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第一章 導かれし者
初めてのスバウメシア聖王国
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夏美との通話を切ると、諒太は即座にリバレーションを唱える。せっかくやって来たというのに、またも城下へと向かう羽目になった。ただし、収穫は十分だ。ようやく諒太は勇者に復帰できたのだから。
「ポータルは確か大聖堂に併設されていたはず……」
ゲームの記憶を頼りに諒太は教会へと足を運んだ。どうやら司教クラス以上しかポータルを起動できないという設定らしい。従って小さな教会にはポータルが設置されていなかった。
大聖堂に入ると夜だというのに祈りを捧げる人たちがいる。恐らくは熱心なセイクリッド神信者であろう。これならば移動ポータルがある部屋にも誰かがいるかもしれない。
ポータルは聖堂に隣接する小屋の中にあった。修道女に話を聞くとポータルを使用する予約は入っていないとのこと。更にはここ数日利用した人がいないともいう。
また行った経験がある者を同行者としなければ、ポータルは利用できない。ゲーム内の縛りは引き継がれており、考えていたよりも厄介である。
「まいったな……」
悪い予感ほど的中するものだ。やはりポータルを利用してまで他国に行く者は限られているらしい。利用料金が一万ナールの寄付であることが足枷となっているようだ。
「フレアさんに相談しよう。アーシェの看病をしているはずだし」
諒太には頼れる人がフレアしかいなかった。王様は異界人である諒太に関与しないと話しているし、彼女の他に知り合いなどいないのだ。
騎士団本部に行くと、やはりフレアがいた。ただアーシェの看病ではなく、彼女は受付の奥にある椅子へと腰掛けている。
「フレアさん!」
受付を通さずに直接話しかけた。かといって受付の女性は諒太が誰であるのかを知っているようだ。不審がることなくニコリと微笑んでくれる。
「リョウ、どうした? ペンダム遺跡に行ったはずじゃなかったのか?」
「それが事情が変わりまして。実はスバウメシア聖王国にあるサンテクトという街に行きたいのです。でも移動ポータルを利用する人が一人もいなくて……」
「ああ、なるほど。ポータルは急用でもない限り使われないからな。一万ナールは行商人にとって高すぎる……」
やはり利用者がいないのは寄付金のせいらしい。往復だと二万ナール。一般人だけでなく、商人でさえ首を振る金額だ。
「何とかなりませんか?」
馬車で行くという選択肢がないのは彼女も知る通り。時間がない諒太はどうしてもポータルにて移動したかった。
「ベティ、少し外すが構わないか?」
「え、ええ。問題ありません……」
なぜかフレアは受付の女性にそんな話をする。加えてカウンターの向こう側から諒太の隣へとやって来た。
「君をサンテクトに連れて行く。私は直ぐに戻るが、それでも良いか?」
どうやらフレアはサンテクトに行った経験があるようだ。一度サンテクトに着けば諒太は自由に行き来できる。よって不満は少しもなかった。
「大丈夫です。よろしくお願いします」
最悪の場合は数日の足止めも考えられたけれど、今日にでもスバウメシアにある洞窟で戦えそうだ。
再び大聖堂へと到着し、司教にポータルの使用を願う。また寄付金を支払うためにフレアさんは騎士団の登録カードを提示した。
「すみません。俺の寄付金まで……」
「気にするな。君がくれたあの魔石には大いに助けられているんだ。交換しなくても一週間くらいは持つらしい。君のおかげで治癒士の負担はなくなったのだ」
雑談を続ける間もなく、司教が祝詞を唱え始める。これは魔法職とは異なるところだ。神官職はセイクリッド神の力を借りるため祝詞を唱えて呪文効果を発動させるらしい。
何の余韻もなく二人は転送されていた。ただし、同じような部屋であるから本当に移動できたのかどうかは不明である。
「リョウ、頑張ってくれ。君の準備が整うときを私は待ち侘びているからな」
フレアはもう帰ってしまうみたいだ。少しくらいは案内してくれても良いのにと考えるも、彼女はサンテクトの司教を呼びに行くと足早に去って行った。
「さて、俺も動いていかないと……」
まずはポーションの買いだめである。夜通し戦える準備をして諒太はダンジョンに挑むつもりだ。
