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おこぼれ話118 借りられない、借りたくないの巻

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トラウマの本棚の回で触れた4年生の冬休みの図書室長期貸し出しの際にトラウマのせいで本を1冊も借りられなかったという話。今回はこれを掘り下げてみよう。

あの日、僕はみんなで図書室に行く直前にM田先生にこのような質問をした。
「借りなくてもだいじょうぶですか?」
それに対しての先生のアンサーは
「ダメです!借りないのは勉強しないのと同じです!」であった。
「別に図書室で本を借りるなんて学習指導要領には書いてないだろたぶん。だいたい長期休みに借りるシステムなんて文科省が決めたわけじゃなくそっち(学校側)で勝手に作ったシステムなんだから借りるも借りないも自由だろ」と僕は”借りないのは勉強しないのと同じ”発言には首をかしげていた。
オマケに長期貸し出しの際はひとり3冊まで借りられることになっていたが、このシステムの解釈は他の先生が「3冊までなら借りる数は1冊でも2冊でもいい」だがM田先生の場合は「3冊までというのは4冊以上は借りられないということ。必ず3冊借りなきゃダメ」という解釈になっており、M田先生のもとで学ぶ生徒もそれに従わなければならない。今までこの解釈違いを気にしたことなどなかったが、ここにきてそれが自分にとって大きな首枷になるとは。

その後、皆が楽し気に図書室の本棚を探し回る中、本を借りたくない自分はただ図書室の中をうろうろするしかなかった。
時間が終了して、皆が次々教室に戻っていく中でも僕は1冊も本を手に取ることなくまだ図書室にいた。
この様子を本が決められないものと思った図書室のボランティアの人たちが僕にいろんな本を進めてきた。
「リョーマくん、こっちの本はどう?」「ダメならこっちは?」
…違うんだ、本が見つからないんじゃない…僕はどんな本も借りたくない…借りられないんだ…
僕は思わずボランティアの人たちにこんな言葉をかけた。
「だって、嫌なんだもん、借りるのが…またなんか言われそうで…」
その様子を見たボランティアの方は僕に一冊の本を持ってきた
「じゃあこれはどう?”しらんぷり”って絵本なんだけど、嫌なヤツなんかしらんぷり!みたいな気分で借りてみるのは…」
ごめん…しらんぷりだか何だか知らないけど今の僕はとても本を借りられる状況じゃないんだ…
結局そのまま授業時間は終了し、僕は一冊も借りないという決断を下し、図書室のボランティアの方々もそれを快く受け入れてくださり、僕は教室に戻った。あれだけ借りないとダメといってた先生も何一つこのことに文句を言わなかった。

以前も書いた通り僕にとって本を借りないというのは決して問題ではなかった。
「だって自分には漫画もゲームもあるからヒマにはならない」と。
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