リョーマ伝~小学生編~

一刀星リョーマ

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記録ノ80 実習生は我らの先輩

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2学期が始まって間もなく、僕らの5年2組に教育実習生がやってくるというニュースが入ってきた。
その実習生の名はU先生。M上先生に負けず劣らずのスポーツマン系で、野球をやっている。
そして誰もが驚いたのが彼の出自。なんと僕たちの小学校の卒業生なのだ!
最初に校内TV放送で他のクラスを含めた全校に向けて挨拶した際に校長先生によってそのことが紹介されるとクラス中がどよめいた。

放送を終えた後、ついに教室にU先生降臨。皆から暖かな拍手で出迎えられ、少し照れくさそうながらも笑顔で教室入りした。
なんたって僕らの先輩。この校舎で学んでこうして母校に戻ってくるというのはU先生にとっても感慨深かったであろう。僕も先輩が実習生なのがうれしかった。
その嬉しさがきわまって、ふだんは自分から初対面の人間に声をかけることがほとんどない僕も教室に入ってきてクラスの誰よりも真っ先にU先生に声をかけた。

「これから僕たちをよろしくお願いします!U”先輩”!」

…これは決して先生をおちょくっていたわけでどウケ狙いでもない。先輩と一緒に勉強できるうれしさ、そして何よりも先輩であるU先生へのリスペクトのつもりであった。
でもクラス一同は大爆笑で、U先生もM上先生も笑って受けいれていた。
しかし僕がU先生を先輩呼ばわりしたのはこれが最初で最後である。以降はきっちり「先生」と呼んでいるのでご安心を。

U先生の実習期間は1ヵ月。
基本は教室でM上先生が授業する様子を見て教え方を学んだり、時にM上先生の補佐役や生徒のサポート役を担ったりして、先生になるためのイロハを学んでいく。
休み時間には生徒たちと一緒に遊んだりもしてくれた。教えることだけが先生の仕事じゃない。生徒とふれあい、理解できる者にこそ先生の資格がある。
授業とふれあいの中で、U先生はすっかり僕らの人気者になっていった。
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