リョーマ的Y2K子供文化史考

一刀星リョーマ

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第3部 アニメ・特撮総合史

平成ライダー2期初期2作品から考える「コレクションアイテム」の可能性

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今回は平成ライダー2期におけるベルトに装着する「コレクションアイテム」を中心に、コレクションアイテムの存在やそのモチーフの重要性を分析していこうかと思う。

まずは平成ライダー2期第1作。2009年9月開始の「仮面ライダーW」。タイトル通り主人公は2人のバディもので、「2人が1人のライダーに変身する」というライダー初の合体変身を取り入れた作品だ。
この作品に登場するコレクションアイテムは「ガイアメモリ」と呼ばれるUSBメモリ状の物体だ。この頃になるとすでに一家に1台パソコンがある時代であり、USBメモリもすでに身近な存在になっていた。幼児層からしてみても、親が仕事の資料作りなどでパソコンを使う時にUSBメモリを差し込んでいるのを日常的に見ていた子も多いだろう。子供は大人のまねごとをしたり、大人が使うアイテムにあこがれるもの。だが子供のあこがれである大人のアイテムほど「子供は触っちゃダメ」なものが多い。そんな中でその憧れのアイテムのひとつである「USBメモリ」を変身アイテム・玩具に取り入れたのは大きい。ガイアメモリを玩具のベルトに差し込むことにより、子供たちは「ヒーローへのなりきり遊び」と「USBメモリを使う大人へのなりきり遊び」を同時に楽しめるのだ。「子供が簡単に触れないアイテム」と言えばライダーではすでに555で携帯を用いているわけだし、この頃になると戦隊も変身アイテムのモチーフに携帯を用いる頻度が増えてきていた。ヒーローとは「子供のあこがれ」であるべき存在。そして「子供のあこがれを叶える」のもまたヒーローの役目だ。

Wは体の右半分と左半分で異なるカラーリングとなっているのが特徴的。ガイアメモリの組み合わせによって体の色も変わるのだ。いろんな色が入り混じっているのもいいが、ふたつのカラーに分けるのもシンプルでわかりやすく、それでいていろんな組み合わせを用意すれば作品もにぎやかになる。Wのデザイン自体も昭和ライダーへの原点回帰をテーマとしている平成以降のライダーの中では比較的シンプルなデザイン。昭和以来のシンプルさに、平成以降の派手さをうまくミックスしたと言えよう。
ベルトに2~3個の小型アイテムを組み合わせ、それに対応してフォームもチェンジするという方式は、後述のオーズや8年後のビルドなどその後も使われていくこととなる。

続いてWの後番組である「仮面ライダーオーズ」。変身に使うのは「オーメダル」。
オーズはオーメダルをベルトに3つはめ込むことで変身し、こちらもその組み合わせにより様々なフォームとなる。
メダルは子供たちに普遍的に人気があり、わかりやすいモチーフでもある動物が採用されているが、動物の種別ごとに属性分けされており「鳥系」「昆虫系」さらにはゴリラなどの重量級の動物をモチーフにした「重量系」、ネコ科をモチーフにした「猫系」など7種のカテゴリーに分類される。
組み合わせも「タカ+トラ+バッタ」の「タトバコンボ」や「クワガタ+カマキリ+バッタ」の「ガタキリバコンボ」などと言ったように普通はありえない・思いつかないようなユニークな組み合わせが見どころ。

玩具のオーメダルはガシャポンや食玩など様々な販売経路で展開され、さらにデータカードダス「ガンバライド」にも対応させたことから各地で品薄となる記録的大ヒットとなり、バンダイとしてもかつてのたまごっちのような記録的ヒット商品となった。
その品薄状態はさながら本編のメダル争奪戦を彷彿とさせるとの声も上がったほどだ。オーズのストーリーはある意味予言の書か!?
その売り上げは実に3000万個を超え、放送期間中の2011年に発行された1円玉や5円玉の枚数(ともに456万枚)をはるかに超える。おもちゃの硬貨が本物の硬貨を超えてしまったのだ。
バンダイとしてもこれで「メダル玩具は売れる」との法則ができた。オーズ終了から3年後に「妖怪メダル」で再びバンダイは社会現象を巻き起こすこととなる。
妖怪メダルもまた、ガシャポンやふろくなどオーズのノウハウを生かした多彩な販売経路で大ヒットへ結び付けたのだ。
メダルというのは保管するにも場所を取らないし、何しろたくさん集めるとお金持ち気分を味わえる。。カードとメダルほど子供たちにそそる安価なコレクションアイテムはないのかもしれない。
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