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やっぱり王宮だよね。転生先ってのは。

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 理解しがたい光景をまえに、僕はただこの現象に頭を抱えるしかない。
 これは.....いわゆる異世界転移と言えばいいのだろうか。
 あの教室に突如出た魔方陣と、魔方陣から感じられた魔力。そして今起こっていることも加味すれば自ずと答えはでた。
 しかし、まわりを見ればどうやら異世界転移と直感的に理解している人は少なかった。
 しているのは、大抵がオタクと僕だけだった。

 何故か彼らが嬉しそうにワナワナしているから、僕が勝手にそう解釈をしただけだが.....まぁあっているだろうな。そういう小説や漫画、日本にいっぱいあったし。
 
 と、僕が頭のなかで必死決死に思考をついえていたら、おもむろに玉座に座っていた王様が立ち上がった。
 
 王様は立ち上がったその足で自ら前にあるきだす。隣には側近のようなご年配の方が一歩手前からついてきていた。

 そして、王様は僕たちのめのまえにたちまち来ると、

「勇者よ。よくぞ参った。さぁそなたらの力を貸してもらうか」

 まるで我が物顔で言い張る。まぁ、ここではそれが常識なのだろうけど、だめだぜ。それじゃあ。ここにいるのは近代日本の、しかも思春期真っ盛りの生意気高校生たちだ。そんな態度ではこの混沌とした生徒たちの癇癪を逆撫でするだけだぜ。

「ふざけんなよ、おっさん!! なにいきなり意味わかんねー事いってんだ!? まさかとは思うがお前たちが俺たちを無理矢理つれて来たんじゃねーだろぉな!!」

 ほぉら言った通りだ。案の定、うちのクラスが誇るほどの熱血野郎、大雅(たいが)が雄叫びをあげながら王様に文句をはきちらす。
 しかし大雅よ。お前もここの常識がわかっていないのは同じだ。
 ここは王国。王が中心。王が絶対。王が頂点なんだ。そう言うところだから、

「貴様ぁ! 王に対し、なんたる無礼な態度だ! 不敬であるぞ!」

 ほらな。思った通りだ。王の筋骨隆々な近衛兵が手に持っている槍を大雅に向け、威嚇というなの殺気をはなった。
 しかし、大雅は怯まない。それどころか、近衛兵の対応にことさら怒りが増したみたいだ。顔が真っ赤になっていた。
 結構根性あんだな。そう感心する。

「てめぇ、ふざけんじゃねぇぞ!! ぶっ殺されてぇのか!?」

 なおも大雅の威勢は止まらない。もう近衛兵を無視して王に近づきだした始末だ。
 王はそれに後ずさる。隣の白髪なおじいさんも驚いていた。
 異様なピリピリとした空気がこの場を支配する。
 緊張を余儀なくされる謁見の間。その緊張が暫時沈黙を作っていた。
 
 睨みあう王と大雅。そして威嚇し続ける近衛兵。それらの光景を言い合わせぬ不安と、緊張の眼差しで見つめるクラスメート。おどおどとしている白装束の団体たち.....もうとにかく剣呑と、沢山の意思が混濁しているとしか言うしかない。
 
 これは少し、ヤバイかもな。
 
 今この場は、ある一本の糸がピンと引っ張られてあと少しで切れそうな緊迫状態。...まぁ要するに暴動が起こりそうだということだ。
 
 ふっ。これはもしかしたら来たかも知れない。僕は不穏な空気がはりつめている中、悠々とそんな場違いな事を心の中で、呟いた。

 ヤバイ状態なのにも関わらず....だ。

 そう、ヤバイ状態だからだ。もしも、もしも、だ。僕がこの場を冷静沈着に、しかもクールに納めれたらどうなる? そう、あいつスゲー状態だ。これだったら僕の名前を、クラスの人たちにうえつけられるかもしれない。
 本当は寂しかったのだ。名前も覚えてくれない状況に。
 だから僕はここで、そんな状況におさらばする。

 このはりつめた空気をどうにかするのには、一応ながらも自信はある。前世ではよく目上の相手と接する事が多かったからな。そこでこの経験である。

 王をなだめ、生徒たちに冷静な判断を戻させ、荒ぶるタイガーを鎮める。
 
 うん。完璧なオプションだ。

 僕はこれから来るであろう羨望の眼差しと、みんなからくる喝采に期待しながら、上気した昂る気持ちをおさえ、王と大雅の間に踏みいろうと一歩踏み出した。
 
 さぁ、やってや『ガチャン!!!』

 やってやるぜという僕の決意の現れである一言は、扉が荒く開かれる、煩(わず)わしい音にかきけされた。
 一体全体なんなんだ。僕はそう思い音がなった扉に振り向く。いや、僕だけではない。この場にいる、全ての人たちがそこを振り向いた。
 
