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第四章 穏やかな生活の先に
タイムリミット
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ロークアットと雑談していた諒太。そろそろ眠ろうかという話になった頃、脳裏にコール音が鳴り響いた。
【発信者 九重夏美】
どうにも嫌な予感がするも、懸念であった悪魔公爵クロケルを倒したあとだ。従って、先ほどよりも悪い状況ではないだろう。
「ロークアット、念話が入った……」
ルームメイトである姫殿下に断ってから通話に出る。ろくな話ではないだろうが、無視するわけにはならないと。
「もしもし?」
『あ、リョウちん、今大丈夫?』
「まだ奴隷のままだが、大丈夫だぞ?」
無理だと言っても夏美は話を続けるはず。よって諒太は話を促す。愚痴であれば聞いてあげるだけで済むことだ。よって彼は近くにロークアットがいることを仄めかすだけで問題ないと考えていた。
『実は迷子のローアちゃんが見つからなくてさ。最後どこにいるのか知らない?』
要件はどうやらイベントの最終局面であるらしい。廃プレイヤー揃いのマヌカハニー戦闘狂旗団でも苦労しているようだ。
少しばかり考えるも、諒太がそれを知るはずはない。また夏美はそれを分かって聞いているはずだ。諒太は若干濁された質問の真意に気付いてもいた。
「ロークアット、迷子になったとき、最後はどうなった?」
ロークアットに聞いてくれと言えなかっただけ。諒太は夏美が望むがまま、本人に回答を聞く。
「リョウ様、わたくしは迷子になっていないと申し上げたはず……」
ところが、すんなりとは進まない。どうも迷子扱いはロークアットにとって心外であるらしい。リナンシーにも訂正を促していたことを、今更ながらに思い出していた。
「じゃあ、父親を捜しに行った最後はどうなったんだ?」
聞き方を変えてみる。ロークアットの矜持を傷つけないようにと。
「最後ですか? 結局お父様は見つかりませんでした。母の誕生パーティーに間に合うようお城に戻ってきましたけれど?」
『聖王城のどこにもいないのよ!』
直ぐさまロークアットの証言を否定する夏美。どうやらロークアットは諒太に分かるはずもないと惚けている感じだ。
「ロークアット、嘘を言うな。君はどこかに隠れていたはず。怒られると分かっていたんじゃないのか?」
鋭い諒太のツッコミにロークアットは視線を泳がせた。動揺するロークアットは本当に珍しい。図星を突いたのは明らかである。
「えっと、その……。実はその通りです。黙ってお城を出ましたから……」
ここは素直に認めている。誤魔化し続けるだなんてことが真っ直ぐな彼女にできるはずもない。
「じゃあ、どこに隠れていた?」
問い質す諒太に観念したのか、ロークアットは小さな声で答えている。如何にもバツの悪そうな表情を浮かべて。
「自室のクローゼットです……」
どうやらロークアットは自室に隠れていたらしい。まあしかし、聞けば納得である。メイドたちが勝手に入ってくるはずもないのだ。
『リョウちん、サンキュー!』
慌ただしく通話が切られている。よほど焦っていたのだろう。諒太が返事をする間もなく、一方的に切断されていた。
「なんだ、あいつ……?」
「お相手はナツ様でしょうか?」
ロークアットの問いには頷く。以前と同じような質問だったのだ。相手を想像するのは難しい話ではない。
「うん、まあそれで、俺は個人的に聞きたいことがあるんだけどさ……」
今もまだ世界線が動き続けていると思う。諒太の予想通りなら、まず確実に世界が変わっている。それも諒太が望んだままに。
「最後は誰が見つけてくれたんだ?――――」
以前、語った内容とは異なっているはずだ。恐らく語られる返答は矛盾が生じているだろう。過去の返答とまるで違う話が返ってくると思う。
キョトンとしたロークアットだが、返答に時間はかからなかった。彼女は覚えているはず。世界線の動きにより、彼女は新たな記憶を得ているはずだ……。
「タルト様です……」