マップを確認して魔道具屋を目指した。大聖堂の直ぐ近く。尖った赤い屋根が目印のよう。夜も遅い時間であるが、まだ店には明かりが灯っている。
「すみません」
ギィっと味わいのある音を立てて木製の扉が開く。蝋燭のか細い明かりが諒太を迎えてくれた。
「おや、人族とは珍しいね。どうした?」
「えっと……。お姉さん、ポーションを売って欲しいのですけど……」
初めて見るエルフの美貌にドギマギとしてしまう。アーシェは可愛らしい美人であるが、店主らしき女性は隙のない美しさを持っていた。
「やだねぇ。私は五百歳だよ? エルフとしては若いけれど、人族からしたらお婆ちゃんも良いところだろ?」
「いえいえ、美しいものに年齢や人種など些細な問題です。惚れてしまいそうで困っていますよ」
ここは彼女の好感度を上げておく。一週間近くお世話になるのは間違いないのだ。五百年も人生経験があれば、アーシェのように誤解することもないはずである。
「ふはは、気に入ったよ! 君の名は?」
「俺はリョウです。冒険者をしています。国境近くの洞窟へ行こうと考えています」
「ほう、オツの洞窟かね。リョウはセシリィ女王陛下を一目見ようとやって来たわけじゃないのだな? 休暇を取られて三百年ぶりにサンテクトを訪問されているんだよ」
思わぬ話に発展していた。セシリィ女王陛下は確か三百年前に八百歳だったはず。同一人物であるのなら、今は千百歳といったところか。
「そうなんですか? 確か陛下はいちご大福閣下と……」
「リョウは若いのにそんな昔のことを知っているんだね? 人族にしては珍しい……」
とっくの昔にいちご大福というプレイヤーは亡くなったことになっているだろう。彼は人族であったし、この国の歴史でしかないはずだ。
「いちご大福閣下はそれはもう素晴らしい人格者だった。かつて女王様とサンテクトをご訪問されたことがあってな。私もお会いしたことがあるんだ。それはもう穏やかな方で市民は全員が彼の笑顔に癒やされていたよ。空前の人族婚ブームが巻き起こったほどだ。過去には争いもあったけれど、人族と上手く付き合えているのは閣下の振る舞いに皆が感銘を受けたからさ」
夏美といい、いちご大福といい評価が高すぎる。スバウメシアにおいて、いちご大福は夏美的な伝説上の人物に違いない。
「そういや今回のご滞在には閣下の愛娘であるロークアット様も同行されているらしいよ。それはもうお美しいと評判だ。是非、お会いしたいねぇ」
愛娘とはいえ既に三百歳。しかし、美しいエルフが美しいと評価する女性は確かに見てみたい。
「王族の方には会えないでしょう?」
「そうでもないよ。護衛も連れず街を散策されているようだからね。しかも、うちの隣にある【世界樹亭】に宿泊されているんだ。私もちょくちょく外に出てはいるんだが、なかなかタイミングが合わなくてねぇ。まだお会いできていないんだよ」
聞けば相当な猛者であるようだ。護衛も必要ないほどに強いとのことで、彼女たちは民に混じって買い物や食事を楽しんでいるらしい。
「どこかでお会いしたら報告しますよ」
「ああよろしく。あとたくさん買ってくれてありがとね」
魔道具屋をあとにし、諒太はオツと呼ばれる洞窟へと向かう。真夜中であるけれど異国情緒溢れる景色は諒太の心を躍らせた。目に映る全てが面白く美しい。よくあるRPG風のアクラスフィア王国とは異なり、スバウメシア聖王国は異世界感が満載である。
気付けば諒太はオツの洞窟へと到着していた。道中に魔物はエンカウントしていない。ただひたすら歩いてきただけだ。
「さて頑張りますか……」
馬車での移動が多い都合上、街道沿いのエンカウント率は低く設定されている。だが、洞窟などのダンジョンは違う。戦うことを目的とした場所は問答無用で魔物が現れるのだ。
「定番はリトルドラゴンとゴーレム、それにオーガだと言ってたな」
夏美に聞いた情報通りであれば基本となる魔物は三種類だ。一番弱い魔物がゴーレムらしい。あとはオーガ、リトルドラゴンと続く。ただ目的はレアモンスターのハピルである。ゲーム世界のマスコットキャラであり、よくある経験値特化のボーナスキャラとして登場するらしい。夏美曰く遭遇するだけで莫大な経験値が手に入ったも同然とのことだ。
洞窟はアクラスフィア王国にある北の洞窟以来だ。さりとて問題はない。いつものように光魔石を取り出せば、地上と何も変わらないのだ。