 そこにいたのは豪華な衣装───ドレスとでも言えばいいのか。そのドレスはうすく青く、まるで透き通るような色合い。そんなドレスを身に包むのは美女。いや、美少女。
 まるで見るものを魅了してしまいそうな、美しく整った容貌は怒りに少々歪んでいた。

 その美少女はかつかつと一歩一歩を歩みだし、誰にも有無を言わせない。
 そして、真っ直ぐ歩く彼女に道をつくる生徒たち。僕も例外ではなかった。すぐに道をつくるため横にずった。
 すれ違いざま、甘いふんわりとしたとても心地よい香りが僕の鼻をくすぐる。

 やがて彼女は、大雅を空気さながらな感じで無視して王様の前にたつ。
 
「お父様! あれほど勇者召喚はやめてと言ったのに何故聞いてくれなかったの!!」

 身をまえに乗り出しながら勢いよく豪語する彼女に、王はまるでかたなし野郎みたいに後ずさる。
 そして腰を低くして、

「違うんだよ~。こうでもしないと世界協定に入れないんだよ~。協定を結ぶにはそれなりの戦力手にいれないとダメなんだよ~。な? 分かってくれよ、シァル~」

 がくっと、膝の力が抜けた。え? 誰? この府抜けたおいさん。さっきの仰々しい威厳ある王様はどこにいった? 
 あぁ、王の近くにいる大雅も目が点になってるし。
 まさかあれか? あれなのか? 世間体では威厳があるが、反抗期の娘にはかたなしのお父さんなのか? いや、ドレスの彼女が反抗期って訳じゃないけどさ。

 まわりの生徒たちも、王様の態度が極度に変わりすぎてか、皆力がどことなく抜けていた。

 王の近衛兵と、白装束たちは、またこれか。と言いたげな雰囲気だ。

「あれほど言ったでしょう!? 異界の地にすむ住人たちを無理矢理つれてきて、非人道的極まりないですわ!! 約束、約束したのに! もう誰も悲しませないと、言ったのに! これじゃあ、あのときの二の舞じゃないですか!! お父様のばかぁ!!」

 しまいにはドレスなんて気にせず、この場をさるお姫様。かすかに僕たちを一瞥して慈しみの瞳を向けた気がした。
 ドン! とドアの閉じる音が響き、王宮の中では王の「シャル~」と気の抜けそうな、すすり泣く声が暫くほどこの場だけの声となっていた。

「あ、あの~、王さま、元気だしてくださいよ。分かりますよ。王さまの気持ち。俺も妹がいて最近思春期に入ったから邪険に扱われる日々でとても辛いんです。だから分かります。あなたの気持ち。...まだ、聞きたいことは沢山あるけど、まずはこれで涙拭いてくださいよ」

 王が無様に泣く様を哀れんだのか、それともどこかしら通ずるところがあったからなのか。それはわからぬが大雅は一変して王に紳士的な対応になっていた。
 ポッケからハンカチをとりだし、差し出しているほどだ。どうやら先程まで頭に上っていた血も、今ではもう下がりきっている。

「あ、ありがとう!」

 感極まるその喜びと感謝する王の声に、大雅は照れ臭そうに鼻をかく。

「へへ、いいってことよ」

 どこの昭和の漫画だよ。

 
 

 少しばかりの時間を使い、やっと王さまが回復した。
 
「恥ずかしい姿を見せてしまったことを詫びよう。ここからは本題だ」

 真剣みの帯びた声で馳せる王さま。しかし先程の様子をみていたから、どこか気が抜けてしまう。
 クラスメートたちは、未だにざわついてはいたが、王さまは気にせず続ける。

「二年前のことだ。この世界では災厄なる最悪の王。魔王が存在していた」

 どこか感慨深く王さまは言った。
 しかし魔王か...久々聞いた名だ。やはりここは僕がもといた世界だったのか。まさかとは思ってたが...
 じゃあ、と言うことは妹に会えるかもしれないじゃないか。そんな喜びと期待が僕のなかを交差したが、少し考えてみると、この広い世界で妹がどこにいるかなんて分からない。
 探すのは困難そうだ。
 僕は妹の無事を僕は全くもって心配していない。だって、僕の妹なんだ。きっと無事なんだって確信している。

 僕はそんな事を考えていると、王は口を開きはじめた。

「魔王を筆頭とした魔王軍によって、人間は惨殺され、段々と地も枯れていく...悲鳴は瞬く間に世界を覆いつくし、絶望が撒き散らされていた......しかし、そんな魔王から世界を救い出したものがいる。それが勇者だ」