その返答に諒太は笑みを浮かべている。やはり急激な過去の変化に未来は影響を受けているらしい。
かつてロークアットはタルトに会ったことがないと話していたのだ。従って真っ先に彼の名が口を衝くはずもない。
「そうか……。彼はどのような人だった?」
諒太は問いを重ねるも、結果は分かっている。タルトであれば、ちゃんとした対応をしてくれただろうと。返答はもらっていなかったけれど、諒太の命令にも似た話を実行してくれたはずだと。だからこそ、ロークアットはタルトのことを覚えているのだ。
「とてもお優しい方でした。小さくなって隠れていたわたくしに手を差し伸べてくれたのです。寝ぼけていたとすれば、お父様と呼んでいたかもしれません……」
ロークアットの話に頷く諒太。期待した通りの内容は信じたままの話である。
諒太は幾つも重なったロークアットへの借りを一つ返せたような気になった。
「そうか……。良かったな?」
返答として正解かどうかは分からない。それは中身を知る諒太にしか理解できないことであり、別人との認識がある彼女には決して分からなかったことだろう。
けれども、ロークアットは笑みを浮かべ、同意するように頷いていた。彼女が持つ矜持に反する言葉を口にしてまで。
「迷子も悪くないなと思いました」――――と。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
諒太からロークアットの行き先を聞いた夏美。最終手段であったものの、時間切れになるなんて彼女は望んでいない。
「ローアちゃんは自室にあるクローゼットの中だよ!」
「本当か? リョウ氏は何でも知ってんのな?」
アアアアが訝しげに聞くと、夏美は苦笑い。かといって、本人がクローゼットに隠れていたと話しているのだ。間違いであるはずがない。
「さあ、急ごう! 報酬いただいちゃお!」
「そだね! どうせ時間が足りないんだし!」
彩葉が同意したことで更なる追及はなかった。夏美としても答えられる内容はないし、彩葉に全てを伝えたのは良かったと思える。
ロークアットの自室と聞いて知っているのはタルトだけだ。異世界で彼女に会った夏美でさえ、ロークアットの部屋がどこなのか分からない。
「ここがロークアットの部屋だ……」
「さっすがパパさん!」
彩葉の茶化しにも動じず、タルトが扉を開く。加えてクローゼットは幾つもあったというのに、彼は真っ直ぐにベッドの近くにあるクローゼットを開いた。
「聖王騎士イロハ、看破を頼む……」
「うん……」
今のところロークアットの姿はない。だが、それは看破を必要とする事象だとタルトは考えている。ここでも悩むことなくイロハに看破の使用を要求していた。
「看破!!」
タルトの背中越し。イロハが実行した看破の輝きがクローゼットに満ちた。
次の瞬間、露わになる。巨大な金庫がある隣。小さく丸まった少女の姿が……。
意図せず訪れた二人の邂逅。視線を合わす二人の様子は何だか得も言われぬ感情を覚えてしまう。特に未来を知っている夏美には……。
「さあ、出てくるのだ……」
タルトが差し出した手は直ぐに取られることなどなかった。全身黒鎧の男を警戒しているのか、ロークアットはジッと見つめるだけである。
「どなたですか……?」
小さな声が返されている。その声には全員が落胆してしまうが、現状はイベントであって誰であっても同じように返されているはずだ。
「我はタルトだ。マヌカハニー戦闘狂旗団を指揮する大いなる盾。今宵は姫殿下の捜索に駆け付けたのだ……」
タルトがそう話すと、ロークアットは差し出されたその手を取る。彼女のとても小さな手が漆黒のガントレットに触れていた。
「わたくしは怒られるのでしょうか……?」
ロークアットが言葉を発する。クローゼットに隠れているくらいだし、彼女も訪れる未来を分かっていたはずなのに。
「ならば我が一緒に怒られてやろう。ただし、もう無茶はするな……」
企画したのは運営であり、幼いロークアットのせいではない。けれども、タルトは諌めるような声をかけ、彼女の反省を促している。
