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おこぼれ話10 籠城(サボ)れ!リョーマさん

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僕の通っていた小学校では給食が終わればすぐ掃除の時間。昼休みはほぼ掃除で終わる。
掃除が早く終われば少し遊ぶ時間があるぐらいだ。2~3時間目の間の中休みで自由に遊べるから問題はないんだけどね。
基本的に僕は掃除には真面目に取り組むほうであった。
だが2年生の一時時期、掃除の時間になればサボってトイレにこもっていた時期がある。

給食の食器を下げてごちそうさまを言ったらまっすぐトイレへ。そのまま昼休みを終えようという寸法だ。班のみんなには「便秘気味でトイレが長引いてしまった」と説明すればいい。そうしておけば「なら仕方ないか」とみんな思ってくれるだろうと思っていた。
だが常識的に考えて学校生活で義務付けられている掃除よりも自分のトイレを優先するなど人間として許されざる行為だ。生理現象は仕方ないことだが、したいのであれば掃除が終わってからでもできる。腹が痛くて立っていられない状況であればまた別だが自分の場合はいたって健康。トイレを優先する理由は一切ない。トイレを言い訳にサボりたいだけだ。

最初の頃はこの行為を注意するものは誰一人いなかった。だが回を重ねるごとに直接言われてはないが「リョーマはいっつもトイレでサボってる」という陰口が聞こえてくるようになる。
だが表向きでは「便秘」という正当な理由でのトイレなのだ。自分はやり方を変えるつもりはなく以降もトイレでサボり続けた。
だがある日の昼休み終了後、5時間目の初め…

「え~〇班の皆さんは掃除が完璧にできていなかったので放課後やり直しです!」
自分たちの班だけ、放課後居残り掃除となった。
「…ああ、これは十中八九自分が原因だ…」そうわかってはいたが、自分の中では今まで一度もなく、話題にすらあがらなかった「居残り掃除」のシステムを勝手に突然予告なしに導入されたことに対する怒りのほうが強かった。自業自得だが。

だがここでひるんで終わるリョーマじゃない。とっとと掃除を終わらせ…ではなくマッハで帰ろう。つまりまたサボろうと思っていたのだ。
そして帰りの会。「さようなら」の挨拶が終わった後僕は突然珍妙な言葉を口に出しはじめる。
「バッテリー…ゴー!メタルドライブスーパーチャージオン!」
…これはでんぢゃらすじーさんのアニメ版でじーさんの車が変形するときに行ってたセリフだ。うろ覚えだが。
変形した車は超スピードで走る設定だが、これはその車のようにマッハで帰ろうという意味と、絶対自分を止めようとするヤツらが現れるだろうからそいつらへの威嚇の意味合いもあった。
この言葉を口ずさみながら僕はマッハで教室を去っていこうとし、玄関の下駄箱まではたどり着けたが、もはやそこまで。クラスメイト数人につかまり、そのまま連行された。その後は素直に掃除に参加しましたとさ。

これに懲りてその後はサボらず…と思いきやそれ以降もトイレサボりは継続…
「また居残りにならなきゃいいだけの話。他のみんなが頑張ってくれれば大丈夫」…と思っていたからだ。お前なあ…
それから数週間後…
「〇班の皆さんはまた居残り掃除です!」
ハイ、やっぱりね。この時班の女子一人が習い事を理由に掃除の免除が許可されたが自分も「病院に行くので先帰っていいですか?」とウソをついたら「病院なんてこの時間まだあいてないから掃除の後でも間に合います!」と一括された。作戦失敗。
だが懲りずに帰りの会が終わった後、またしてもダッシュで帰ろうとするがもちろん止められる。
その後は真面目に掃除に取り組んだ。


それから数日後先生が僕の親を訪問してきて「リョーマくんこないだ居残り掃除文句言わず頑張ってましたよ」
という報告が…なんだか恥ずかしくなった。
これに懲りてこれ以降は昼休みにトイレにこもって掃除をサボることはなくなった。
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