 勇者...か。これも久し振りに聞いた名だよ。戦地では命を取り合う仲であったが、最後の魔王戦では彼女に多大なる感謝をしている。無理矢理ではあったが、妹を助けてくれたのは確かだ。感謝してもしきれないな。
 父の仇...か。少しばかりここでの過去を思い出していたら、嫌な思い出が僕の頭の中を駆け巡った。
 飛び散る鮮血。人肉を切る感触。幾度となく体験した殺し。
 クソっ! 胸くそが悪くなってしまった。 
 僕は忘れ去るように。いいや、忘れてはいけない記憶を払うように首を静かに振った。
 すると、王は僕の様子にも気づかず、続ける。

「勇者はまさに最強。まさに強烈。まさに天災なみの力をもってして魔王をその手で滅ぼした。
 迎える平和。迎える安静。その全てはまさしく勇者のお陰と言えよう。
 しかし、そんな安定もある予言によって今脅かされている」

 予言? なんの事なのだろうか。

「これから二年後、魔王が復活すると言う予言だ...っ!」

 王は少し震えた声でいい放った。そして、表情に少しばかり闇がはびこる。
 しかし王はすぐにそんな闇をぬぐい去り、前を見た。僕たち生徒を見直したのだ。

「事実、その預言者の言うことは全て正しく、予言したすべての事柄が起こっている。魔王の件も本当なんだろう.....。そこでだ。我々は勇者を召喚して、魔王を倒そうと言うことになったのだ。
 そこで、そなたらは召喚された。どうだろうか。力を貸してくれてはくれぬか?」   
  
 王の問いかけ───もとい助けをこう姿にクラスメートがざわつく。その人雑多の中から、一人の男が生徒たちの一歩前に出てきた。
 その生徒はDQNの中でも、かなり危険のやつと言う噂だ。...一応、学校の裏サイトではSランクだった。つまり、イケメンだ。...くそ。
 
「なぁ、王さまぁ」

「む、なんだ」

「王さまはさぁ、建前的には魔王がでるから助けてくれっていってくけどさぁ」

「それが、どうした」

「いやさ、それだけでもイラつくんだけど。
 本当はまだ別の理由があるからだろ?
 王さまさっきさ、世界協定がなんちゃらかんちゃらって言ってたじゃん? 
 本当は、その協定に入るために俺らを召喚したんだろ?いやぁ~、まぁ、これはぁ? 王さまが勝手に一人で口走ったことなんだけどさ?
 なんか曲解して言われると腹立つんだよね。そうゆう所気を付けてね?
 あー、あと、これだけは覚えといて。
 俺って無理矢理やるのは好きだけど、無理矢理やられると癪にさわるから」

 そう言うと彼は生徒たちの中に戻っていった。
 なんか、すげぇな。うん。色んな意味であいつとは関わりたくない。
 そう思っている矢先、誰かが手をあげた。しかし人と人とが混雑しているこの中では、挙げた手しか見えない。
 挙げられた手が前に進む。
 
 そして、人混みから出てきたのは先生だった。てっ、先生いたんかい。

「王さま、とでも言えばいいのですかね」

「うむ。それでよい。してどうした?」

「私たちを日本に帰してください」

 淡白に、コンパクトに直結に先生は告げた。

「むぅ、これはまたまっすぐな....すまないがそれは出来ない」

「何故です? 彼らには日本に家族もいる。ここは文化も違う。それに魔王と戦う力なんてないし、戦いなんて...平和ボケした俺たちではほとんど戦力外になります」
 
「そちの意見も十分理解や納得はいく。しかし、無理なのだ。召喚したものを返すことなどできぬのだ。すまぬが、祖国に返すことは出来ない」

「はぁ~、じゃぁ仕方ねぇな。って、なると思いました?」

 先生は突如として、王の胸ぐらをつかんだ。

「!? 貴様ぁ不敬であるぞ!!」

「モブは黙っとけぇ! 不敬であるぞしか言葉知らねぇんじゃねぇかぁ!? あぁ!? それと王さまさんよぉ、ふざけてんじゃねぇぞ? 勝手に連れてきて返せないですたぁ? いぃーい度胸じゃねぇか。俺は一教師なんだよ。こいつらの先生なんだよ!! 先生ってのは生徒の安全が一番なんだよ! てめぇ、生徒こんなところに連れてきて殺されてぇのか!? クソやろうが!!!」

