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おこぼれ話185 ああ、幻の博士ロボ

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小1の2学期あたりから、体育館に通じる連絡通路のあたりに置いてあった謎の白い巨大装置(おそらく電気系統関連か暖房・ボイラー関連と思われる)に紙製の角帽がのせられ、ロボットに見立てて「博士ロボ」という名札がつけられた。
一体誰が飾り付けたのは永遠の謎。突如現れた謎のロボにテンションは上がりまくりだ。
帽子と名札以外に装飾が施されていたわけではない。ましてや顔が描かれていないわけだから表情なんてあるわけない。そしてあくまでも飾りなので動くわけがない。それでも「ロボ」の二文字だけでテンションが上がりまくりな純粋なロボ好きの僕にとっては興奮以外の何物でもなかった。

日がたつにつれ、博士ロボは学校中の人気者となっていった。
休み時間に体育館に遊びに行く生徒からは常に視線を向けられ、「博士ロボだ!」と声をかけられたりと、無機質なそのロボは無機質ながらもすっかり学校の人気者になっていった。
声をはなつわけではない、呼びかけに笑顔で返すこともない。「ロボ」という肩書をつけられただけのただの装置に多くの生徒が反応し、視線を送り、声をかけていたのだ。
無機質なロボはそれから1年半以上体育館へ向かう子供たちを見つめていた。

しかし3年生の初め頃、突如その装飾は外され、博士ロボは再びただの装置に戻った。
3年生になって初めて体育館に向かう時に僕はそのことに気づいた。一緒に体育館に行った友達も「あれ?博士ロボじゃなくなってる!」と驚き気味だった。
決して声をはなつことのないロボという名のただの装置も多くの子供たちに愛されてたという証拠と言えよう。
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