「何かいる……」
魔物特有の雰囲気。諒太は洞窟の奥から感じ取っていた。静かに剣を抜き、両手にそれを構える。初戦はゴーレムであってくれと祈りながら。
「まったく俺って奴は……」
祈りも虚しく暗闇から現れたのはリトルドラゴンである。どう見てもゴーレムではないしオーガでもなかった。神が自分に与え続ける試練には溜め息しかでない。
諒太は無茶をすると決めている。レベル70台だと厳しいとの話であり、諒太はまだ70にも達していないけれど逃げ出すつもりはなかった。
「どこがリトルなんだよ……」
リトルドラゴンが諒太を見下ろしている。特殊攻撃はないらしいが、それでも巨体から発せられる威圧感は相当なものであった。
「ソニックスラッシュ!」
このダンジョン最強であるリトルドラゴンに出し惜しみはできない。スキルレベルの向上も必要であるし、ここは全攻撃をソニックスラッシュに頼ることにする。
ミノタウロスのように一撃ではない。それこそリトルドラゴンのレベルは85もある。夏美が70台では厳しいと言っていたのはレベル差によるものであったはずだ。
攻撃は単調であるが、噛みつき攻撃を食らってしまえば一瞬にしてあの世行きだろう。モーションが分かりやすくなければ、とてもじゃないけれど戦えそうにはない。
都合八回目のソニックスラッシュ。諒太はようやくリトルドラゴンを倒せていた。とんでもない強敵である。もしも二匹同時にエンカウントしたとしたら、逃げるしかないだろう。
『レベルが70になりました』
ミノタウロスではうんともすんとも言わなかった告知音がここで脳裏に響いた。レベル差による経験値補正が入っているのだろうが、一頭倒すだけで諒太はLv70になっている。
「これはキツいな。正面突破のナツでは苦しかったはず……」
今も夏美は一度も失われていない。運が良かったのか、或いは秘めたる力だろうか。小賢しい戦いを好まぬ彼女であるが、恵まれたステータス値と幸運により生き残っている。
「早く湧いてくれよ、ハピル……」
今のままでは効率が悪すぎる。ハピルを何匹か倒し、リトルドラゴンのレベルを追い越さなければこの劣勢は続く。スキルを使いまくるしか今のところは戦えないのだ。しかし、運に見放された諒太は望まぬ敵に出会うばかり。倒せども倒せどもレアモンスターは現れない。
【AM4:00】
流石に仮眠を取ろうと思う。現在のレベルは71。70台になったからか、リトルドラゴンを倒したとしても簡単には上がらなかった。
「レベルに不似合いなチート装備をもらって、レベリングに最適なダンジョンまで教えてもらっているのに……」
三ヶ月以上が経過し、夏美はLv100を超えた。夏美の運を以てしても、それだけかかったのだ。追加ダンジョンなどで効率が大幅に改善されているとはいえ、ラック値に恵まれていない諒太がハピルに遭遇するわけもなく、簡単に追いつけるはずがない。
オツの洞窟を出ると、もう夜が明けようとしていた。
東雲の空に薄い月が昇っている。神々しくも感じるその姿は通常であれば無上の感動を与えたことだろう。けれど、その月は儚く消える運命にある。まるで救う術のない命があることを知らしめるように……。
諒太はただ月を眺めて立ち尽くしている。先が見えぬ戦いに人知れず溜め息を零しながら。
「とても美しいお月様ですね……」
不意に声が聞こえた。周囲には誰もいなかったはずなのに、背後から諒太は話しかけられている。
振り向くとそこには月明かりに照らされた女性がいた。まるで月光を写し込んだかのような銀色に輝く長い髪。透き通るほど白い肌も幻想的なこの光景に溶け込んでいる。
「君は……?」
「ああ、失礼しました。わたくしはロークアット。今宵の月に見とれていた一人ですわ……」
その名には聞き覚えがあった。この世の者とは思えない整った容姿も諒太の予想を肯定している。
【ロークアット・スバウメシア】
【第一王女Lv80】
諒太は思わぬ場所で意外な人物と遭遇していた。彼女はスバウメシア聖王国の第一王女殿下。いちご大福閣下のご息女である。
確かに会ってみたいと考えていたけれど、この急な邂逅に諒太は戸惑うばかりだ。
「あぁ、ああ……」
「そんなに緊張なさらなくても……。お月様が見下ろす大地には、わたくしたちしかおりませんよ? もっとも街中であったとしても、わたくしに気を遣われる必要はございません」
