リョーマ伝～小学生編～

おこぼれ話27 宛先のない年賀状

2年生の元旦、年明けとともに我が家にもたくさんの年賀状が届く。
しかしそのほとんどが両親あてである。僕は特にクラスメイトと年賀状のやり取りをしていないし、住所や郵便番号も教えてないからだ。

だがそんな僕にもクラスメイトから年賀状が届いた。トモくんからだ。
以前に年賀状のやり取りをしていて、我が家の住所と郵便番号を覚えていたようだ。失礼ながら僕はそのことをすっかり忘れてしまっていた。
この年はネズミ年ということもあり、トモくんはピカチュウのイラストを描いていた。
後はいとこと先生から来たぐらいだ。（もちろん送ってきてくれたことはありがたいが）
僕宛の年賀状はこの3枚…と思っていた。

しかし翌日夕方。僕と両親がが初詣から帰ってくると、家のポストに１枚のハガキが…
そのハガキには「リョーマ様」と僕の名前と差出人本人の名前のみが書かれ、住所や電話番号は書かれてなかった。
ではその差出人は誰かというと、セイタくんである。
セイタくんは我が家の住所や郵便番号を知らないはずである。だが住所は知らなくても”我が家の場所”はしっている。これまで何度も遊びに来ているからだ。
年賀状を取り出した後、留守番をしてくれた祖母から「昼ぐらいに歩いて誰だかポストに手紙を入れていた男の子がいた」との話が。
セイタくんは郵便番号や住所がわからなくポストに出すことはできないから、雪の積もった寒空の中歩いて我が家へ直接届けてくれたのだ。君はなんてガッツのある友達思いな子なんだ！感謝！

ちなみにセイタくんの年賀状は市販のポケモン柄で、さらに手描きのピカチュウのイラストも添えられていた。
やっぱり、ネズミ年はピカチュウのイラストがトレンドだったのかねえ…