俯くロークアット。手を引かれクローゼットから出たものの、浮かない表情である。加えて彼女は立ち上がっただけで、歩き出そうとしない。やはり怒られると分かっているのだろう。素直についていく感じではなかった。
これには流石に溜め息が漏れてしまう。けれども、タルトは無理矢理に連れて行こうとしない。どうしてか彼はアイテムボックスを表示している。
「ロークアット、勇気を出せるのなら、これをあげよう……」
見守る四人は目を疑っていた。タルトが差し出したプレゼントに。まさか命よりも大切だと思えるそれをあげてしまうなんてと。
一瞬躊躇ったようなロークアットであるけれど、タルトが差し出したそれに手を伸ばす。
「アイスクリーム……?」
タルトが取り出したのは悪魔公爵クロケルのドロップアイテムだった。ハイレアのアイテムよりも優先したアイスクリームに他ならない。
「美味いぞ? さあ、女王陛下の元へと行こうか?」
夏美たちは何も口にできなかった。
恐らくイベントの最後はロークアットを説得し、自発的に歩いてもらうしかないのだろう。動きそうにもないロークアットが最後のクエストなのだと理解した。
プレゼントが有効かどうかは不明だ。しかもレアリティはそれほど高くない。アイスクリーム程度で説き伏せられるようには思えなかった。
ところが、ロークアットは笑顔を返している。手に取ったアイスクリームを頬張り、愛らしい顔を戻していた。
「美味しい!」
「そうか。食べながらで構わん。さあパーティー会場に行こうか?」
再度の問いかけには大きな返事があった。うんっと愚図る様子もなくタルトに手を引かれている。
「タルトすげぇ! 一発かよ!? ここで足踏みさせられんのかと思ったぞ!」
「タルトさんって、対エルフ特効とか付いてるんやないん? 早すぎるんよ!」
アアアアとチカが笑っている。セシリィ女王陛下を真っ先に口説き落としたのはいちご大福であったけれど、タルトとなった今もロークアットをあっさりと説得していた。エルフに対して何らかの好感度上昇スキルがあるのではと考えてしまうほどに。
「ローアちゃん、あたしは勇者ナツだよ?」
「勇者ナツさま?」
「そうそう! 超絶ラッキーエンジェルだから、そこんとこよく覚えておいてね?」
パーティー会場への道すがら、五人はロークアットとの会話を楽しむ。幼女ではあったのだが、彼女の造形は見事であり、王女殿下に相応しい気品と愛らしさに溢れている。
「私は冷血の悪役令嬢イロハ。殿下、お見知りおきを……」
「悪役令嬢イロハさま……」
「わたしは大司教チカなんよ! 正教会のアイドルやねん!」
「チカ、嘘を教えるんじゃない……」
「嘘やないもん!」
談笑しながら五人はパーティー会場へとやって来た。セシリィ女王の控え室。見張りの兵士も今度ばかりは通してくれるだろう。
ロークアットの手を引くタルトが衛兵に声をかける。
「ロークアット殿下を発見した。通してもらおうか?」
そういうと衛兵は何も言わずに扉の前から離れ、ロークアットに向かって敬礼をする。やはりここでは何の問題もないらしい。
扉をノックして、要件を告げると内側からドアが開かれる。
「失礼する」
五人が歩き出すと左右にいたメイドが頭を下げ、五人の視界には着飾ったセシリィ女王陛下が映り込む。
「其方ら、ご苦労であったな。よくぞローアを捜し出してくれた」
ようやくイベントが終わろうとしている。早速と始まったセシリィ女王陛下の話はそう感じさせるものだった。
五人は一人ずつ挨拶をし、最後にロークアットを彼女の隣へと向かわせる。
「マヌカハニー戦闘狂旗団には報酬を用意している。好きなものを選ぶがいい!」
セシリィ女王がそういうと、画面には選択肢が表示されていた。
予想とはまるで違う品揃え。イベント完遂に相応しい超豪華な品々が並んでいる。
・【フェアリーティア】R★★★★★
・【白金貨15枚】R★★★★★
・【マッシブバスター】R★★★★★
・【アシッドストーム】R★★★★★
・【リサシテイション】R★★★★★
・【オリハルコン】R★★★★★
・【砂海王の堅皮】R★★★★★
五人は息を呑んでいた。その豪華すぎる報酬に。全てがSランクアイテムであり、主要な戦闘職だけでなく生産職も納得できる品揃えだった。
