜アニメもマイナーな時代だし、当時のスタッフとしてもオタク層より低年齢層の子供たちとその親が商品展開の主要顧客として考えていたのだろう。今のジャンプアニメは中高生以上の層を狙った商品展開がほとんどなので(ワンピースやドラゴンボール、鬼滅のように例外はあるが)、この辺は今とだいぶ異なる。
だがこの時期はアニメ枠自体がゴールデンから朝・夕方に移行していく過渡期でもあり、上記で触れた遊戯王(ゼアルでいったんゴールデン復帰も、その途中で再度夕方へ)のほか、「ワンピース」も2006年秋より日曜朝に移動。最も迫害を受けたといえるのが「ボーボボ」で開始から1年で非ゴールデンのローカル枠に移動し多くの地方局で打ち切り、さらに半年後には関東ローカル降格という事態に陥ってしまった。
その他にも夕方に移行する番組や番組自体の終了などで年を重ねるごとにゴールデン枠を減らしてしまっていた。
それでも多くの作品の人気は維持され、時間帯が変わってもジャンプアニメの持つ高いブランド力は証明された。
一方マガジンはどうだっただろうか?…と言っても2000年代に入りたての頃のマガジンはアニメよりもドラマに比重を置いていたためにアニメ化の数はジャンプに比べて少なめだった。
90年代後半、メディアミックスアニメを中心としていた当時の(今もだけど)ジャンプに対し、マガジンは差別化のためにドラマなどの実写メディアを中心に展開。結果として「GTO」や「サイコメトラーEIJI」といった高視聴率をたたき出したヒット作を多数生み出してきた。前者や「金田一少年の事件簿」はアニメより先にドラマ化というケースであった。
だが2000年代~10年代前半あたりがその過渡期と言える状況であり、徐々にアニメ化の比率も多くなっていく。
しかしこの頃のマガジンといえば「スクールランブル」や「ラブひな」といったラブコメ作品やブラックユーモアを主体とした「さよなら絶望先生」などジャンプに比べて高年齢層向けの作品が多く、深夜帯も多かった。
スクールランブルは1期は夕方に放送されたが2期は深夜へ移動。ラブひなは夜10時台というゴールデンでもなければ(一応この時間はゴールデンにギリギリ分類されることもあるけどさ)深夜でもないかなりイレギュラーな時間に放送された。
全日帯やゴールデンで放送された作品としては「RAVE」「探偵学園Q」「ネギま!?」「フェアリーテイル」などが挙げられる。
「RAVE」は後にマガジンの看板作家となる真島ヒロ先生の初連載作。それまでスポーツものや不良ものが多く、絵柄もリアル調が主流だったマガジンにおいて「王道少年漫画の絵柄でのファンタジー作品」という新風を吹かせ、マガジンの作風に大きなパラダイムシフトを起こした記念碑的作品だ。ローカル枠の放送のため、多くの局は夕方や朝に放送したが、深夜に放送したところもあった。
「探偵学園Q」は金田一少年の作者コンビによる作品ということもありTBSが2003年春に新設した火曜ゴールデンの枠で鳴り物入りで始まったがわずか半年でローカル枠に移動し、多くの放送局はそこで打ち切りとなってしまった。
「ネギま!?」は「1期は深夜、2期は夕方(全日帯)」という当時では珍しいパターン。このタイトルは2期でのタイトルで、1期は原作と同じ「魔法先生ネギま!」のタイトルであった。
だからといって特に低年齢層に媚びた内容に改変されているわけではなく、この時期に発売されたゲーム版もCERO:B(12歳以上対象)であったなど(ちなみに1期の頃のゲームはもっと高くCERO:D(17歳以上対象)であった)特に低年齢層向けの商品展開が行われたわけではなかった。もともと前番組の「スパイダーライダーズ」が半年で打ち切りになったためにこの枠に入ったという事情もあるのだろう。唯一の例外は「コミックボンボン」で原作者とは別の作家による番外編が連載されたことか(そもそもこの頃のボンボンは末期で、脱児童誌色を強めていた頃であったが)。
「フェアリーテイル」はRAVEに続く真島ヒロ先生のファンタジー作品。ゴールデン、全日帯で長期間放送されたため、この時期のマガジン作品としては比較的低年齢層にも支持されていた作品であろう。実際アニメ初期の頃は自分は小学生であったが、周りにもファンが結構いた。
ジャンプとマガジン、同じ週刊少年誌でも雑誌によってここまで戦略に違いが出るのが比べてみて面白い。
2000年代のジャンプアニメといえばまだ全日帯が中心。さらにゴールデンタイムのアニメ枠が多少健在であったことからゴールデンで放送される作品もちらほらあり、人気作品の中には低年齢層にも人気がある作品が今以上に多かった。
この時期のゴールデンで放送された作品の中には現在も別時間で継続中の「ワンピース」をはじめ、「ナルト(途中で夕方からゴールデンへ)」「こち亀」「遊戯王(DMの終盤で夕方に移動)」「ボボボーボ・ボーボボ」「アイシールド21」「テニスの王子様」「ヒカルの碁」「銀魂」「ブリーチ」などが挙げられる。
こうしてみると、テニスブームを巻き起こしたテニプリや、囲碁ブームを巻き起こした「ヒカルの碁」などの社会現象クラスの作品もゴールデンで放送されてたし、「ジャンプで一番稼いだ作品」と言われている「遊戯王」もゴールデンで放送されていた。説明不要の少年漫画最長連載記録40年のこち亀もアニメ版はレギュラー放送約8年間ずっと日曜夜7時、サザエさんに続いて放送されていた。
