リョーマ伝～小学生編～

記録ノ114 帰ってきたU先生

7月某日の3・4時間目、6年生初のプール学習の日。
その日は例年通りに生徒たちが皆一生懸命に泳ぎに磨きをかけていた。
皆が集中する中、プール場内に突如響いた聞き覚えのある声…

「みんな、久しぶり！」
その声の主はなんと去年教育実習生として我がクラスで過ごしていたU先生！事前の告知もない完全サプライズ登場だったので僕含め生徒たちの驚きの声がプール場内に響き渡った。M上先生もかなり驚いていた。
といってもU先生が学校を訪問するためには事前に連絡と許可が必要だと思うし、後述の特別授業のことを考えるとM上先生はU先生が来ることを知っていて、生徒たちには内緒にしていた可能性もある。ただ、U先生は来校のことは校長先生など上のほうにだけ連絡して「M上先生には内緒にしておいてください」と頼んだ可能性も考えうるが。

そして給食と昼休みを挟んで5時間目の総合の時間。この日予定していた内容を変更して、U先生によるサプライズ特別授業が行われた。
実習期間が終わってから今日までにあったいろんな出来事、今も先生目指して勉強中であること、さらに大学の仲間がプレゼントしてくれた似顔絵と直筆メッセージ入りのTシャツも見せてくれた。
U先生はそのTシャツを通じて僕らに「仲間や友達を持つことの大切さ」を熱く訴えた。
僕も「やっぱ友達って大事なものなんだ」と考えるようになった。U先生の思いは生徒一人一人に届いたことだろう。普段の授業では学べないことを学べたとても濃密な午後であった。

この授業を最後に、僕たちはU先生には会ってない、その後どうなったかを知る友達もいないし本人からも連絡がない。
僕は今でもふとU先生のことを思い出すことがある。彼は今頃どうしているか…どこかで先生をやっているのか…と。