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おこぼれ話288 梨は王林じゃない!~友達に果物をしつこく迫られた話~

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前回に続いて偏食に関する話題だ。
小4の頃、給食に果物が出るたびにクラスメイトのトモくんが偏食家かつ果物嫌いの僕にやたら果物を食わせようとなぜか保護者面でしつこく迫ってくるという謎の時期があった。
ただでさえ自分の嫌なことを迫られるのは不愉快だというのに同世代の人間が偉ぶって保護者面をとってくるのだから当時は正直ふざけるなといった感じであった。
親が子供に好き嫌いをなくすようにしつけるのは当たり前のことなのは言わずもかなだが、それを年上ではない、自分と同じだけの年月を生きてきた人間に言われるというのは屈辱であった。

トモくんは毎朝その日の給食の献立表を確認し、そこに果物を見つけようものならばそれを指さして僕に対して「○○(果物の名前)を食べてもらうのだ~!!」などと迫ってくるのがいつものお約束。この言い方もより腹立った。
だが僕もこの世の果物がすべて食べられなかったわけじゃない。メロンとかスイカとかは好きなほうだし、リンゴだって当時は王林限定で食べられた(今はどの品種でも食べられる)。

そんなある日の給食に梨が出てきた。梨は食べられなかったので当然残すつもりだった。
だがもちろんトモくんは迫ってくる「梨をたべてもらうのだ~!!」と。
そして給食時間が始まった後も当然「梨を食え」と僕にしつこく迫ってくる。
だが僕は当然食べるまいと粘った。他のメニューをすべて平らげた後も皿の上に乗った梨に手を付けることはなくただ微動だにせず座っているだけだった。
それでも向こうはしつこく迫る手を休めない。「梨を食え」「梨を食え」の独唱がひっきりなしに続く。
しつこさにしびれを切らした僕は「オレは梨なんか食わん!オレが食えるリンゴは王林だけだ!」と反論(そもそもリンゴと梨は全く別の果物だが。同じバラ科だけどね。)。
これにはトモくんも「ええい皮を見ろ!見た目はさほど変わらんだろ!!同じようなモンじゃ!王林と思えば王林じゃ!」というよくわからん反論返し。
僕だって当然納得いかなかったわけだから「王林と梨は別モンじゃ!!」と返すもトモくんは「梨と王林は同じようなモン」というスタンスは譲らなかった。
これに対して僕がとった行動…それは梨を指さして…
「う~…無し!(梨とかけてある)」
…こっちのほうが支離滅裂だ…この時は「無し」ということで「自分の中には梨という概念は消え去りました、故に梨を食べることはありません。」ということを表していたのだが…こうして振り返ると自分の中でも意味不明だ。変な理論で追い詰められたが故に自分の中でも支離滅裂になったのだろう。

誤解のないよう書いておくが僕は今ではトモくんには恨みを持っていない。
当時の自分からしたら乱暴な手口ととってしまっていたが彼も彼なりに僕の好き嫌いという難癖を友達としてどうにかしてやろうと思ってくれていたのだろう。
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