リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

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記録ノ126 格差onクラシック

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10月下旬某日、僕たち6年生は札幌にある「キタラ」という道内のクラシックコンサートの聖地といえるコンサートホールにコンサートを鑑賞しに行った。
4つ前の話で書いた「心の劇場」みたいな感じで市内の小学生を無料招待するコンサートで、我々も招待されたというワケだ。

ホール内に入り、あたりを見渡すと客席は見渡す限り1階席にも2階席にも市内各地の学校から集まった小学生たちでいっぱい。
皆私服で参加している中で、2階席に1組だけ「制服に角帽」の集団が…
クラスメイトの何人かもこの集団に気づいた後は彼らの話題で持ちきりだった。
「なんか2階席に帽子かぶってる集団がいるんだが…」
「制服に角帽」…皆さんお気づきのようだが彼らは私立小学校の生徒たちである。
僕も彼らの姿が目に入った瞬間、「私立のヤツらも来てんのかよ!さすがオーラが違うぜ…」と思わず心の中でつぶやいた。
僕にとって私立の小学校の生徒のイメージは「金持ちの子で、受験戦争を勝ち抜き勝ち組の未来が保証された選ばれし精鋭たち」であった。平凡的な家庭の生まれで、その中でも人より取り柄が少ない「庶民の底辺」である僕にとって彼らの存在は余計まぶしく感じたのだ。(誤解のないよう言うが僕は平凡的な家庭に生まれたことを消して悔やんではいない)

コンサート中も彼らの動向が気になって仕方なかった。
1曲目の演奏が終わった後、指揮者の人が「キタラでコンサートを観に来たことがある人~!」と聞くとうちの学校の生徒たちは1~2人ほど手を挙げてたかどうかという感じで、他の学校の生徒も挙手率が引くかったが、私立の生徒たちは5人ぐらい手を挙げており、他の学校にくらべて驚異の挙手率であった。
子供の頃なんて普通クラシックコンサートなんてあんまり行かないもの。僕だって今回が初めてだ。「さすが私立に入るヤツらだ…親からしっかりした教育受けてんだな」…ますます彼らが神々しく感じた。

コンサートが折り返し地点に差し掛かったあたりでうちの学校の連中の中では暇そうな表情を見せるもの、眠気と戦うものも出始めた。
時刻はお昼、クラシックは眠気を誘う曲も多いから仕方ないのかもしれない。
だが私立の生徒たちはそんな表情を一切見せなかった。「やはりエリートとしてそれは当たり前か…」と僕は思った。
その後、クライマックスではオーケストラの「翼をください」の演奏に合わせて観客一同で合唱。
やはり私立の生徒たちの歌声も気になったが、僕ら含め全員が歌うんだから聞き取れるワケなかった。
こうして僕の初クラシックコンサート鑑賞は幕を閉じた。

結局、僕にとって今回のコンサートでいちばん心に残ったのは、オーケストラの美しい音色でも、会場一体となって合唱したことでもない、それらも響いたがいちばん心に残ったのは「私立の生徒のオーラ」だ。
格差社会…子供心にそれを垣間見たような気がした。
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