「マジか!? 俺はアシッドストームだな!」
「私も! 一日でSランクスクロールを二つもゲットだわ!」
真っ先に選んだのはアアアアと彩葉である。アシッドストームは水属性のSランクスクロールであり、直接攻撃の他に強酸による持続ダメージを与えるらしい。
「勇者ナツ、どうする?」
タルトが聞いた。前衛である二人には悩ましい選択なのだ。フェアリーティアは防具の効果を引き上げる超レアアイテムであるし、マッシブバスターは手に入れる機会が少ないSランクの秘伝書なのだ。またオリハルコンや砂海王の堅皮もまた捨てがたい選択である。
「難しいなぁ。剣技を取るかフェアリーティアか……」
「うむ。我はオリハルコンにするか。大盾を新調するべきだろうな」
「じゃあ、あたしはフェアリーティアにする! ドラゴンスレイヤーに錬成するよ! 一緒に製作依頼をしたら、越後屋さん割引してくれそうだし!」
前衛の二人は素材を選ぶらしい。剣技には心引かれるけれど、Sランク剣技は基本的に使用場面が限られるのだ。スキル硬直が長いため、使い勝手が悪い。
「んなら、わたしもオリハルコンにするんよ。ロッドを新調したかってん!」
前衛二人にチカも乗っかる。彼女は別に制作費など問題なかったけれど、一緒に製作依頼をしようと思った。
ところが、
「ダメだよ、チカちゃん!」
直ぐさま夏美に制止されてしまう。オリハルコン製のロッドであれば、現状よりも強化されることは間違いなかったというのに。
「チカちゃんはリサシテイション一択だから!」
「うむ、どうせ大司教チカは説明を読んでおらんのだろう……」
「なんなん? リサシテイションって?」
どうやらチカは天然ぶりを発揮していたようだ。彼女以外の全員が治癒士に他の選択があるとは考えていないらしい。
「チカ、リサシテイションは蘇生魔法だ。治癒士不遇の時代が終わんだよ!」
これまで死亡したプレイヤーを他者が蘇らせる術は存在しなかったのだ。ただし、そういう背景もあってか発動の条件は厳しい。死亡後五秒以内に対象を指定し、詠唱完了時には骸に触れていなければならなかった。
「え? なら、わたし無双やん?」
「消費魔力は超大らしいが、大司教チカならば可能だろう」
魔力だけは人一倍あった。体力値が犠牲になっているといえるほどに。だが、チカには不安もある。
「詠唱しながら走っていかなあかんの? 触れないとあかんって無理ゲーやないん?」
「まあそれな。ルイナーとの空中戦では不可能かもしらん。だけど、蘇生という選択が増えることが重要だろ?」
「そうそう。ナツとタルトさんが倒れるような場合は全滅濃厚だよ。基本的に私ら後衛職にしか使う場面はないっしょ?」
「ああ、そうかもなんよ。後衛職なら大丈夫やろね」
前線まで走って行き、骸に触れるなんてできそうにない。しかし、悪魔公爵クロケルの戦闘を思い返してみると、前衛の二人が易々と倒れるはずもなかった。基本的に彩葉のステ管理をしていたのだし、チカの仕事が変わるとも思えない。
「じゃあ、リサシテイションにするんよ!」
「おお、そうしろ。世界初だぞ?」
チカの報酬も決定。これにて六日間に亘って開催されたイベントが幕を下ろす。
「あかん。世界初とか、このままやと教皇になってしまう!」
大笑いする五人。セシリィ女王陛下の御前であったというのに、まるで気にしていない。元より、これはゲームなのだ。何の無礼にも当たらない。
『イベント【迷子のロークアット姫殿下】を達成しました』
次の瞬間には通知がある。もう既に分かっていたことであるが、やはり達成の通知は嬉しいものだ。全員が笑顔でハイタッチを交わしている。
「其方たち、よければパーティーに参加していくがよい。盛大にもてなそうじゃないか」
どうやらご褒美が続くようだ。イベントをクリアしたプレイヤーにはパーティーへの出席が認められるという。
聞けば8日までステータスの増強が見込める料理が振る舞われるらしい。ちょっとしたボーナスでしかなかったが、五人は参加することにした。
僅かな時間。一通り食べたのなら、もうパーティーには用事がない。セシリィ女王陛下に挨拶をしてから、彼らはレベリングへと繰り出す。