まあ確かにそうかもしれない。彼女のレベルなら一人で彷徨いていたとしても問題はないはず。第一王女というジョブがどういった種類になるのか不明だが、ステータスを見る限りは地上の魔物など敵ではないだろう。
「すみません。俺はリョウと言います。まさか王族の方に出会うなんて考えもしていなかったので……」
「わたくしこそ急に話しかけ、驚かせてしまいましたね。オツの洞窟から人族の方が出てこられたので、気になってしまったのですわ」
「どうしてです? やはり人族は珍しいですか?」
やはりエルフの国に人族がいると目立つのだろう。魔道具屋の店主も人族は珍しいと話していたのだ。
「いえいえ、街には割といらっしゃいますけど、オツの洞窟でしたので驚いてしまったのです。何しろオツの洞窟はエルフでさえも困難なダンジョン。人族の方が挑まれているのはとても珍しいのです……」
NPCの流れを汲む人族のレベル上限は恐らく50だ。それを超える人は夏美のフレンド且つ要職に就いていた者の末裔だろう。エルフでもという表現から推察するに、スバウメシア聖王国にいたNPCのレベル上限はアクラスフィア王国よりも高いのだと推測できる。
ロークアットもまたサンテクトに戻る途中とのことで、諒太と彼女は一緒に歩くことになった。しかし、間が持たない。超絶美人である上に王女様なのだ。失礼があってはならないと会話には細心の注意を払う必要があった。
「オ、オツの洞窟ってシンプルで可愛らしい名称ですね?」
一体何を聞いているのだろうと思う。沈黙を嫌がった結果、諒太は意味不明な話を口にしている。
「そうでしょうか? 三百年前に名称はなく南の洞窟とだけ呼ばれていたのです。とある事件が切っ掛けでオツの洞窟と呼ばれるようになりました……」
意外にも由来があるらしい。会話が繋がったのなら目的は達成された。別に興味などなかったけれど、諒太は相槌を打っている。
「何があったのでしょうか?」
「お恥ずかしい話ですが、過去にスバウメシアは国を分かつ戦いがありました。わたくしの父もその大戦における英雄なのですが、人族であった勇者様の助勢なくして勝利できたとは思えません」
そういえば夏美が諒太のレベリングに付き合えなくなった理由は緊急クエストだった。その内容はスバウメシアでのクーデター。どちらかについて戦うというものだったはず。
「勇者ナツですね?」
「お若く見えますのに博識ですわね? 父の友人であったナツ様が南部に押し寄せた大軍を獅子奮迅の活躍で殲滅されたのです。当時はまだ聖騎士様だったようですが、ナツ様はそののち勇者様となられました……」
クーデターの切っ掛けはロークアットの父いちご大福がセシリィ女王陛下と婚約したことだったはず。夏美の活躍によって、いちご大福は国を傾かせた諸悪の根源ではなく英雄となれたのだろう。
「ナツ様の戦いは圧倒的だったと伝えられています。彼女に恐れをなしたサンテクト侵攻軍の司令官は国境に近い南の洞窟へと逃げ込んだのです」
語られる昔話は割と面白かった。実際に諒太は見ていないけれど、夏美が暴れ回る様子が手に取るように理解できた。
「ナツ様は敵将を討ち取ったばかりか、当時未踏のダンジョンであった南の洞窟を踏破されてしまいました……」
昔話ですら夏美の馬鹿さ加減が垣間見られている。当初の目的だけで良かったというのに、夏美はダンジョンボスまで倒してしまったらしい。
「戻られたナツ様はダンジョンボスであるグリフォンの首を誇らしげに掲げられました。彼女の口から司令官を始末したことは語られなかったそうですけど、ダンジョン踏破の証しは任務完遂と考えるに十分だったのです。我々は成否を問うことなく、ただナツ様の偉業を褒め称えたとのこと。そのときから南の洞窟はオツの洞窟と呼ばれるようになったのです。ナツ様の名言にあやかって……」
思いの外、楽しめている。残念な幼馴染みが世界に与えた影響は今回に限り面白かった。洞窟の名になってしまっただけなのだから、夏美は何も悪くないのだ。
「ナツ様は待機していた正規軍にグリフォンの首を掲げられ、それはもう満面の笑みで声を上げられたそうです」
夏美のドヤ顔が目に浮かんだ。絶対に彼女は調子に乗っていたことだろう。
「乙っ!――――と」
思わず倒れそうになってしまう。名言ってそれなのかと諒太は眉根を寄せていた。
