リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

文字の大きさ
上 下
137 / 504

記録ノ137 6年生を送る会 送られるのは僕らかい?~キレる12歳の地図~

しおりを挟む
3月上旬、6年生を送る会の日がやってきた。
去年までの5年間、僕たちは毎年この時期に卒業生を送り出すためにゲームやら歌やら演奏やらをやってきた。
だが今年はいよいよ僕らが送られる番だ。

当日の登校日、僕は教室の前についたとたん、突然シュウジくんに呼び止められる。
「リョーマ!練習忘れて何遅れてんだよ!」
どうやら2年生の出し物で2年生VS6年生の九九暗唱対決があるらしく、ぼくも6年生代表として立候補していたらしく、当日朝早くに練習のため教室に集まる約束だったらしいのだ。こりゃついうっかり…みんなすまねえ。
で、遅ればせながら練習に参加。それぞれ担当の段を決めて2年生と1対1でどっちが早く言えるかを勝負する形式だ。
僕の担当は7の段。しかし…
「7×1=7、7×2=14、7×3=24…」
「リョーマ!遅れてきたうえ何間違えてるんだよ!」
九九なんて日常的に結構使うもの。だが時間の壁があると思うといくら得意なことでも焦って空回りしてしまうのだ。
自分は時間制限に弱い男だ。自分にとってどうしても「急ぐ=焦る」になってしまう。昔からの悪い癖だ。
「あのな~!人間焦っちまう時も失敗するときもあるだろ!だったらお前言ってみろよ!オレより早く!」
僕はシュウジくんにちょいガチギレした。
「ああ言ってやんよ! 7×1=7、7×2=14、7×3=21、7×4=28、7×5=35…」
結局シュウジくんは間違えず完璧に言った。
そんなこんなで練習再開…となった直後、別のメンバーから指摘が…
「あれ?そういやリョーマ代表じゃないよな?」
…どうやらシュウジくんの勘違い&僕の記憶違いだったようだ。キレてすまん。

そんなこんなで会本番。最初は6年生と1年生が手をつないで体育館に入場する。
例年なら流行りのJ-POPとかのカッコイイ曲がこの時使われるのだが、この年は「ある子供向け楽曲」のオルゴール版が使われた。
「ガキっぽい曲使いやがって!オレたちをなめとんのかワレ!」…心の中で僕はブチギレた。
その後は各学年の出し物。例年ゲーム企画は2つ以上の学年がやっていたが、この年は前述の2年生だけ。
その他の学年は歌ったり、演奏したりするだけ。ある学年は挨拶もなしに突然歌いだし、最後に「卒業おめでとう」的な簡単なメッセージを述べただけであった。今までの自分たちのやってきたことや、例年の他学年の出し物に比べて貧相に感じた。
「こっちの苦労も知らずして!こちとら今までゲームだのクイズだのやった後にさらに演奏や歌やってきたんだぞ!お前らはいいよな!歌や演奏だけ練習すればいいんだから!」…出ました。リョーマくん本日2回目の心の中ブチギレ。
まあ、今思えば他学年にとっちゃ今までこっちが何をやってきたかなんて知らないだろうから仕方ない。というか出し物を決めるのは先生方だし。

その後は恒例のキャンドルセレモニーを行って終了。最高学年の魂を5年生に引き渡し、送る会は幕を閉じた。
しかしリョーマの心は教室に戻ってもまだブチギレモードであった。
朝、勘違いで散々どやされた(僕にも非はあるが)こと、BGMや内容への不満…キレる12歳、一刀星リョーマの怒りはこの日の昼休みぐらいまで収まらなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

リョーマ的Y2K子供文化史考

一刀星リョーマ
エッセイ・ノンフィクション
あの時少年だった筆者があの時の少年少女とそうでなかった人たちに贈る、2000年代~10年代初頭の子供文化に関する考察と持論集

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...