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おこぼれ話11 リョーマと不思議のダンジョン

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2年生の秋、図工で制作する作品の材料となる木の枝や枯葉を拾うため学校から歩いてそこそこの距離の広い公園へ。
僕は仲のいいトモくんやリュウくんと一緒に散策していた。
そんな中、トモくんの提案である遊びを行いながら進んでいくこととなった。
「ポケモン不思議のダンジョンごっこ」である。

ポケモン不思議のダンジョン…通称「ポケダン」と言えばポケモンの外伝作品の中でも根強いファンを多く持つ作品だ。当時その第2作である「時の探検隊・闇の探検隊」が発売され、僕たちの間でも大いに盛り上がっていた。
そんな中、ビッグスケールの大冒険を現実世界でできる範囲で再現してしまおうという画期的な遊び、それが「ダンジョンごっこ」なのだ。

まずは普通に道を歩き、トモくんが「敵が来たぞー!」とか言ったら攻撃のポーズをとる。
ゲーム内における戦闘をエアで再現する。この際敵役は設けない。敵もエアだ。
ゲームにおいても敵は決まった場所に現れず歩いていて突然出くわすものだ。
現実世界では姿を変えることのない決まった形の地形を歩くこととなるが、ゲームにおいてはランダムで地形が形成される。ダンジョンの各フロアの内部構造がどうなっているかは各フロアに入るまでわからない。だが地形に関しては現実世界で再現不可能だ。だからこそエアで再現可能な戦闘は没入感を引き立てるものであった。

だが本物の敵役が設けられることもあった。
それは道中で隣のクラスの女子が僕にちょっかいをかけてきたときのこと。トモくんが僕に「やれ!リョーマ!」と指示してきたので僕は道で拾った葉っぱを「フォレストボール!」といって彼女らに投げつけた。
直撃はしなかったが彼女たちは悲鳴を上げて逃げ出した。
その後先生にチクられるとかはなかったため彼女たちにしてもそんなに嫌なことじゃなかったかと思うが今考えれば葉っぱだからケガしないとはいえよろしくないことだと思う。反省。

そして時間も残り少ない中で黄色い植物がびっしりと生い茂るエリアに到着し、僕は「エレキへいげんだ!」と叫んだ。「エレキへいげん」はゲームにに登場するダンジョンで、びっしりではないが黄色い草が生えている。ゲームの世界に入ったようなエリアについて感動のあまり声をあげたのだ。
ちなみに僕はゲーム内のエレキへいげんでかなり苦戦した。自分の主人公ポケモンはワニノコで、ここは名前から想像できる通りその天敵であるでんきタイプが多数登場するダンジョンだったからだ。オマケにボスもでんきタイプのレントラーとルクシオ一味だ。
大冒険気分に浸ったまま、名残惜しくも散策時間は終了。

それ以降も僕はトモくんたちと休み時間に体育館やグラウンドでダンジョンごっこをした。
だがあの時公園でした時の感動は越えられなかった。やっぱり自然でやるからこその遊びなのだろう。
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