乙とはただのネットスラング。お疲れを略しただけのそれが洞窟の名になってしまったらしい。
幼馴染みとして申し訳なく思う。夏美はただイベントが終わったことを告げただけだ。決して後世にまで残そうとした言葉ではなかったことだろう。
しかし、オツの洞窟の由来は楽しめている。諒太は少しばかり夏美に感謝していた。ロークアット姫殿下との出会い。何の問題もなく会話できたのは、全て夏美が笑い話としてくれたからだ……。
「ポータルは確か大聖堂に併設されていたはず……」
ゲームの記憶を頼りに諒太は教会へと足を運んだ。どうやら司教クラス以上しかポータルを起動できないという設定らしい。従って小さな教会にはポータルが設置されていなかった。
大聖堂に入ると夜だというのに祈りを捧げる人たちがいる。恐らくは熱心なセイクリッド神信者であろう。これならば移動ポータルがある部屋にも誰かがいるかもしれない。
ポータルは聖堂に隣接する小屋の中にあった。修道女に話を聞くとポータルを使用する予約は入っていないとのこと。更にはここ数日利用した人がいないともいう。
また行った経験がある者を同行者としなければ、ポータルは利用できない。ゲーム内の縛りは引き継がれており、考えていたよりも厄介である。
「まいったな……」
悪い予感ほど的中するものだ。やはりポータルを利用してまで他国に行く者は限られているらしい。利用料金が一万ナールの寄付であることが足枷となっているようだ。
「フレアさんに相談しよう。アーシェの看病をしているはずだし」
諒太には頼れる人がフレアしかいなかった。王様は異界人である諒太に関与しないと話しているし、彼女の他に知り合いなどいないのだ。
騎士団本部に行くと、やはりフレアがいた。ただアーシェの看病ではなく、彼女は受付の奥にある椅子へと腰掛けている。
「フレアさん!」
受付を通さずに直接話しかけた。かといって受付の女性は諒太が誰であるのかを知っているようだ。不審がることなくニコリと微笑んでくれる。
「リョウ、どうした? ペンダム遺跡に行ったはずじゃなかったのか?」
「それが事情が変わりまして。実はスバウメシア聖王国にあるサンテクトという街に行きたいのです。でも移動ポータルを利用する人が一人もいなくて……」
「ああ、なるほど。ポータルは急用でもない限り使われないからな。一万ナールは行商人にとって高すぎる……」
やはり利用者がいないのは寄付金のせいらしい。往復だと二万ナール。一般人だけでなく、商人でさえ首を振る金額だ。
「何とかなりませんか?」
馬車で行くという選択肢がないのは彼女も知る通り。時間がない諒太はどうしてもポータルにて移動したかった。
「ベティ、少し外すが構わないか?」
「え、ええ。問題ありません……」
なぜかフレアは受付の女性にそんな話をする。加えてカウンターの向こう側から諒太の隣へとやって来た。
「君をサンテクトに連れて行く。私は直ぐに戻るが、それでも良いか?」
どうやらフレアはサンテクトに行った経験があるようだ。一度サンテクトに着けば諒太は自由に行き来できる。よって不満は少しもなかった。
「大丈夫です。よろしくお願いします」
最悪の場合は数日の足止めも考えられたけれど、今日にでもスバウメシアにある洞窟で戦えそうだ。
再び大聖堂へと到着し、司教にポータルの使用を願う。また寄付金を支払うためにフレアさんは騎士団の登録カードを提示した。
「すみません。俺の寄付金まで……」
「気にするな。君がくれたあの魔石には大いに助けられているんだ。交換しなくても一週間くらいは持つらしい。君のおかげで治癒士の負担はなくなったのだ」
雑談を続ける間もなく、司教が祝詞を唱え始める。これは魔法職とは異なるところだ。神官職はセイクリッド神の力を借りるため祝詞を唱えて呪文効果を発動させるらしい。
何の余韻もなく二人は転送されていた。ただし、同じような部屋であるから本当に移動できたのかどうかは不明である。
「リョウ、頑張ってくれ。君の準備が整うときを私は待ち侘びているからな」
フレアはもう帰ってしまうみたいだ。少しくらいは案内してくれても良いのにと考えるも、彼女はサンテクトの司教を呼びに行くと足早に去って行った。
「さて、俺も動いていかないと……」
まずはポーションの買いだめである。夜通し戦える準備をして諒太はダンジョンに挑むつもりだ。