諒太により意識させられたエンディング。マヌカハニー戦闘狂旗団の面々は全員が強くなろうと決意を固めていた……。
【発信者 九重夏美】
どうにも嫌な予感がするも、懸念であった悪魔公爵クロケルを倒したあとだ。従って、先ほどよりも悪い状況ではないだろう。
「ロークアット、念話が入った……」
ルームメイトである姫殿下に断ってから通話に出る。ろくな話ではないだろうが、無視するわけにはならないと。
「もしもし?」
『あ、リョウちん、今大丈夫?』
「まだ奴隷のままだが、大丈夫だぞ?」
無理だと言っても夏美は話を続けるはず。よって諒太は話を促す。愚痴であれば聞いてあげるだけで済むことだ。よって彼は近くにロークアットがいることを仄めかすだけで問題ないと考えていた。
『実は迷子のローアちゃんが見つからなくてさ。最後どこにいるのか知らない?』
要件はどうやらイベントの最終局面であるらしい。廃プレイヤー揃いのマヌカハニー戦闘狂旗団でも苦労しているようだ。
少しばかり考えるも、諒太がそれを知るはずはない。また夏美はそれを分かって聞いているはずだ。諒太は若干濁された質問の真意に気付いてもいた。
「ロークアット、迷子になったとき、最後はどうなった?」
ロークアットに聞いてくれと言えなかっただけ。諒太は夏美が望むがまま、本人に回答を聞く。
「リョウ様、わたくしは迷子になっていないと申し上げたはず……」
ところが、すんなりとは進まない。どうも迷子扱いはロークアットにとって心外であるらしい。リナンシーにも訂正を促していたことを、今更ながらに思い出していた。
「じゃあ、父親を捜しに行った最後はどうなったんだ?」
聞き方を変えてみる。ロークアットの矜持を傷つけないようにと。
「最後ですか? 結局お父様は見つかりませんでした。母の誕生パーティーに間に合うようお城に戻ってきましたけれど?」
『聖王城のどこにもいないのよ!』
直ぐさまロークアットの証言を否定する夏美。どうやらロークアットは諒太に分かるはずもないと惚けている感じだ。
「ロークアット、嘘を言うな。君はどこかに隠れていたはず。怒られると分かっていたんじゃないのか?」
鋭い諒太のツッコミにロークアットは視線を泳がせた。動揺するロークアットは本当に珍しい。図星を突いたのは明らかである。
「えっと、その……。実はその通りです。黙ってお城を出ましたから……」
ここは素直に認めている。誤魔化し続けるだなんてことが真っ直ぐな彼女にできるはずもない。
「じゃあ、どこに隠れていた?」
問い質す諒太に観念したのか、ロークアットは小さな声で答えている。如何にもバツの悪そうな表情を浮かべて。
「自室のクローゼットです……」
どうやらロークアットは自室に隠れていたらしい。まあしかし、聞けば納得である。メイドたちが勝手に入ってくるはずもないのだ。
『リョウちん、サンキュー!』
慌ただしく通話が切られている。よほど焦っていたのだろう。諒太が返事をする間もなく、一方的に切断されていた。
「なんだ、あいつ……?」
「お相手はナツ様でしょうか?」
ロークアットの問いには頷く。以前と同じような質問だったのだ。相手を想像するのは難しい話ではない。
「うん、まあそれで、俺は個人的に聞きたいことがあるんだけどさ……」
今もまだ世界線が動き続けていると思う。諒太の予想通りなら、まず確実に世界が変わっている。それも諒太が望んだままに。
「最後は誰が見つけてくれたんだ?――――」
以前、語った内容とは異なっているはずだ。恐らく語られる返答は矛盾が生じているだろう。過去の返答とまるで違う話が返ってくると思う。
キョトンとしたロークアットだが、返答に時間はかからなかった。彼女は覚えているはず。世界線の動きにより、彼女は新たな記憶を得ているはずだ……。
「タルト様です……」
その返答に諒太は笑みを浮かべている。やはり急激な過去の変化に未来は影響を受けているらしい。
かつてロークアットはタルトに会ったことがないと話していたのだ。従って真っ先に彼の名が口を衝くはずもない。
「そうか……。彼はどのような人だった?」
