313 / 502
おこぼれ話175 ガムが食えん…
しおりを挟む
小2の秋、虫歯ができたので幼稚園の時以来2年ぶりの歯医者に行き、治療することに。
物心ついたころから虫歯にはなりがちな人間なので治療なんて慣れっこ(イヤかどうかは別として)だが、この時、歯医者の先生からこんなことを告げられる。
「治療の跡が固まるまで…だいたい3週間ぐらいですかね。その間は治療材が取れてしまう恐れがありますのでガムとかキャラメルとかくっつくようなものは食べないでください…」
…正直ショックだった。今まで生きてきた中で何度も歯の治療は経験してきている。だがそれにより食べるものの制限がかけられたことは8年生きてきてここまで一切なかったからだ。
自分はガムは特別好きとまでではないが割と好きなほうだし、キャラメルも特別好きとまではいかないが割と好きな部類に入るお菓子だ(というか嫌いなお菓子なんてほぼないかもしれない)。
普段なら数週間食べなくても禁断症状的な状態にはならないのに、しばらく食べられないと言われたら急に食べたくなってしまう。”ダメと言われたらやりたくなる”。カリギュラ効果とはこのことか。
それから3週間、僕のガム&キャラメル禁止生活が始まった。
買い物に行ったときにお菓子売り場でガムやキャラメルの類を見てしまうと涙が出そうになった…「ああ…オレは今食えないんだ」と。
チョコボールを買う時も当然キャラメル味は買えず、ピーナッツやイチゴとかで我慢してた。キャラメル味のパッケージのキョロちゃんと売り場で目が合うたびに「ごめんな…」という感じであった。まるで別れたくないけど別れなければいけない恋人のように…チョコボールは全部うまいけどね。
日がたつにつれて、僕は再びガムやキャラメルを口にできるようになるまであと何日かとカウントダウンするようになっていった。僕の治療の状況を知らなかった親戚の叔父さんがお土産に観光地で限定のガムを買って持ってきてくれた時は申し訳ないと思った。賞味期限あるから大丈夫なんだけどね。
そしてその間も週1で歯医者。治療の経過観察だったか他の歯の治療だったか忘れたが。
そして時がたちついにやってきた3週間後。この日で歯医者通いも終わり、先生からもOKをもらったのでついに僕はガムキャラメル禁止令から解放された。
その日の帰り、スーパーでさっそくキャラメルを買ってもらい、翌日実食。やはり3週間ぶりの味は格別であった。涙が出そうであった。キャラメルで泣きそうになったことなんて後にも先にもきっとこれだけだろう。
できるときには別にやらなくてもいいやと思うけど、できないとなったならやりたくなるのが人間の性。僕は8歳にしてそのことを身をもって思い知った。この時の経験があったからこそ今、商品の販売終了のニュースが発表されたときに品薄になるニュースを観て「やっぱ手に入らなくなると思えばほしくなるんだな」と共感できるのであろうと思う。
物心ついたころから虫歯にはなりがちな人間なので治療なんて慣れっこ(イヤかどうかは別として)だが、この時、歯医者の先生からこんなことを告げられる。
「治療の跡が固まるまで…だいたい3週間ぐらいですかね。その間は治療材が取れてしまう恐れがありますのでガムとかキャラメルとかくっつくようなものは食べないでください…」
…正直ショックだった。今まで生きてきた中で何度も歯の治療は経験してきている。だがそれにより食べるものの制限がかけられたことは8年生きてきてここまで一切なかったからだ。
自分はガムは特別好きとまでではないが割と好きなほうだし、キャラメルも特別好きとまではいかないが割と好きな部類に入るお菓子だ(というか嫌いなお菓子なんてほぼないかもしれない)。
普段なら数週間食べなくても禁断症状的な状態にはならないのに、しばらく食べられないと言われたら急に食べたくなってしまう。”ダメと言われたらやりたくなる”。カリギュラ効果とはこのことか。
それから3週間、僕のガム&キャラメル禁止生活が始まった。
買い物に行ったときにお菓子売り場でガムやキャラメルの類を見てしまうと涙が出そうになった…「ああ…オレは今食えないんだ」と。
チョコボールを買う時も当然キャラメル味は買えず、ピーナッツやイチゴとかで我慢してた。キャラメル味のパッケージのキョロちゃんと売り場で目が合うたびに「ごめんな…」という感じであった。まるで別れたくないけど別れなければいけない恋人のように…チョコボールは全部うまいけどね。
日がたつにつれて、僕は再びガムやキャラメルを口にできるようになるまであと何日かとカウントダウンするようになっていった。僕の治療の状況を知らなかった親戚の叔父さんがお土産に観光地で限定のガムを買って持ってきてくれた時は申し訳ないと思った。賞味期限あるから大丈夫なんだけどね。
そしてその間も週1で歯医者。治療の経過観察だったか他の歯の治療だったか忘れたが。
そして時がたちついにやってきた3週間後。この日で歯医者通いも終わり、先生からもOKをもらったのでついに僕はガムキャラメル禁止令から解放された。
その日の帰り、スーパーでさっそくキャラメルを買ってもらい、翌日実食。やはり3週間ぶりの味は格別であった。涙が出そうであった。キャラメルで泣きそうになったことなんて後にも先にもきっとこれだけだろう。
できるときには別にやらなくてもいいやと思うけど、できないとなったならやりたくなるのが人間の性。僕は8歳にしてそのことを身をもって思い知った。この時の経験があったからこそ今、商品の販売終了のニュースが発表されたときに品薄になるニュースを観て「やっぱ手に入らなくなると思えばほしくなるんだな」と共感できるのであろうと思う。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる