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おこぼれ話47 なんで私が前のほうに!?

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幼稚園の頃から、僕はいつも背の順で並ぶときは真ん中あたりか、真ん中よりちょっと後ろあたりであった。
自分にとっても「真ん中が定位置」と認識していた。でも自分より背が高い人にあこがれることもあった。もうちょっと後ろに並びたいと思ったこともある。あの頃はデカい=強いと思い込んでおり、デカいものにあこがれる主義だったのだ。
だが1度だけ、前のほうに並ぶ羽目になったことがある。2年生の後半の話だ。

僕の通っていた小学校では(というか全国的にそうなのかもしれないが)、身体測定が春と秋の2回行われていた。
身体測定終了から数日後に背の順が改訂され、半年間その位置で並ぶのだ。
そして2年生秋の身体測定。僕の身長の伸び具合はいつも通りといった感じであった何センチ伸びたかは忘れてしまったうえ、自分は平均的にどれぐらい伸びてたのかも覚えてないが「まあいつも通りの伸び具合だな。今回も背の順は真ん中か?」。と思った記憶はある。

しかし数日後、新しい背の順で初めて並ぶ日。先生の指示に従い順番に並んでいく。
そして僕の順番は…
「リョーマくんは…ここですね。」
「ようリョーマ!お前にしては珍しく前のほうじゃないか!」
僕の1~2つ前に並んでいる前のほうの常連のセイタくんとトモくんが笑いながら声をかける。なんと僕の並び位置は男子13~15人ぐらいいた中で前から5~6番目だったのだ!
当然僕は受け入れられず「オレがそんな低いはずはない!何かの間違いだろ!?」と心の中で何度も叫んだがこれはきちんとした計測の結果だ。おそらく他の子の伸び率に対して自分の伸び率があまり大きくなかったためこのような事態になったのだろう。

それからしばらくは前のほうから見る景色に戸惑い続ける毎日であったが、時がたつにつれ今まで味わったことのない前のほうからの景色を楽しもうという風に考えが変わっていった。
それに前のほうにはセイタくんやトモくんといった親しい友達もいるし、待ち時間などに話とかができて楽しかった。嬉しいこともあったのだ。
半年たっていよいよ2年生も終わりというころにはこの景色にもすっかり慣れてしまい、どこか名残惜しく感じてしまったぐらいだ。

結局前のほうに並んだのはそれが最初で最後だ。3年生前半以降は上記の通り真ん中らへんに再び戻った。
だが前のほうで過ごしたあの半年は、僕の小学校生活の中でも貴重な半年といっても過言ではなかった。それぐらい忘れない体験だ。たかが背の順でここまで語れてしまうぐらいだから…
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