リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

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おこぼれ話20 木を植える。ただひたすらに。

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1・2年生の6月、僕たちは山のほうに行って植樹祭に参加した。
…といっても1年生の時は雨天中止となったので、実際に参加したのは2年生のときのみであったが。

植樹祭は結構急な斜面で行われる(山中なので急なのは当たり前かもしれないが)。
といってもバランスが取れなくなるほどではないが。
僕たちが植樹したのは「ナナカマド」の苗。
名前を聞いた瞬間僕は「ナナカマド博士だー!」とか言ってはしゃぎまくった。
ナナカマド博士は当時のポケモン最新作「ダイヤモンド・パール」に登場する博士である。
大好きなゲームに出てくるキャラクターと同じ名前の植物を植えるのがなんか嬉しかったのだ(ちなみにDPではジムリーダーのスモモが好きだったのはヒミツ)

木は何十年も、場合によっては何百年も生き続ける。僕らの肉体が滅んだ後も生き続けるかもしれないものを植えると思うとかなりプレッシャーがかかる。
木といえば自分の中ではぶっといイメージだったが(もちろん、細い木もあるけど)、その苗は自分の想像とは大きくかけ離れたうかつに扱ったら折れてしまいそうなほっそいものだった。
バランスが取れなくなるほどではないとはいえ、やっぱり斜面はきつい。それでもこの先ずっとこの地で育ち続けるものであるから、この地で芽吹き続けるようしっかり植えなければならない。
最初は不安だったがやり方を係の人に教えてもらって、僕もしっかり植樹できた。

学校へ戻った後、学校の玄関に何やらダンボールが山積みになっている…
そのダンボールをよーく見ると…ファンタと書いているではないか!もらえるのか!?僕は期待に胸を膨らませながらファンタがもらえる時を待ち、残りの授業を受けていた。
ところで一部の女子は「炭酸は骨を溶かすからヤダ」とか言っていた。健康に気を遣うのは大事だし、何を考えようが個人の自由だが。「そりゃ飲みすぎは体に良くないが、配られるのは1本だけなんだし、毎日何10リットルも飲むわけじゃないから神経質もよくないだろ。こっちの気分に水を差さないでくれよ」なんて目で僕は見ていた(もちろん僕も飲みすぎには注意している。)というかこの時は「自分が正しい」とか思ってるヤツが気に入らなかったというのもあるが。上記の女子のやり取りからはそのようなオーラが漂ってきたのだ。

そして帰りの会、ついにその時がやってきた。
「今日の植樹祭に参加してくれたお礼として、主催者の皆様からジュースをいただきました!」
…ついにその時がやってきた。生徒一人一人にファンタグレープが配られる時が!
前の席から後ろに回す形で行われた配布。後ろの席にいた僕は、配られるのを心待ちにしながら待機。
そして僕の手元に渡った時「よっしゃー!」となった。人生でこんなに感動したファンタは初めてだ。

その翌日、もう一つの記念品としてハスカップの苗も生徒全員に送られた。
ちなみに雨天中止となった1年生の時もブルーベリーの苗が送られた。
ハスカップの苗が配られる時、僕は長い苗が欲しいと思ったが、自分の手に渡った苗はぱっと見他の人より短く感じた。僕は先生に「なんか僕のだけ短くないですか?」と言ったら「苗なんて短いもんです!」と一蹴された。
だがブルーベリーもハスカップもその後我が家の庭でしっかり育ってくれましたとさ。
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