諒太は問いを重ねるも、結果は分かっている。タルトであれば、ちゃんとした対応をしてくれただろうと。返答はもらっていなかったけれど、諒太の命令にも似た話を実行してくれたはずだと。だからこそ、ロークアットはタルトのことを覚えているのだ。
「とてもお優しい方でした。小さくなって隠れていたわたくしに手を差し伸べてくれたのです。寝ぼけていたとすれば、お父様と呼んでいたかもしれません……」
ロークアットの話に頷く諒太。期待した通りの内容は信じたままの話である。
諒太は幾つも重なったロークアットへの借りを一つ返せたような気になった。
「そうか……。良かったな?」
返答として正解かどうかは分からない。それは中身を知る諒太にしか理解できないことであり、別人との認識がある彼女には決して分からなかったことだろう。
けれども、ロークアットは笑みを浮かべ、同意するように頷いていた。彼女が持つ矜持に反する言葉を口にしてまで。
「迷子も悪くないなと思いました」――――と。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
諒太からロークアットの行き先を聞いた夏美。最終手段であったものの、時間切れになるなんて彼女は望んでいない。
「ローアちゃんは自室にあるクローゼットの中だよ!」
「本当か? リョウ氏は何でも知ってんのな?」
アアアアが訝しげに聞くと、夏美は苦笑い。かといって、本人がクローゼットに隠れていたと話しているのだ。間違いであるはずがない。
「さあ、急ごう! 報酬いただいちゃお!」
「そだね! どうせ時間が足りないんだし!」
彩葉が同意したことで更なる追及はなかった。夏美としても答えられる内容はないし、彩葉に全てを伝えたのは良かったと思える。
ロークアットの自室と聞いて知っているのはタルトだけだ。異世界で彼女に会った夏美でさえ、ロークアットの部屋がどこなのか分からない。
「ここがロークアットの部屋だ……」
「さっすがパパさん!」
彩葉の茶化しにも動じず、タルトが扉を開く。加えてクローゼットは幾つもあったというのに、彼は真っ直ぐにベッドの近くにあるクローゼットを開いた。
「聖王騎士イロハ、看破を頼む……」
「うん……」
今のところロークアットの姿はない。だが、それは看破を必要とする事象だとタルトは考えている。ここでも悩むことなくイロハに看破の使用を要求していた。
「看破!!」
タルトの背中越し。イロハが実行した看破の輝きがクローゼットに満ちた。
次の瞬間、露わになる。巨大な金庫がある隣。小さく丸まった少女の姿が……。
意図せず訪れた二人の邂逅。視線を合わす二人の様子は何だか得も言われぬ感情を覚えてしまう。特に未来を知っている夏美には……。
「さあ、出てくるのだ……」
タルトが差し出した手は直ぐに取られることなどなかった。全身黒鎧の男を警戒しているのか、ロークアットはジッと見つめるだけである。
「どなたですか……?」
小さな声が返されている。その声には全員が落胆してしまうが、現状はイベントであって誰であっても同じように返されているはずだ。
「我はタルトだ。マヌカハニー戦闘狂旗団を指揮する大いなる盾。今宵は姫殿下の捜索に駆け付けたのだ……」
タルトがそう話すと、ロークアットは差し出されたその手を取る。彼女のとても小さな手が漆黒のガントレットに触れていた。
「わたくしは怒られるのでしょうか……?」
ロークアットが言葉を発する。クローゼットに隠れているくらいだし、彼女も訪れる未来を分かっていたはずなのに。
「ならば我が一緒に怒られてやろう。ただし、もう無茶はするな……」
企画したのは運営であり、幼いロークアットのせいではない。けれども、タルトは諌めるような声をかけ、彼女の反省を促している。
俯くロークアット。手を引かれクローゼットから出たものの、浮かない表情である。加えて彼女は立ち上がっただけで、歩き出そうとしない。やはり怒られると分かっているのだろう。素直についていく感じではなかった。
これには流石に溜め息が漏れてしまう。けれども、タルトは無理矢理に連れて行こうとしない。どうしてか彼はアイテムボックスを表示している。
