リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

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記録ノ127 スライムもりもり実験クラブ

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以前お話しした実験クラブ。
それは僕の予想通り楽しく過ごせるクラブであった。
6年生はクラブの心臓部を担うという点では負担とプレッシャーも大きかったがそれはどんな部に入れども同じこと。実験クラブで行う実験の数々は理科の授業でやる実験とは比べ物にならないぐらいの面白さ。心臓部としてのプレッシャーなんて吹き飛ぶ楽しさであった。「間違いない。実験クラブこここそがオレの居場所だ!」
…クラブ活動の日になるたびに、部室である理科室にはいるたびに心の中でそうつぶやいていた。
しかし僕は常々思っていたことがある。
せっかく実験クラブに入ったんだから「アレ」やりたいと。

…では、「アレ」とは何ぞや?
「アレ」とは小学生人気ナンバー1といっても過言ではない、自由研究の定番としてもおなじみの実験、「スライム作り」である。
以前学校のバザーやイベントなどで何回かやったことがあるが、自分が人生で行った実験の中で特に楽しかった。
せっかくの実験クラブなんだから、理科室でみんなで盛大に作りたい!…それがかねてからの僕の願いであった。
クラブでの毎回の実験内容は部長のケイちゃんが先生と相談して決める。
そして毎回の終わりに次回は何をやるのかをみんなに伝える。
…しかしスライム作りはなかなか出てこなかった。最初に4・5年生への呼び込みを行ったときにやる予定の実験のひとつとして名前が挙がったのに。
しかしクラブ活動も終盤に差し掛かった11月某日(クラブ・委員会は毎年11月末で終わり)、ついにケイちゃんから発表が…
「次回はスライム作りを行います!」
ついに僕の願いが叶う時が来た…僕は思わず心の中で涙を流した。

そして次のクラブ活動の日、いよいよスライム作り開始!
材料はホウ砂、せんたくのり、色をつけるための絵の具。たったこれだけ。ね、簡単でしょ?
せんたくのりは6年生が用意するという話だったので僕は100均で買ってきてでっかいボトルのを学校に持ってきたが、ケイちゃん曰く「オレが用意するから大丈夫だった」のこと。聞き間違いすまねえ。
結局僕の持ってきたせんたくのりはスライムに姿を変えることなく帰宅後、母の手により本来の役目(=洗濯)を果たすこととなる。
あとのふたつは学校にあるものを使う。

そしていよいよスライム作りスタート。まずはホウ砂を水で溶いてよく混ぜる。
ホウ砂は毒性があるので扱いは慎重に。
その後せんたくのりと水を混ぜて液体を作ったら、それと先ほどのホウ砂を溶いたものを牛乳パックに移し、同時に好きな色の絵の具も入れて混ぜる。
僕は金の絵の具を選んだ。金の絵の具なんてあんまり持ってる人のいないレアアイテム(でっかい文具屋行けば手に入るけど)で、こんなところでお目にかかれるとは夢にも思ってなかったからだ…というか単に金が好きなのが一番の理由だがw
よく混ぜて、スライム特有の粘り気がでたら完成だ。ね、簡単でしょ?
混ぜて混ぜて僕のスライムにも出てきた。粘り気が…
混ぜていくうちについに完成!僕だけのゴールデンスライムが!
ただ、思ったほどの派手な金色ではなく、半透明でうっすらとした金色であった。だが僕は「こういうもんなんだろう」として不問とした。

うっすらでも金色に輝く物体を伸ばしたり、コネコネしたりする瞬間は快感であった。
帰宅後も自慢のスライムに触りまくり、手持ちのフィギュアの顔をくっつけて顔型をとったりして遊びまくった。
翌日以降も毎日のように触りまくっていたが、次第にスライムの宿命「固くなる」に直面していくことになる。
スライムが必ず直面することであるので予想はしていた。だからこそ最初の2日間は遊びまくったのだ。
3日たったあたりでスライムは固くなりはじめ、伸ばしにくくなっていった。
さらに2日後にはすっかりカッチカチになり、かつてのように伸ばしたりできなくなっていった。もはやこれは固いゼリーだ。食べられないが。
役目を終えたスライムは翌日、ゴミ袋の中へと消えていった。
君と過ごした黄金のような日々は忘れないよ、ゴールデンスライムくん。
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