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おこぼれ話75 ふきのとうを探して

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皆さんは「ふきのとう」と聞いて何を思い浮かべるであろうか?
一般的には春の山菜の代表格、年齢が上の方だとフォークデュオのほうを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれない。平成生まれの僕にとってはバリバリ前者だ。
今回はそんなふきのとうにまつわるお話し。

僕がふきのとうという山菜を知ったのは小2の時、国語の教科書に載ってた「ふきのとう」という物語で知ったのだ。
だが初めてその名を聞いた時は僕は漢字で書くと「ふきの塔」と思っていて、塔みたいに通常よりもメチャクチャ長いふきのことだと思っていた。(ちなみに北海道には”ラワンブキ”というめっちゃ長いふきが名産の町がある。)
だからこそ教科書で初めてその姿を拝んだ時、「え~っ!?これがふきのとう?ちっこい癖に”とう(塔)”なんてたいそうな名前つけやがって!!」なんて思ったものだ。

「ふきのとう」の物語の主役はタイトル通りふきのとうだ。春、雪が溶けてそこからふきのとうが顔を出すという春の訪れを感じさせる新学年の初めにぴったりな物語だ。
ファンタジーに顔が描かれるとか、擬人化もデフォルメもされていない、リアルなふきのとうだ。故に挿絵ではリアルにふきのとうが描かれている。
だがリアルなふきのとうの物語とはいえ、この物語ではいわゆる擬人法を使って、ふきのとうの視点から描かれるセリフで成り立っていく。植物という本来はしゃべらない存在の気持ちを筆者がセリフで代弁する。そこに面白さを感じたのだ(うろ覚えなので多少間違ってたらごめんなさい)。
当時はまだ「擬人法」なる言葉は習ってなかったが、僕はこの物語で間違いなく擬人法という表現の面白さを知った。擬人法で雪溶けから顔を出すふきのとうの物語を読むことによって同時に生命や自然の神秘も感じたものだ。
ふきのとうさん、たいそうな名前つけやがってとか言ってごめんなさい。物語を読んであなたのすごさがわかりました。

そしてこの物語を習っていたころ、授業で実際にふきのとうを探しに行こうとクラス皆で近所の大きな公園に向かった。
このとき4月中旬。外は雪がほぼ溶けきっていて自転車とかは乗れるような状態だったが、公園の敷地内とかはところどころ雪が残っていた。
そして公園で多数のふきのとうが生えてるところを発見。教科書のイラストよりもたくさん生えていてまさに大量発生という感じであった。
ひとり一個ずつ給食の牛乳パックの空きに入れてお持ち帰り。我が家に持って帰った分は天ぷらに姿を変えてその日の晩のおかずになりましたとさ。
学校に戻った後、先生が「春(=ふきのとう)をいっぱい見つけましたね」といった直後、窓をのぞくと季節外れの雪が。トモくんがそれを指さし「冬を見つけた」なんて言っていたのを思い出す。

その日以来、ふきのとうが1カ月ほど僕の中でマイブームとなっていった。
あの頃は出かけた時にふきのとうを見つけるたび「あっ!ふきのとうだ!!」なんて喜んでたものだ。ああ、無邪気だったな…
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