驚くべきはとてもゴールデンで流せるとは思えない(誉め言葉)あの「銀魂」も初期はゴールデンで放送されていたことだ。
そして低年齢層への人気はというと、12歳までの子供を持つ親を対象とした「バンダイこどもアンケート」の「お子様の好きなキャラクター」においてワンピースはアニメ開始3年後には男子部門10位にランクインし、ナルトもアニメ開始2年後の2004年に男子同率10位にランクイン。低年齢層にもしっかり人気が根付いている証拠だ。
ワンピースやナルトにいたっては子供向けのメダルゲームとかの低年齢層向けの商品展開がこの頃は今以上に積極的であったことからそのことが見て取れる。まだ深夜アニメもマイナーな時代だし、当時のスタッフとしてもオタク層より低年齢層の子供たちとその親が商品展開の主要顧客として考えていたのだろう。今のジャンプアニメは中高生以上の層を狙った商品展開がほとんどなので(ワンピースやドラゴンボール、鬼滅のように例外はあるが)、この辺は今とだいぶ異なる。
だがこの時期はアニメ枠自体がゴールデンから朝・夕方に移行していく過渡期でもあり、上記で触れた遊戯王(ゼアルでいったんゴールデン復帰も、その途中で再度夕方へ)のほか、「ワンピース」も2006年秋より日曜朝に移動。最も迫害を受けたといえるのが「ボーボボ」で開始から1年で非ゴールデンのローカル枠に移動し多くの地方局で打ち切り、さらに半年後には関東ローカル降格という事態に陥ってしまった。
その他にも夕方に移行する番組や番組自体の終了などで年を重ねるごとにゴールデン枠を減らしてしまっていた。
それでも多くの作品の人気は維持され、時間帯が変わってもジャンプアニメの持つ高いブランド力は証明された。
一方マガジンはどうだっただろうか?…と言っても2000年代に入りたての頃のマガジンはアニメよりもドラマに比重を置いていたためにアニメ化の数はジャンプに比べて少なめだった。
90年代後半、メディアミックスアニメを中心としていた当時の(今もだけど)ジャンプに対し、マガジンは差別化のためにドラマなどの実写メディアを中心に展開。結果として「GTO」や「サイコメトラーEIJI」といった高視聴率をたたき出したヒット作を多数生み出してきた。前者や「金田一少年の事件簿」はアニメより先にドラマ化というケースであった。
だが2000年代~10年代前半あたりがその過渡期と言える状況であり、徐々にアニメ化の比率も多くなっていく。
しかしこの頃のマガジンといえば「スクールランブル」や「ラブひな」といったラブコメ作品やブラックユーモアを主体とした「さよなら絶望先生」などジャンプに比べて高年齢層向けの作品が多く、深夜帯も多かった。
スクールランブルは1期は夕方に放送されたが2期は深夜へ移動。ラブひなは夜10時台というゴールデンでもなければ(一応この時間はゴールデンにギリギリ分類されることもあるけどさ)深夜でもないかなりイレギュラーな時間に放送された。
全日帯やゴールデンで放送された作品としては「RAVE」「探偵学園Q」「ネギま!?」「フェアリーテイル」などが挙げられる。
「RAVE」は後にマガジンの看板作家となる真島ヒロ先生の初連載作。それまでスポーツものや不良ものが多く、絵柄もリアル調が主流だったマガジンにおいて「王道少年漫画の絵柄でのファンタジー作品」という新風を吹かせ、マガジンの作風に大きなパラダイムシフトを起こした記念碑的作品だ。ローカル枠の放送のため、多くの局は夕方や朝に放送したが、深夜に放送したところもあった。
「探偵学園Q」は金田一少年の作者コンビによる作品ということもありTBSが2003年春に新設した火曜ゴールデンの枠で鳴り物入りで始まったがわずか半年でローカル枠に移動し、多くの放送局はそこで打ち切りとなってしまった。
「ネギま!?」は「1期は深夜、2期は夕方(全日帯)」という当時では珍しいパターン。このタイトルは2期でのタイトルで、1期は原作と同じ「魔法先生ネギま!」のタイトルであった。
だからといって特に低年齢層に媚びた内容に改変されているわけではなく、この時期に発売されたゲーム版もCERO:B(12歳以上対象)であったなど(ちなみに1期の頃のゲームはもっと高くCERO:D(17歳以上対象)であった)特に低年齢層向けの商品展開が行われたわけではなかった。もともと前番組の「スパイダーライダーズ」が半年で打ち切りになったためにこの枠に入ったという事情もあるのだろう。唯一の例外は「コミックボンボン」で原作者とは別の作家による番外編が連載されたことか(そもそもこの頃のボンボンは末期で、脱児童誌色を強めていた頃であったが)。
「フェアリーテイル」はRAVEに続く真島ヒロ先生のファンタジー作品。ゴールデン、全日帯で長期間放送されたため、この時期のマガジン作品としては比較的低年齢層にも支持されていた作品であろう。実際アニメ初期の頃は自分は小学生であったが、周りにもファンが結構いた。
ジャンプとマガジン、同じ週刊少年誌でも雑誌によってここまで戦略に違いが出るのが比べてみて面白い。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる