リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

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記録ノ99 6年生ヒットチャート

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6年生の卒業が近づいた2月、我々5年生にはある指名が課される。
「卒業委員会」だ。6年生に感謝の気持ちを伝え、送り出すために5年生がいくつかのグループに分かれて様々な企画を行う特別な委員会だ。
卒業を祝う企画となるとその中心となるのはやはり在校生の中での最高学年となる我々5年生。
改めて我々は準最高学年、6年生抜きにしたら自分たちがてっぺんなのだと思い知らされ、重圧と使命感が生まれた。

卒業委員会で僕が入ったのは「放送委員会」。
6年生にアンケートを取ってその結果をお昼の校内放送で発表したり、6年生のリクエストが多かった曲を流したりするのだ。
僕がこの委員会に入った理由…それは「放送室への未練」だ。
以前お話ししたしょーもない理由で通常の放送委員を断念した僕だったが、放送室へのあこがれは捨てきれなかった。放送室はいらずして小学校生活終われるか!
これなら毎日やるわけじゃないし昼休みじゃなくて給食時間にやるから自由も失われない。オレのための委員会じゃねえか!私はこれで決めました。

放送委員での僕に課せられた仕事。それは6年生の好きな曲アンケートの集計とその発表だ。
アンケートの集計は隣のクラスのK田くんという男子と一緒に行った。
K田くんは3年生の時に転校してきた子だが、僕と一緒のクラスになったことはないためほとんど話したことがなかった(中学も同じ学校だがそこでも同じクラスにはならず)ので最初は少し不安だった。
しかし一緒に作業していくうちにお互いの趣味などで意気投合し、作業も楽しくなっていった。

その6年生の好きな歌のアンケートは6年生の担任の先生を通じてプリントを一人一人に配ってもらいそこに一人3曲まで書いてもらう形式だ。
多く挙がった曲は嵐などのジャニーズの曲、残酷な天使のテーゼなどの定番アニソン、また、ボカロ曲も何件か挙がっていた。
アンケートの集計中、僕は「初音ミク」を「はつねみく」と読むことをK田くんを通じて知った。
それまでミクのことは名前しか知らず、ずっと「はつおんみく」と読むものと思っていた。今となってはめっちゃハズイ。ミクさんごめん。そして教えてくれてありがとうK田くん。

そしてアーティスト別で最も多く挙がったのが当時まさに全盛期だったAKB48。
あの頃は四六時中、TVをつけても街中歩いててもAKBの曲をよく耳にした。前田敦子に大島優子…彼女らの名前を聞かない日なんてなかった。僕らのクラスにもファンはいっぱいいた。宿泊学習のばすでも彼らはAKBのクイズで盛り上がっていた。
アンケートの結果、曲別ではAKBの曲がワンツーフィニッシュ。
1位は忘れたが、2位は野菜ジュースとのタイアップで生まれた「野菜シスターズ」だった。

その数日後、いよいよ放送の日。すなわち僕の小学校生活最大の夢といっても過言ではない「放送室に入る」という夢がかなう日。給食時間中盤、僕はK田くんや女子2名とともに放送室へ向かった。
放送室に入った瞬間、僕の心は小学校生活の中でも五本の指に入るぐらいの感動に包まれた。小2の時の交通安全標語で銅賞取った時や小5の運動会の短距離走で2位になった時に匹敵する感動だったかもしれない。低学年の時からの何年越しもの夢が今かなったのだから。

しかし感動に浸ってばかりもいられない。ここに来た本当の目的は「放送でしっかりとアンケートの結果を読み上げること」なのだから。
僕に課せられたセリフは「第2位はAKB48で野菜シスターズです。」そのひと言のみ。
3位の曲紹介が終わり、次はいよいよ第2位。
野菜シスターズのイントロが流れた後、僕はマイクに向かって声を放った。
「第2位はAKB48で野菜シスターズです!」
…緊張はしたが何とか噛まずに言えた。夢の放送室での夢の責務。見事に成し遂げて見せた。
もちろん、6年生や他の在校生たちに楽しんでもらう気持ちも忘れずに。

放送は無事成功に終わったが、僕たちには「6年生を送る会」を成功させるもう一つの使命が残されている。
それについては次回!
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