マップを確認して魔道具屋を目指した。大聖堂の直ぐ近く。尖った赤い屋根が目印のよう。夜も遅い時間であるが、まだ店には明かりが灯っている。
「すみません」
ギィっと味わいのある音を立てて木製の扉が開く。蝋燭のか細い明かりが諒太を迎えてくれた。
「おや、人族とは珍しいね。どうした?」
「えっと……。お姉さん、ポーションを売って欲しいのですけど……」
初めて見るエルフの美貌にドギマギとしてしまう。アーシェは可愛らしい美人であるが、店主らしき女性は隙のない美しさを持っていた。
「やだねぇ。私は五百歳だよ? エルフとしては若いけれど、人族からしたらお婆ちゃんも良いところだろ?」
「いえいえ、美しいものに年齢や人種など些細な問題です。惚れてしまいそうで困っていますよ」
ここは彼女の好感度を上げておく。一週間近くお世話になるのは間違いないのだ。五百年も人生経験があれば、アーシェのように誤解することもないはずである。
「ふはは、気に入ったよ! 君の名は?」
「俺はリョウです。冒険者をしています。国境近くの洞窟へ行こうと考えています」
「ほう、オツの洞窟かね。リョウはセシリィ女王陛下を一目見ようとやって来たわけじゃないのだな? 休暇を取られて三百年ぶりにサンテクトを訪問されているんだよ」
思わぬ話に発展していた。セシリィ女王陛下は確か三百年前に八百歳だったはず。同一人物であるのなら、今は千百歳といったところか。
「そうなんですか? 確か陛下はいちご大福閣下と……」
「リョウは若いのにそんな昔のことを知っているんだね? 人族にしては珍しい……」
とっくの昔にいちご大福というプレイヤーは亡くなったことになっているだろう。彼は人族であったし、この国の歴史でしかないはずだ。
「いちご大福閣下はそれはもう素晴らしい人格者だった。かつて女王様とサンテクトをご訪問されたことがあってな。私もお会いしたことがあるんだ。それはもう穏やかな方で市民は全員が彼の笑顔に癒やされていたよ。空前の人族婚ブームが巻き起こったほどだ。過去には争いもあったけれど、人族と上手く付き合えているのは閣下の振る舞いに皆が感銘を受けたからさ」
夏美といい、いちご大福といい評価が高すぎる。スバウメシアにおいて、いちご大福は夏美的な伝説上の人物に違いない。
「そういや今回のご滞在には閣下の愛娘であるロークアット様も同行されているらしいよ。それはもうお美しいと評判だ。是非、お会いしたいねぇ」
愛娘とはいえ既に三百歳。しかし、美しいエルフが美しいと評価する女性は確かに見てみたい。
「王族の方には会えないでしょう?」
「そうでもないよ。護衛も連れず街を散策されているようだからね。しかも、うちの隣にある【世界樹亭】に宿泊されているんだ。私もちょくちょく外に出てはいるんだが、なかなかタイミングが合わなくてねぇ。まだお会いできていないんだよ」
聞けば相当な猛者であるようだ。護衛も必要ないほどに強いとのことで、彼女たちは民に混じって買い物や食事を楽しんでいるらしい。
「どこかでお会いしたら報告しますよ」
「ああよろしく。あとたくさん買ってくれてありがとね」
魔道具屋をあとにし、諒太はオツと呼ばれる洞窟へと向かう。真夜中であるけれど異国情緒溢れる景色は諒太の心を躍らせた。目に映る全てが面白く美しい。よくあるRPG風のアクラスフィア王国とは異なり、スバウメシア聖王国は異世界感が満載である。
気付けば諒太はオツの洞窟へと到着していた。道中に魔物はエンカウントしていない。ただひたすら歩いてきただけだ。
「さて頑張りますか……」
馬車での移動が多い都合上、街道沿いのエンカウント率は低く設定されている。だが、洞窟などのダンジョンは違う。戦うことを目的とした場所は問答無用で魔物が現れるのだ。
「定番はリトルドラゴンとゴーレム、それにオーガだと言ってたな」
夏美に聞いた情報通りであれば基本となる魔物は三種類だ。一番弱い魔物がゴーレムらしい。あとはオーガ、リトルドラゴンと続く。ただ目的はレアモンスターのハピルである。ゲーム世界のマスコットキャラであり、よくある経験値特化のボーナスキャラとして登場するらしい。夏美曰く遭遇するだけで莫大な経験値が手に入ったも同然とのことだ。
洞窟はアクラスフィア王国にある北の洞窟以来だ。さりとて問題はない。いつものように光魔石を取り出せば、地上と何も変わらないのだ。
