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1皿目 ブラックホールストマック!オレがタクムだ!

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日本の首都、東京は渋谷区のとあるラーメン屋にて…
「おっちゃん!もう一杯おかわりよろしく!」
「タクムくんまたおかわりかい?これでもう12杯目だぜ?ウチは中学生以下おかわり自由だし成長期にたくさん食べるのはいいことだが、食べすぎもよくないぜ?特にラーメンはよ…そろそろその辺にしといたほうがいいんじゃないか?」
「だってどんだけ食ってもまだたりね~んだもん!だいたいオレを誰だと思っている?”ブラックホールストマックのタクム様だぜ?”」
…この少年、小学生フードファイター、柳田タクム小学4年生。彼は”ブラックホールストマック”と呼ばれる希少な特異体質の持ち主である。
ここからは彼がフードファイターとなるまでの物語を紹介しよう。

さかのぼること7年前、タクム3歳。
「母ちゃんおかわり~!」
母「え~っ!?もう10杯めよ!?いくら何でも食べすぎなんじゃない?」
タクム「だっていくら食っても腹いっぱいになんね~んだもん!!」
父「まあまあ、たくさん食べるってのは元気な証拠じゃないか!」
母「そうだけど…この子明らかに同年代の子の食事量を超えてるのよね…病気にならないか心配だし、こんなに大量に食べてるとむしろすでになんかの病気じゃないかって心配になるのよね…」

翌日、タクムは心配した母に連れられ病院で検査を受けることに。
「…タクムくんの検査の結果ですが、健康状態に異常はありません。病気もなくいたって健康な状態です。
…ただ、調べた結果彼は”ブラックホールストマック”と呼ばれる特異体質の持ち主であることがわかりましてね…」
「ブラックホールストマック…それって何でしょうか?」
「ブラックホールストマック…和訳すれば”ブラックホールの胃”という意味でして、簡単に言えば食べ物を消化するスピードが一般の人より圧倒的に速いという体質ですね。だからタクムくんはブラックホールみたいにたくさんものを食べられるというわけです。無限ではありませんけどね。10万人に1人ほどの割合で発生する貴重な特異体質ですが、この体質の持ち主は基本的に太りにくく、内臓系の病気や生活習慣病とかにもかかりにくいという研究成果も出てますのでたくさん食べても健康面には問題ありません。」
「そうなんですか…安心しました。」

その時、診察室にひとりの老人が…
「…いま、ブラックホールストマックといったな?」
先生「わ、若田部のおじさん!?勝手に診察室に入らないでください!…あ、すみません。こちら私の叔父で今日は定期健診で来院されてるんですが…」
若田部のおじさん「…キミがタクムくんか…ワシはずっと探しておったのじゃ。ワシと同じブラックホールストマックを持つ若者を…」
タクム「じーちゃんもブラックホールなの?」
「…いかにも!フードファイター史上最高の世界大会、WFCワールドフードクラッシュの日本人初のチャンピオンにしてアジア人初の連覇を成し遂げ、アジア人最多優勝回数を誇る”越後の龍”こと若田部わかたべリュウゾウとはワシのことじゃ!」
母「えっ!あなたがあの越後の龍ですか!?子供の頃TVでよく観てました!」
「…キミがタクムくんか…キミならワシの後継者になるにふさわしい!ぜひ、ワシのもとで修行せんか?」

母「しゅ、修行ですか?」
タクム「しゅぎょ~?映画とかアニメで見たことあるけど辛いんでしょ?」
注・タクムはカンフー映画のような血のにじむような修行を想像している。
「…確かにつらいこともあるかもしれん。だが、修行といっても家族と離れて暮らす必要はないし、なんたって美味しいもんがいっぱい食べられるし、修行に耐え抜いたらキミは今よりもたくさん食べられる体になれるかもしれんぞ!」
「ウマいもんがいっぱい…うん!オレ修行する!じ~ちゃん…いや師匠!よろしくお願いします!」
若田部「…この子もこのように言ってるんじゃ…お母様、ワシにこの子を預からせてくれませんか?修行といっても習い事のようなものです。先ほどもお話しした通りこの子は家族と離れる必要はなく、月謝もいただきません。ワシはこの若き後継者を第二の越後の龍…というより”東京の龍”として育てあげたいのです…」
「…わかりました。タクムをよろしくお願いします!」

こうしてタクムの修行の日々が始まった!
「まずはおにぎり50個じゃ!」
「はい!師匠!」
最初の修行。タクムはおにぎり50個を20分で平らげた。
「次はこの滝の水を飲み続けろ!」
「うっぷ…8分経過…もう限界れす…」
※特別な許可を得て安全に配慮して行っております。これはタクムくんだからできる修行です。よいこはマネしちゃだめよ。
「今度はレーンから流れてくる寿司を10分いないでひたすら食べ続けるのじゃ!」
「はい!…このレーンスピードはやくね~か?」

それからも地獄のような修行の日々は続いた。それから約1年後、近所の祭りにて…
「ちびっ子巨大かき氷早食い大会!今年のチャンピオンは史上最年少!柳田タクムくん!なんと4歳!最速タイムも更新しての優勝だ~!」
タクム「やったぜ~!!母ちゃん!師匠!見てるか~!!」
母「すごい…本当に優勝しちゃうんなんて…」
若田部「うむ、ワシの目に狂いはなかったな…」

…それからも師匠のもとで修行を重ね、様々な大会でタクムは結果をのこしていった。
「中華街ちびっ子肉まん大食い大会幼児の部!ブラックホールのタクムくん・5歳が見事優勝~!」
「わんこそば大会小学生の部!大会荒らしのブラックホール・今年小学1年生の柳田タクムくんが初優勝!1年生での優勝は史上初だ~!」
「全国小学生大食い選手権低学年(小1~小3)の部、柳田タクムくん3連覇~!これは来年の高学年の部も楽しみだ~!」
…そして今もタクムは師匠の下で修行に励みながら、様々な大会に挑み続けている…
おっとそう言っているうちにラーメン屋のほうもすごいことになってるようだ…

「もう一杯おかわりね!まだ食えそうだがおっちゃんの店が赤字になっちゃ困るからこれで最後にしとくよ!」
「もう赤字になりそうなぐらい食ってるけどな…これで23杯目…またしても記録更新か…だがこの渋谷から若き凄腕フードファイターが出ておっちゃんは誇らしいぜ!今度の大会も頑張れよ!」
「ありがとよおっちゃん!オレはこれからも伝説を作るぜ!」
この少年、柳田タクム。その後も数々の伝説を作り、日本、いや世界にその名をとどろかす伝説の少年になろうとはこの時は誰も知らない。
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