リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

文字の大きさ
上 下
92 / 504

記録ノ92 もしも現実主義者にマジックを見せると

しおりを挟む
周年式典からさかのぼること2週間前、もう一つの周年記念行事として学校に札幌在住のプロマジシャンの方が来校され、体育館でマジックを披露してくれた。
自分は生でマジックを見たことはほとんどなかったのでかねてから楽しみにしていた。それも学校で見られるというのだから貴重な経験だ。うちの学校でこういうことしてくれることほとんどないから。

そして当日、オープニングから繰り広げられる派手なマジックの数々。ステッキが布に変わるヤツとかリングを素早くつなげたり離したりするヤツなど定番どころを余すことなく披露。今まで映像で何度も目に焼き付けてきたマジックを今、学校の体育館という場で生で見られていることに感動していた。
しかし僕の隣に座っていたシュンくんや近くに座っていた男子数人は「タネがバレバレでつまらない」と言いながら見ていた。上記のリングのマジックも「ストラップと同じ原理じゃね?」と発言。「原理的には一緒かもしれないが、ストラップのリングはあんなに簡単につなげたり外せたりしないだろう。ストラップと全く同じやつ使ってるわけじゃないだろう」と僕は反論した。

後半には飛び入り参加のコーナー。挙手した生徒から1名がマジックに参加する。
僕含め、学年全体でかなりの人数が挙手していた。あんなにタネわかったとか言ってたシュンくんも。
しかし指名されたのは4年生の男子だった。彼はエアガンを使ったマジック(指示された場所を撃つとカードが出てくるというもの)に参加した。

そのマジックが終わるとまた飛び入り参加者を募集。
僕も今度こそと手をあげたが、その直後…
「さっきは男の子だったから今度は女の子にしよう!」
…ここで僕の夢は途絶えた。ただの目立ちたい野郎の僕の夢が。手を下げた僕の腕が重く感じた…
ちなみにこの時クラスメイトのシュウジくんが「夢はアイドルです!」とか言ってふざけて手を挙げていた。転んでもただでは起きない彼のガッツにある意味感動した。
結局、指名されたのは隣のクラスの女子。男子は4年生だったのに女子は5年生なのはなんか悔しかった。
彼女が手伝ったのは先生から借りた1万円札を破いてマジシャンがライターで燃やすと、彼女の手に元通りになった1万円札があるというもの。
マジシャンが1万円札を燃やした瞬間、なんか見たこともないエネルギーが会場に広がって彼女の拳に入り込んだ。あれはどういう原理なのかは全くっ想像できない。なんかアニメの世界のようなすごいものを見たと思って今日一番感動した。


マジックショー終了後、最後にあんなすごいもの見たんだから考えも変わっているだろうとシュンくんに感想を聞いてみたが
「ほとんどタネがバレバレでつまんなかった」という変わらずの感想だった。
「そりゃマジックはタネがあるものだけどお前が想像しているようなタネとは原理が違うかもしれないだろ!もうちょっと夢見ろよ!」と心の中で叫んでしまった。
まあ彼に言わせてみれば「お前は夢見すぎ」なのだろうが。

マジックって、現実主義者ではなく僕のような夢見がちな人間のみが楽しむことを許された芸術なのかもしれない。
まあ僕もタネを想像したりするが。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

リョーマ的Y2K子供文化史考

一刀星リョーマ
エッセイ・ノンフィクション
あの時少年だった筆者があの時の少年少女とそうでなかった人たちに贈る、2000年代~10年代初頭の子供文化に関する考察と持論集

アルファポリスで規約違反しないために気を付けていることメモ

youmery
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスで小説を投稿させてもらう中で、気を付けていることや気付いたことをメモしていきます。 小説を投稿しようとお考えの皆さんの参考になれば。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...