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おこぼれ話3 音読を恥ずかしがるな!
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音読カード…それは国語の教科書の文章や手持ちの本を音読し、それを記録して提出する毎日行われる宿題である。
1年生の1学期の終わりごろに始まり、4年生まで続いていた。
音読カードには音読した日付と音読した作品のタイトルを記入し、保護者にサイン(といっても署名ではなく印鑑やキャラクターとかのシールやイラストでもOK。実際僕はシールはってもらってた。)をしてもらう。毎朝提出し、その日の帰りの会で先生がチェックをつけて返却するのだ。
1年生の時は先生が欄外にコメントをしてくれたり、国語の授業の展開に合わせて「次は〇〇(作品名)を読もう」などとアドバイスをしてくれた。
このころ僕は基本的に国語の時間で今やっている文章を毎日読み、先生のコメントが入ったら新しい文章に切り替えるという形式で毎日行っていた。
毎日毎日サボらずやってた。僕にしては真面目に。
だがあることがきっかけで突然サボりだしてしまう。
それはある日の返却時のことであった。
音読カードの欄外の先生のコメントである。
「次は”ずうっとずうっと大好きだよ”を読もう」というものであった。
僕はこのタイトルを見て「なんか恥ずかしいタイトルだな…」と思ってしまい、そのまま2週間ほどサボってしまった。
「ずうっとずうっと大好きだよ(タイトル間違えてたらごめんなさい)」…教科書に載っている物語なのだが、実際は恥ずかしいことなんかなくメチャクチャエエ話である。説明は割愛させていただくが、気になる方は各自で調べていただきたい。めっちゃエエ話だから。
音読をサボり始めてから2週間ほどが経ったある日、この1か月間ほど忘れず毎日音読カードを提出した人たちに先生からトロフィーが授与された。工作用木材と針金で作った手のひらサイズの気球型だ。
別にぼくはそれをうらやましいとは思わなかった。わざわざ恥ずかしい思いをしてまでもらうもんでもないと思ったからだ。
しかしトロフィーが手渡された直後、警告と言わんばかりに先生が僕をはじめとするサボってた人たちの名を強い口調で読み上げた。
「〇〇!××!そしてリョーマ!
や れ!!」
先生に「やれ」などと言われたのは初めてだ。だがこれだけでは音読をやろうという気にはならなかった。
問題はその直後である。
「リョーマ、お前国語の成績アップしたいか?」
先生がなぜか僕だけ単独名指しで呼びかける。一番不満そうな表情してたからであろうか。
国語の成績は義務教育9年間特によからず悪からずほぼほぼ安定していたのだが、ああやって言うぐらいだから当時は悪かったのか?それとも僕を鼓舞するためなのか?このころの成績のことはよく覚えてない。
先生の呼びかけに対して僕は
「はい!アップアップしたいです!」
と答えた。
「アップアップ」のような同じ単語を繰り返す言葉は当時僕が感情が高ぶった時によく使ってた言葉だ。
感情が高ぶった時なので、プラスの感情の時にもマイナスの感情の時にも使っていた。
今回の場合は先生に単独名指しされたことに対する屈辱と皮肉の意が込められていたのだ。誰も気づかないと思うが。
が、素直なところもあったのが自分だ。
その日、帰った後はしっかり音読に取り組んだ。名指しされたのがよっぽど悔しかったのだ。負けを認めて真面目に取り組んだのだ。
それからはサボらずに毎日毎日真面目に…と言いたいところだが、2年生になると実際は音読してないにもかかわらず虚偽の報告をする「なんちゃって音読」をよくやってた。スンマセン。
1年生の1学期の終わりごろに始まり、4年生まで続いていた。
音読カードには音読した日付と音読した作品のタイトルを記入し、保護者にサイン(といっても署名ではなく印鑑やキャラクターとかのシールやイラストでもOK。実際僕はシールはってもらってた。)をしてもらう。毎朝提出し、その日の帰りの会で先生がチェックをつけて返却するのだ。
1年生の時は先生が欄外にコメントをしてくれたり、国語の授業の展開に合わせて「次は〇〇(作品名)を読もう」などとアドバイスをしてくれた。
このころ僕は基本的に国語の時間で今やっている文章を毎日読み、先生のコメントが入ったら新しい文章に切り替えるという形式で毎日行っていた。
毎日毎日サボらずやってた。僕にしては真面目に。
だがあることがきっかけで突然サボりだしてしまう。
それはある日の返却時のことであった。
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「次は”ずうっとずうっと大好きだよ”を読もう」というものであった。
僕はこのタイトルを見て「なんか恥ずかしいタイトルだな…」と思ってしまい、そのまま2週間ほどサボってしまった。
「ずうっとずうっと大好きだよ(タイトル間違えてたらごめんなさい)」…教科書に載っている物語なのだが、実際は恥ずかしいことなんかなくメチャクチャエエ話である。説明は割愛させていただくが、気になる方は各自で調べていただきたい。めっちゃエエ話だから。
音読をサボり始めてから2週間ほどが経ったある日、この1か月間ほど忘れず毎日音読カードを提出した人たちに先生からトロフィーが授与された。工作用木材と針金で作った手のひらサイズの気球型だ。
別にぼくはそれをうらやましいとは思わなかった。わざわざ恥ずかしい思いをしてまでもらうもんでもないと思ったからだ。
しかしトロフィーが手渡された直後、警告と言わんばかりに先生が僕をはじめとするサボってた人たちの名を強い口調で読み上げた。
「〇〇!××!そしてリョーマ!
や れ!!」
先生に「やれ」などと言われたのは初めてだ。だがこれだけでは音読をやろうという気にはならなかった。
問題はその直後である。
「リョーマ、お前国語の成績アップしたいか?」
先生がなぜか僕だけ単独名指しで呼びかける。一番不満そうな表情してたからであろうか。
国語の成績は義務教育9年間特によからず悪からずほぼほぼ安定していたのだが、ああやって言うぐらいだから当時は悪かったのか?それとも僕を鼓舞するためなのか?このころの成績のことはよく覚えてない。
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と答えた。
「アップアップ」のような同じ単語を繰り返す言葉は当時僕が感情が高ぶった時によく使ってた言葉だ。
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今回の場合は先生に単独名指しされたことに対する屈辱と皮肉の意が込められていたのだ。誰も気づかないと思うが。
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その日、帰った後はしっかり音読に取り組んだ。名指しされたのがよっぽど悔しかったのだ。負けを認めて真面目に取り組んだのだ。
それからはサボらずに毎日毎日真面目に…と言いたいところだが、2年生になると実際は音読してないにもかかわらず虚偽の報告をする「なんちゃって音読」をよくやってた。スンマセン。
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