リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

文字の大きさ
上 下
148 / 504

おこぼれ話10 籠城(サボ)れ!リョーマさん

しおりを挟む
僕の通っていた小学校では給食が終わればすぐ掃除の時間。昼休みはほぼ掃除で終わる。
掃除が早く終われば少し遊ぶ時間があるぐらいだ。2~3時間目の間の中休みで自由に遊べるから問題はないんだけどね。
基本的に僕は掃除には真面目に取り組むほうであった。
だが2年生の一時時期、掃除の時間になればサボってトイレにこもっていた時期がある。

給食の食器を下げてごちそうさまを言ったらまっすぐトイレへ。そのまま昼休みを終えようという寸法だ。班のみんなには「便秘気味でトイレが長引いてしまった」と説明すればいい。そうしておけば「なら仕方ないか」とみんな思ってくれるだろうと思っていた。
だが常識的に考えて学校生活で義務付けられている掃除よりも自分のトイレを優先するなど人間として許されざる行為だ。生理現象は仕方ないことだが、したいのであれば掃除が終わってからでもできる。腹が痛くて立っていられない状況であればまた別だが自分の場合はいたって健康。トイレを優先する理由は一切ない。トイレを言い訳にサボりたいだけだ。

最初の頃はこの行為を注意するものは誰一人いなかった。だが回を重ねるごとに直接言われてはないが「リョーマはいっつもトイレでサボってる」という陰口が聞こえてくるようになる。
だが表向きでは「便秘」という正当な理由でのトイレなのだ。自分はやり方を変えるつもりはなく以降もトイレでサボり続けた。
だがある日の昼休み終了後、5時間目の初め…

「え~〇班の皆さんは掃除が完璧にできていなかったので放課後やり直しです!」
自分たちの班だけ、放課後居残り掃除となった。
「…ああ、これは十中八九自分が原因だ…」そうわかってはいたが、自分の中では今まで一度もなく、話題にすらあがらなかった「居残り掃除」のシステムを勝手に突然予告なしに導入されたことに対する怒りのほうが強かった。自業自得だが。

だがここでひるんで終わるリョーマじゃない。とっとと掃除を終わらせ…ではなくマッハで帰ろう。つまりまたサボろうと思っていたのだ。
そして帰りの会。「さようなら」の挨拶が終わった後僕は突然珍妙な言葉を口に出しはじめる。
「バッテリー…ゴー!メタルドライブスーパーチャージオン!」
…これはでんぢゃらすじーさんのアニメ版でじーさんの車が変形するときに行ってたセリフだ。うろ覚えだが。
変形した車は超スピードで走る設定だが、これはその車のようにマッハで帰ろうという意味と、絶対自分を止めようとするヤツらが現れるだろうからそいつらへの威嚇の意味合いもあった。
この言葉を口ずさみながら僕はマッハで教室を去っていこうとし、玄関の下駄箱まではたどり着けたが、もはやそこまで。クラスメイト数人につかまり、そのまま連行された。その後は素直に掃除に参加しましたとさ。

これに懲りてその後はサボらず…と思いきやそれ以降もトイレサボりは継続…
「また居残りにならなきゃいいだけの話。他のみんなが頑張ってくれれば大丈夫」…と思っていたからだ。お前なあ…
それから数週間後…
「〇班の皆さんはまた居残り掃除です!」
ハイ、やっぱりね。この時班の女子一人が習い事を理由に掃除の免除が許可されたが自分も「病院に行くので先帰っていいですか?」とウソをついたら「病院なんてこの時間まだあいてないから掃除の後でも間に合います!」と一括された。作戦失敗。
だが懲りずに帰りの会が終わった後、またしてもダッシュで帰ろうとするがもちろん止められる。
その後は真面目に掃除に取り組んだ。


それから数日後先生が僕の親を訪問してきて「リョーマくんこないだ居残り掃除文句言わず頑張ってましたよ」
という報告が…なんだか恥ずかしくなった。
これに懲りてこれ以降は昼休みにトイレにこもって掃除をサボることはなくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

リョーマ的Y2K子供文化史考

一刀星リョーマ
エッセイ・ノンフィクション
あの時少年だった筆者があの時の少年少女とそうでなかった人たちに贈る、2000年代~10年代初頭の子供文化に関する考察と持論集

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...