リョーマ伝～小学生編～

記録ノ130 劇団6年生解散公演～思わぬ伏兵 下級生あなどるなかれ～

迎えた児童公開日、僕たち6年生の出番は2日目の1番最後。
児童公開日でも、保護者公開日でも6年生は必ず大トリを担当すると毎年決まっている。
もちろん、我々の発表の前に下級生の発表がある。
「下級生の出し物が我々最高学年にかなうワケがない。真打である我々の”前座”であるかわいい出し物を堪能してやろう。」失礼ながらそんな気持ちで下級生の出し物を観ようかと思っていた。
しかしなめた罰が当たったのか、下級生の底力を思い知ることとなる。

まず衝撃を覚えたのは2年生の劇。
「赤ずきんちゃん」をパロディにした劇で、赤ずきんだけでなく青ずきんや黄色ずきんなどいろんな色のキャラが出てくる。オリジナル要素をいれながらも赤ずきんの本筋はしっかり沿っている。
「内容も演技力も年相応だな」と思いながら観ていたら最後に度肝を抜かれる。
終盤に登場した猟師が持っていた銃が我々の劇の兵士たちの銃よりクオリティが高いではないか！
どっちもダンボール製だがウチのは完全ダンボールだけで作って色も茶色1色だけ。
しかし向こうは銃口をトイレットペーパーの筒のようなものを使い、その部分に銀紙を張り付けてよりリアルに仕上げてるではないか！なんだかこの後我々の銃を披露するのが恥ずかしく感じてしまう。
クラスメイトも「銃ウチよりカッケーじゃん！」とかって持ちきりだった。
2年生の皆さん、年相応とかなめてごめんなさい。

その次に衝撃を覚えたのは3年生の合奏だ。
去年僕らがやったみたいに演奏の前に寸劇が盛り込まれる仕組みで、セットリストはミッキーマウスマーチ→マリオのテーマ→水戸黄門→宇宙戦艦ヤマトの四曲。さらに演奏中にも様々な演出が施されている。
水戸黄門は僕らも去年やった曲であったが演奏中にはドラマさながらに黄門一行役の子たちが体育館銃を一周するという会場全体を使った演出で盛り上げる。
ヤマトパートも原作のイメージを損なわないシリアスさで演技力もよかった。
水戸黄門はこの年をもって地上波での放送が終了、ヤマトは当時実写版が公開とそれぞれ注目されてた中でのセレクトという時事性も子供心にタイムリーだなと思いながら観ていた。
ミッキーマウスマーチの前にはディズニーキャラに扮した子たちが盛り上げたが、ミニー役の子（男）がディズニーに全く関係ない「忘れ物するなよ」（当時社会現象となった「マルマルモリモリ」の一節）の一言を発し、会場は大爆笑。

しかし一番すごかったのはマリオパートだ。
演奏中にステージ上でマリオのゲーム画面を再現。
マリオ役の子がゲームさながらに動き、黒子役がそれに合わせてブロックや敵キャラが描かれたパネルをもって流れるように出てくる。動きも本物のゲームで画面がスクロールするようにスムーズだ。
ブロックを叩いたり、敵を踏んだり（黒子役の子を直接踏んでるわけではない）、まさにゲーム画面を観ているようであった。
マリオ役もすごいが、黒子役の動きもすごかった。それらが組み合わさることにより見事な芸術となった。
もちろんクラスメイトもこの演出には全員感銘を受けていた。
あのマリオは仮装大賞に出場できるレベルだった。こりゃ一本取られた！この後の自分たちの発表が恥ずかしい！
そんなことを思いながらこの発表の後、休憩をはさんでいよいよ僕たちの発表へ。

下級生のあんなすごい発表を見せられた後だ、オレらは最高学年とはいえかなわない…こっちはこっちで気楽にやろう！もちろん間違えないように…僕はそんな感じで舞台に上がった。
僕含め誰一人失敗せず、何とか無事に大トリを務めることができた。
こうして児童公開日は幕を閉じたが、まだ保護者公開日が残っている。
今回以上に最高の劇にするためにも学年一丸となって頑張ろう！そんなムードが学年中に漂ってきた。
しかしここからが本当に大変な時だ！以下次回！