リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

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おこぼれ話106 ウ・イーって何?~八つ当たりを考えよう~

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小4のクリスマス。僕はサンタからのプレゼントとして「NewスーパーマリオブラザーズWii」をもらえることとなった。
友達のトモくんがクリスマスに何もらうのかの話題をふってきたとき、そのことをトモくんに話したら彼は突然泣きまじりのキレ気味で僕にこう言ってきた。

「一緒にするなぁ!お前確か誕生日に買ってもらったイナズマイレブン2まだクリアしてないつったよな!それなのに新しいソフト買ってもらうんじゃ一生イナズマクリアできないじゃね~か!」
…向こうが話題をふってきたのに、僕はただ事実を言っただけなのに突然こんなことを言われて当然ながら戸惑った。なぜ彼がこんな感じになってしまったのかは当時の自分にはわからなかった。
だが今なら以下のように予測する。

トモくんはクリスマスの2ヵ月前に発売されたイナズマイレブン2のソフトをファイア・ブリザードの両方を買っていた(ちなみに僕はファイアを買ってもらった)。
しかし彼はブリザードのほうばかり進めており、ファイアは手付かずであると自ら公言していた。
イナズマはクリア後もやりこみ要素がある。彼は早い段階でブリザードをクリアしていたが、その後もブリザードのやりこみを進めていて変わらずファイアは手付かずだったのだろう(2つのソフトを同時進行もなかなか難しい話だが)。
それで親から「まだクリアしてないソフトがあるのに新しいのはダメ」とでも言われてほしかったマリオをクリスマスに手にすることはかなわなかったのだろう。それでまだクリアしてないソフトがあるのに新しいソフトを買ってもらえる僕に八つ当たりしたのだろう。
もしくは「こないだ2つもソフト買ったばかりだから新しいの買うのは早すぎるからダメ」とかって言われたとか。もちろん真実は彼にしかわからないが。
子供の教育的観点から考えて、ゲームのやりすぎや小遣いの使い過ぎ(買ってもらうにしても親の出費になるし)を防ぐ観点からもまだクリアしてないソフトがあるのに新しいソフトを買うってのはあまりよろしくないことだ。実際僕が子供のころ読んでたゲーム雑誌にも「前のソフトをクリアするまで新しいソフトは買っちゃダメ」なんて書いてあったものだ。
だからといって八つ当たりしていい理由にはならない。

そしてクリスマス当日の朝。僕含め多くのクラスメイトの家にこの日の未明にサンタがやってきたので学校ではみんな「何もらったか」という話題になる。
僕もそれに交じって「ニュースーパーマリオWiiもらった」といったがそれを聞いたトモくんはこう言ってきた
「リョーマ、”ウ・イー”って何?」
…確かに僕の”Wii”の発音は独特であった。”Wii”は"ウィー"と発音するのが正しいのだが僕は”ウ”と”イ”の間に点を置くかんじで”ウ・イー”と発音していた。自分としては今まで通りの発音のつもりであり、実際問題今までこのことを指摘する人は誰一人いなかった(口に出さなかっただけで気になってた人もいるだろうが)。
だがトモくんとしては何とか僕を叩く…というか八つ当たりのための材料をさがしてこの発音にたどり着いたのだろう。

このことを指摘された僕は「何言ってんの?ゲーム機のことだよ?」と言い返したが、トモくんは「はぁ?そんなゲーム機知らんし?」と反論。その後も僕は「リモコン振ったりして操作するんだよ?持ってないのお前?」といえば
トモくんは「リモコン振らないといけないの?操作しづらそうだなそれw」とかって言い返してくる。どうしても僕が言っているゲーム機は実在のゲーム機「Wii」ではなく謎のゲーム機「ウ・イー」ってことにしたかったのだろう。どこまでも八つ当たりには余念のない男だ。
もちろんほんとのことは彼にしかわからんが、ほしいソフトを買ってもらえない現実を、買ってもらえた人間である僕をおちょくることで埋めていたのだろう。
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