「何かいる……」
魔物特有の雰囲気。諒太は洞窟の奥から感じ取っていた。静かに剣を抜き、両手にそれを構える。初戦はゴーレムであってくれと祈りながら。
「まったく俺って奴は……」
祈りも虚しく暗闇から現れたのはリトルドラゴンである。どう見てもゴーレムではないしオーガでもなかった。神が自分に与え続ける試練には溜め息しかでない。
諒太は無茶をすると決めている。レベル70台だと厳しいとの話であり、諒太はまだ70にも達していないけれど逃げ出すつもりはなかった。
「どこがリトルなんだよ……」
リトルドラゴンが諒太を見下ろしている。特殊攻撃はないらしいが、それでも巨体から発せられる威圧感は相当なものであった。
「ソニックスラッシュ!」
このダンジョン最強であるリトルドラゴンに出し惜しみはできない。スキルレベルの向上も必要であるし、ここは全攻撃をソニックスラッシュに頼ることにする。
ミノタウロスのように一撃ではない。それこそリトルドラゴンのレベルは85もある。夏美が70台では厳しいと言っていたのはレベル差によるものであったはずだ。
攻撃は単調であるが、噛みつき攻撃を食らってしまえば一瞬にしてあの世行きだろう。モーションが分かりやすくなければ、とてもじゃないけれど戦えそうにはない。
都合八回目のソニックスラッシュ。諒太はようやくリトルドラゴンを倒せていた。とんでもない強敵である。もしも二匹同時にエンカウントしたとしたら、逃げるしかないだろう。
『レベルが70になりました』
ミノタウロスではうんともすんとも言わなかった告知音がここで脳裏に響いた。レベル差による経験値補正が入っているのだろうが、一頭倒すだけで諒太はLv70になっている。
「これはキツいな。正面突破のナツでは苦しかったはず……」
今も夏美は一度も失われていない。運が良かったのか、或いは秘めたる力だろうか。小賢しい戦いを好まぬ彼女であるが、恵まれたステータス値と幸運により生き残っている。
「早く湧いてくれよ、ハピル……」
今のままでは効率が悪すぎる。ハピルを何匹か倒し、リトルドラゴンのレベルを追い越さなければこの劣勢は続く。スキルを使いまくるしか今のところは戦えないのだ。しかし、運に見放された諒太は望まぬ敵に出会うばかり。倒せども倒せどもレアモンスターは現れない。
【AM4:00】
流石に仮眠を取ろうと思う。現在のレベルは71。70台になったからか、リトルドラゴンを倒したとしても簡単には上がらなかった。
「レベルに不似合いなチート装備をもらって、レベリングに最適なダンジョンまで教えてもらっているのに……」
三ヶ月以上が経過し、夏美はLv100を超えた。夏美の運を以てしても、それだけかかったのだ。追加ダンジョンなどで効率が大幅に改善されているとはいえ、ラック値に恵まれていない諒太がハピルに遭遇するわけもなく、簡単に追いつけるはずがない。
オツの洞窟を出ると、もう夜が明けようとしていた。
東雲の空に薄い月が昇っている。神々しくも感じるその姿は通常であれば無上の感動を与えたことだろう。けれど、その月は儚く消える運命にある。まるで救う術のない命があることを知らしめるように……。
諒太はただ月を眺めて立ち尽くしている。先が見えぬ戦いに人知れず溜め息を零しながら。
「とても美しいお月様ですね……」
不意に声が聞こえた。周囲には誰もいなかったはずなのに、背後から諒太は話しかけられている。
振り向くとそこには月明かりに照らされた女性がいた。まるで月光を写し込んだかのような銀色に輝く長い髪。透き通るほど白い肌も幻想的なこの光景に溶け込んでいる。
「君は……?」
「ああ、失礼しました。わたくしはロークアット。今宵の月に見とれていた一人ですわ……」
その名には聞き覚えがあった。この世の者とは思えない整った容姿も諒太の予想を肯定している。
【ロークアット・スバウメシア】
【第一王女Lv80】
諒太は思わぬ場所で意外な人物と遭遇していた。彼女はスバウメシア聖王国の第一王女殿下。いちご大福閣下のご息女である。
確かに会ってみたいと考えていたけれど、この急な邂逅に諒太は戸惑うばかりだ。
「あぁ、ああ……」
「そんなに緊張なさらなくても……。お月様が見下ろす大地には、わたくしたちしかおりませんよ? もっとも街中であったとしても、わたくしに気を遣われる必要はございません」