「ロークアット、勇気を出せるのなら、これをあげよう……」
見守る四人は目を疑っていた。タルトが差し出したプレゼントに。まさか命よりも大切だと思えるそれをあげてしまうなんてと。
一瞬躊躇ったようなロークアットであるけれど、タルトが差し出したそれに手を伸ばす。
「アイスクリーム……?」
タルトが取り出したのは悪魔公爵クロケルのドロップアイテムだった。ハイレアのアイテムよりも優先したアイスクリームに他ならない。
「美味いぞ? さあ、女王陛下の元へと行こうか?」
夏美たちは何も口にできなかった。
恐らくイベントの最後はロークアットを説得し、自発的に歩いてもらうしかないのだろう。動きそうにもないロークアットが最後のクエストなのだと理解した。
プレゼントが有効かどうかは不明だ。しかもレアリティはそれほど高くない。アイスクリーム程度で説き伏せられるようには思えなかった。
ところが、ロークアットは笑顔を返している。手に取ったアイスクリームを頬張り、愛らしい顔を戻していた。
「美味しい!」
「そうか。食べながらで構わん。さあパーティー会場に行こうか?」
再度の問いかけには大きな返事があった。うんっと愚図る様子もなくタルトに手を引かれている。
「タルトすげぇ! 一発かよ!? ここで足踏みさせられんのかと思ったぞ!」
「タルトさんって、対エルフ特効とか付いてるんやないん? 早すぎるんよ!」
アアアアとチカが笑っている。セシリィ女王陛下を真っ先に口説き落としたのはいちご大福であったけれど、タルトとなった今もロークアットをあっさりと説得していた。エルフに対して何らかの好感度上昇スキルがあるのではと考えてしまうほどに。
「ローアちゃん、あたしは勇者ナツだよ?」
「勇者ナツさま?」
「そうそう! 超絶ラッキーエンジェルだから、そこんとこよく覚えておいてね?」
パーティー会場への道すがら、五人はロークアットとの会話を楽しむ。幼女ではあったのだが、彼女の造形は見事であり、王女殿下に相応しい気品と愛らしさに溢れている。
「私は冷血の悪役令嬢イロハ。殿下、お見知りおきを……」
「悪役令嬢イロハさま……」
「わたしは大司教チカなんよ! 正教会のアイドルやねん!」
「チカ、嘘を教えるんじゃない……」
「嘘やないもん!」
談笑しながら五人はパーティー会場へとやって来た。セシリィ女王の控え室。見張りの兵士も今度ばかりは通してくれるだろう。
ロークアットの手を引くタルトが衛兵に声をかける。
「ロークアット殿下を発見した。通してもらおうか?」
そういうと衛兵は何も言わずに扉の前から離れ、ロークアットに向かって敬礼をする。やはりここでは何の問題もないらしい。
扉をノックして、要件を告げると内側からドアが開かれる。
「失礼する」
五人が歩き出すと左右にいたメイドが頭を下げ、五人の視界には着飾ったセシリィ女王陛下が映り込む。
「其方ら、ご苦労であったな。よくぞローアを捜し出してくれた」
ようやくイベントが終わろうとしている。早速と始まったセシリィ女王陛下の話はそう感じさせるものだった。
五人は一人ずつ挨拶をし、最後にロークアットを彼女の隣へと向かわせる。
「マヌカハニー戦闘狂旗団には報酬を用意している。好きなものを選ぶがいい!」
セシリィ女王がそういうと、画面には選択肢が表示されていた。
予想とはまるで違う品揃え。イベント完遂に相応しい超豪華な品々が並んでいる。
・【フェアリーティア】R★★★★★
・【白金貨15枚】R★★★★★
・【マッシブバスター】R★★★★★
・【アシッドストーム】R★★★★★
・【リサシテイション】R★★★★★
・【オリハルコン】R★★★★★
・【砂海王の堅皮】R★★★★★
五人は息を呑んでいた。その豪華すぎる報酬に。全てがSランクアイテムであり、主要な戦闘職だけでなく生産職も納得できる品揃えだった。
「マジか!? 俺はアシッドストームだな!」
「私も! 一日でSランクスクロールを二つもゲットだわ!」
真っ先に選んだのはアアアアと彩葉である。アシッドストームは水属性のSランクスクロールであり、直接攻撃の他に強酸による持続ダメージを与えるらしい。
