リョーマ伝～小学生編～

おこぼれ話134 顔に書いた文字は…

3年生の3月、卒業する6年生を祝うため、在校生全員で廊下に飾る飾りを作ることとなった。
それは気球型の飾りで、全校生徒一人ずつ思い思いの顔を書いた紙人形を1個につき数体のせるという華やかなものであった。
だがその紙人形は人の形をしているため、顔は当然人の顔でなければならない。当時人間を描くのが大の苦手（そうじゃなくても絵自体苦手）であった僕にとっては地獄であった。
僕は「動物じゃダメなのか？動物かわいいから癒しのアクセントになっていいじゃないか（動物の絵はそこそこの自信があった。お世辞にもうまいわけではなかったが）」というグチをこぼせばクラスメイトの女子に「動物は可愛すぎる！」という意味不明なツッコミをもらったものだ。

結局ヤケクソになった僕は紙人形の顔にある漢字を書いた。
漢数字の「一」の下にカタカナの「タ」と「ヒ」を並べて書いた漢字だ。何の字をさしてるかはもうお分かりだろう。卒業生を祝うための飾りにこのような字を書こうとするほど、僕は人の顔を描くのがイヤだったのだ。
当然、先生に提出しようものならブチギレられてやり直し…になるかと思いきや先生の反応は「デ〇ノートかｗ」という意味不明な苦笑いであった。もちろん書き直しは食らったが。
先生は表向きではあのように苦笑いでごまかしてはいたけれど、今思えば内心は「ふざけるな」だったのかもしれない。卒業生を送り出すための飾りに不吉な文字が書かれてあっては当然ならないからな…

その後、例の文字を消して、ちゃんとした顔に描きなおしたが、それでもうっすらと「一」と「タ」と「ヒ」の文字の消し後はわずかながら目を凝らせばわかるレベルにうっすらと残っており、クラスメイトの何人かがざわついていたものだ。
すまねえ6年生、自分の八つ当たりであんな作品にしちまって…