 先生はぐわんぐわんと王さまの首部分を何度も大きく揺さぶって吐き散らす。
 か、かっけぇ。
 元ヤンだとは知ってたけど、ここまで義理堅いとは知らなかった。

「ま、まて。安全ならば、ほ、保証する。だから離せ」

 苦渋の表情で王は弁明する。すると、先生は王の襟部分を手放した。

「なら、いいや」

 先生はさっきまでの熱い意気も、意気消沈していた。
 え、いいの? 
 そんな僕の気持ちとは裏腹に、先生は普通に戻ってった。

「ふぅー、ふぅー、あ、安全は各面で保証する。住居もちゃんと用意しておる。食事面も心配は要らぬ」

 息を整えながら王は言う。
 
 と、王の休む暇はない。すぐにまた、生徒の中の誰かが手を上げる。
 明らかに王は嫌な表情になるが、無視するわけにもいかないのだろう。

「前にこい。まったく。襟をつかむのはなしだぞ」

 まったくもー、と王は疑心暗鬼になりながら、近づいてくる生徒に少し怯えていた。

「僕たちは先生の言った通り力なんてなんもないんすよ。そこらの問題はいったいどうするんですか?」

 前に出てきたのは...ぐふっ、イケメンだ。またも学校の裏サイトでSランクに入っている園宮 総(そのみや そう)だ。爽やか系イケメンという総称で名を学校に馳せている。
 なんだよ。イケメンってやっぱ自信があるのか? まぁいいや。静かに聞いていよう。

「そこらの問題は大丈夫だ。専門の学園へと通わせる。それにそなたらには特別な祝福を受けている筈だ。能力が加算されている。洗礼の義を受ければ何らかの力が手にはいる筈だ」

「その洗礼の義、どうやるのか教えてもらってもよろしいですか?」

「簡単だ。ある特殊な素材でつくられた紙を渡す。それにアナルと唱えれば能力名と、その希少度を書いてくれる。強ければ強いほど、星の数が多い。弱くてありふれた能力ならば星の数は少ない。本当はこの義は全ての民衆にさせる。それが国民の義務だからな。しかし、発動する能力は大抵が微力のものばかり......だが、だ。異界から訪れた異界者は星の数が多いのだ。決定的にな」

 なんか一言言ってはならぬ言葉があったが、まぁこの際無視だ。

「アナル...と言えばいいんですね」

 ぼふぉ!? こいつ、言いやがった!! アナル言いやがった。あ、やべいっちった。まぁいいか、心のなかだし。
 
 て言うか園宮 総親衛隊の女子がキャーキャーうるさい!
 なんだよ! 園宮がアナルっていっただけじゃん。

 別に嫉妬って訳じゃないぞ。

 うん。

 別に。

 な。
 






 



 それからはこの王宮の間(ま)に、王の一言で若いおねえさん達がぞろぞろ入ってきた。
 おねえさん達は件(くだん)の特殊な素材でつくられた紙を回してきた。
 紙はなんだか日本にある精巧な紙ではなく、ざらざらしている少し固い紙だった。ペラペラしてみると変な匂いが鼻につくし。

「では、皆さまお唱えください。アナルと!!」

 王の近くにいた側近のおじいさんが真面目に言った。でも、むりだ。しまらない。ある単語が僕たちの間をよそよそしい雰囲気が包む。

「アナル!」

 可愛らしい声が、この場に響いた。
 発せられる声は、何をかくそう相月さんの声だった。
 あ、あの相月さんが先一番にアナルなんて...本当はエロい子だったのか!?

 もうまわりの人たちは相月さんに奇々な瞳を向けるしかない。

「? みんなどうしたの? そんなに見ちゃって」

「いや、あんたアナルって知ってる?」

 相月さんの友達である桜庭さんが、微妙な声で聞いた。

「へ? アナルってあれでしょ? 唱える呪文みたいなものなんでしょ」

 ......あれ? 相月さんってアナルを知らないのか? てゆうか相月 弧ノ枝(あいづき このえ)ファン達よ。うひゃうほキモいぞ!! いや確かに可愛い子がアナルなんて卑猥な事を言うのはなんか良いけどさ! 男のリビドーをくすぐられるけどさ! もうちょっとテンション落とそ?
 周りめっちゃひいてるから。
 
「おい聞いたか。中野氏よ。あの、あの相月さんがアナルって言ったぞ.....っ!」

 僕の隣にいた孜がいそいそと耳打ちでそんな事を言ってくる。

「うん。だまってろ」

 僕は微笑みながら静かに友を御した。




 と、友の失態を正した頃、相月さんがいるであろう所が光だした。ピンク色の光だ。
 薄い、するどい感じのピンク光が放たれていた。

「きゃあ、なんなの!? なんなの!? 紙が光だしたよ!?」

 あわてふためきだす相月さん。その周りの人たちも声には出ていなかったが、多少なりとも驚いていた。 

 王や、その側近、白装束の人たちはこの事を予め知っていたのか、さほど表情や動作に驚きは見られない。

「あぁ、なんか文字が浮き出てきたよ!!」

 嬉々とした声で相月さんはもの申した。
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