「勇者ナツ、どうする?」
タルトが聞いた。前衛である二人には悩ましい選択なのだ。フェアリーティアは防具の効果を引き上げる超レアアイテムであるし、マッシブバスターは手に入れる機会が少ないSランクの秘伝書なのだ。またオリハルコンや砂海王の堅皮もまた捨てがたい選択である。
「難しいなぁ。剣技を取るかフェアリーティアか……」
「うむ。我はオリハルコンにするか。大盾を新調するべきだろうな」
「じゃあ、あたしはフェアリーティアにする! ドラゴンスレイヤーに錬成するよ! 一緒に製作依頼をしたら、越後屋さん割引してくれそうだし!」
前衛の二人は素材を選ぶらしい。剣技には心引かれるけれど、Sランク剣技は基本的に使用場面が限られるのだ。スキル硬直が長いため、使い勝手が悪い。
「んなら、わたしもオリハルコンにするんよ。ロッドを新調したかってん!」
前衛二人にチカも乗っかる。彼女は別に制作費など問題なかったけれど、一緒に製作依頼をしようと思った。
ところが、
「ダメだよ、チカちゃん!」
直ぐさま夏美に制止されてしまう。オリハルコン製のロッドであれば、現状よりも強化されることは間違いなかったというのに。
「チカちゃんはリサシテイション一択だから!」
「うむ、どうせ大司教チカは説明を読んでおらんのだろう……」
「なんなん? リサシテイションって?」
どうやらチカは天然ぶりを発揮していたようだ。彼女以外の全員が治癒士に他の選択があるとは考えていないらしい。
「チカ、リサシテイションは蘇生魔法だ。治癒士不遇の時代が終わんだよ!」
これまで死亡したプレイヤーを他者が蘇らせる術は存在しなかったのだ。ただし、そういう背景もあってか発動の条件は厳しい。死亡後五秒以内に対象を指定し、詠唱完了時には骸に触れていなければならなかった。
「え? なら、わたし無双やん?」
「消費魔力は超大らしいが、大司教チカならば可能だろう」
魔力だけは人一倍あった。体力値が犠牲になっているといえるほどに。だが、チカには不安もある。
「詠唱しながら走っていかなあかんの? 触れないとあかんって無理ゲーやないん?」
「まあそれな。ルイナーとの空中戦では不可能かもしらん。だけど、蘇生という選択が増えることが重要だろ?」
「そうそう。ナツとタルトさんが倒れるような場合は全滅濃厚だよ。基本的に私ら後衛職にしか使う場面はないっしょ?」
「ああ、そうかもなんよ。後衛職なら大丈夫やろね」
前線まで走って行き、骸に触れるなんてできそうにない。しかし、悪魔公爵クロケルの戦闘を思い返してみると、前衛の二人が易々と倒れるはずもなかった。基本的に彩葉のステ管理をしていたのだし、チカの仕事が変わるとも思えない。
「じゃあ、リサシテイションにするんよ!」
「おお、そうしろ。世界初だぞ?」
チカの報酬も決定。これにて六日間に亘って開催されたイベントが幕を下ろす。
「あかん。世界初とか、このままやと教皇になってしまう!」
大笑いする五人。セシリィ女王陛下の御前であったというのに、まるで気にしていない。元より、これはゲームなのだ。何の無礼にも当たらない。
『イベント【迷子のロークアット姫殿下】を達成しました』
次の瞬間には通知がある。もう既に分かっていたことであるが、やはり達成の通知は嬉しいものだ。全員が笑顔でハイタッチを交わしている。
「其方たち、よければパーティーに参加していくがよい。盛大にもてなそうじゃないか」
どうやらご褒美が続くようだ。イベントをクリアしたプレイヤーにはパーティーへの出席が認められるという。
聞けば8日までステータスの増強が見込める料理が振る舞われるらしい。ちょっとしたボーナスでしかなかったが、五人は参加することにした。
僅かな時間。一通り食べたのなら、もうパーティーには用事がない。セシリィ女王陛下に挨拶をしてから、彼らはレベリングへと繰り出す。
諒太により意識させられたエンディング。マヌカハニー戦闘狂旗団の面々は全員が強くなろうと決意を固めていた……。
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