リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

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記録ノ133 卒業文集を完成させよ

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3学期が始まって間もない1月下旬、僕たちはいよいよ卒業文集の制作に取り掛かることとなる。
6年間の真の集大成と言え、将来の自分、そしていつか自分たちのそばにいてくれる大切な人たちのためにも大切な、卒業を控えた「今」がつまった小学校生活の結晶だ。

まずはその文集に載せる作文の執筆にとりかかる。
その内容は6年間で印象に残ってること、将来の夢やそれに向けて頑張りたいこと、中学校で頑張りたいことなどなんでもいい。
僕は6年間で1番の思い出として修学旅行をテーマに作文を書くことにした。
だが最初の下書きでできあがった作文は正直、見るに堪えないものであった。
以前もお話しした通り僕は作文大嫌い人間だった。今回のもただ修学旅行であった出来事を箇条書き程度に書いたものをひたすら並べて原稿用紙を埋めたようなものであった。
作文を書くとき、最低でも用紙〇枚は書こうとか言われるとただ頭に浮かんだことを見栄えとか構成とか(起承転結はちゃんと気をつけるけど)気にせずにただ目標の枚数、マス数を埋めることだけを念頭に書いていく人生をこの6年間送ってきた。
めんどくさいことはやる気がなくなって手が滞るか、出来を考えずにさっさと終わらせることだけを念頭に置くかのどちらか。それが一刀星リョーマだ。
しかしそれが結果として災いを呼ぶこととなる。

最初の下書きをM上先生に渡し、その翌日に先生の添削付きで返却がなされた。
誤字脱字や習ってる漢字をひらがなで書いてしまってるといった場合には修正が入る。
そして僕の下書きも手元に戻ってきた。しかしその下書きを見るとあれまビックリ!
誤字脱字や書けてない漢字だけでなく、接続詞を追加するとか、別に直さなくていいと僕が思ったところまで添削が入ってるではないか!ほとんどの段落につけたしが入っている!
誤字脱字や習ってる漢字が書けてないのは修正されて当たり前なのはわかっているから文句はない。だがそれ以外の部分も手を加えることはないじゃないか!そんな怒りのあまり、僕は先生にチョイ切れ気味で指摘しに行った。
「なんで直さなくていいとこまで勝手に付け加えるんですか!?ここまで手を加える必要もないでしょう!?」
それに対する先生のアンサーはこうだ。

「だって卒業文集だよ!?」

…その一言で僕は目が覚めた。
上にも書いた通り卒業文集は卒業前の「今」がつまった結晶だ。未来永劫残るものだ。
もしあの出来の文章をそのまま載せて、それを将来自分のそばにいてくれる人が見たらどう思うか?
そのことを考えると先生の添削はしっかり受け入れ、恥ずかしくない文章にしっかり直す。それが正しい答えだろう。
その後、僕は先生の添削に沿って2回目の下書きを行い、先生の確認の結果、OKをもらったのでその文章で清書を行い、文集に掲載されることとなった。
まあ、修正後の文も他の生徒のと比べちゃ文章力で圧倒的に劣ることに変わりはないんだけどね。字も汚いし。
それでも先生はOKしてくれたことには感謝してるし、チョイ切れしたのは申し訳ないと思っている。

もうひとつ、文集にはアンケートを掲載するコーナーがある。
クラスごとに異なる質問が出され(各クラスの代表者数人が質問を担当)、その質問の回答を専用の紙に書いてそれを張り付けたものを文集に掲載する形だ。質問は全部で7つ。その中からいくつかピックアップして紹介しよう。
「1億円あったらどう使う?」という質問は「家建てるか旅行に使うか貯金」と回答。大金あったらでっかい家に住みたいしどっか遠くにも行きたい。そう思ったことのある人はたくさんいるだろう。
「M上先生を一言で表せば?」では「ゴリラ」と回答。ゴリラ顔だったからな先生は。僕ふくめ計4人が「ゴリラ」と回答し、その部分はまとめて並べて掲載されていた。先生も苦笑いだったw
「生まれ変わったら何の動物になりたいか?」では「コモドオオトカゲ」と書いた。特になりたい動物もなかなか思いつかなかった中で、ケイちゃんがこう回答していたのに影響されたのだw
そして難航したのは「有名人で両親にするなら?」これまたなかなか思い浮かばず、気づけば締め切り数日前を迎える。結局最後まで思い浮かばなかったので「なし」と回答。(ほかにもなしと回答した人が1人いた。)
そのページには太いマジックで殴り書きで「なし」と書かれた僕の回答がひときわ異彩を放っていた。
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