まあ確かにそうかもしれない。彼女のレベルなら一人で彷徨いていたとしても問題はないはず。第一王女というジョブがどういった種類になるのか不明だが、ステータスを見る限りは地上の魔物など敵ではないだろう。
「すみません。俺はリョウと言います。まさか王族の方に出会うなんて考えもしていなかったので……」
「わたくしこそ急に話しかけ、驚かせてしまいましたね。オツの洞窟から人族の方が出てこられたので、気になってしまったのですわ」
「どうしてです? やはり人族は珍しいですか?」
やはりエルフの国に人族がいると目立つのだろう。魔道具屋の店主も人族は珍しいと話していたのだ。
「いえいえ、街には割といらっしゃいますけど、オツの洞窟でしたので驚いてしまったのです。何しろオツの洞窟はエルフでさえも困難なダンジョン。人族の方が挑まれているのはとても珍しいのです……」
NPCの流れを汲む人族のレベル上限は恐らく50だ。それを超える人は夏美のフレンド且つ要職に就いていた者の末裔だろう。エルフでもという表現から推察するに、スバウメシア聖王国にいたNPCのレベル上限はアクラスフィア王国よりも高いのだと推測できる。
ロークアットもまたサンテクトに戻る途中とのことで、諒太と彼女は一緒に歩くことになった。しかし、間が持たない。超絶美人である上に王女様なのだ。失礼があってはならないと会話には細心の注意を払う必要があった。
「オ、オツの洞窟ってシンプルで可愛らしい名称ですね?」
一体何を聞いているのだろうと思う。沈黙を嫌がった結果、諒太は意味不明な話を口にしている。
「そうでしょうか? 三百年前に名称はなく南の洞窟とだけ呼ばれていたのです。とある事件が切っ掛けでオツの洞窟と呼ばれるようになりました……」
意外にも由来があるらしい。会話が繋がったのなら目的は達成された。別に興味などなかったけれど、諒太は相槌を打っている。
「何があったのでしょうか?」
「お恥ずかしい話ですが、過去にスバウメシアは国を分かつ戦いがありました。わたくしの父もその大戦における英雄なのですが、人族であった勇者様の助勢なくして勝利できたとは思えません」
そういえば夏美が諒太のレベリングに付き合えなくなった理由は緊急クエストだった。その内容はスバウメシアでのクーデター。どちらかについて戦うというものだったはず。
「勇者ナツですね?」
「お若く見えますのに博識ですわね? 父の友人であったナツ様が南部に押し寄せた大軍を獅子奮迅の活躍で殲滅されたのです。当時はまだ聖騎士様だったようですが、ナツ様はそののち勇者様となられました……」
クーデターの切っ掛けはロークアットの父いちご大福がセシリィ女王陛下と婚約したことだったはず。夏美の活躍によって、いちご大福は国を傾かせた諸悪の根源ではなく英雄となれたのだろう。
「ナツ様の戦いは圧倒的だったと伝えられています。彼女に恐れをなしたサンテクト侵攻軍の司令官は国境に近い南の洞窟へと逃げ込んだのです」
語られる昔話は割と面白かった。実際に諒太は見ていないけれど、夏美が暴れ回る様子が手に取るように理解できた。
「ナツ様は敵将を討ち取ったばかりか、当時未踏のダンジョンであった南の洞窟を踏破されてしまいました……」
昔話ですら夏美の馬鹿さ加減が垣間見られている。当初の目的だけで良かったというのに、夏美はダンジョンボスまで倒してしまったらしい。
「戻られたナツ様はダンジョンボスであるグリフォンの首を誇らしげに掲げられました。彼女の口から司令官を始末したことは語られなかったそうですけど、ダンジョン踏破の証しは任務完遂と考えるに十分だったのです。我々は成否を問うことなく、ただナツ様の偉業を褒め称えたとのこと。そのときから南の洞窟はオツの洞窟と呼ばれるようになったのです。ナツ様の名言にあやかって……」
思いの外、楽しめている。残念な幼馴染みが世界に与えた影響は今回に限り面白かった。洞窟の名になってしまっただけなのだから、夏美は何も悪くないのだ。
「ナツ様は待機していた正規軍にグリフォンの首を掲げられ、それはもう満面の笑みで声を上げられたそうです」
夏美のドヤ顔が目に浮かんだ。絶対に彼女は調子に乗っていたことだろう。
「乙っ!――――と」
思わず倒れそうになってしまう。名言ってそれなのかと諒太は眉根を寄せていた。
乙とはただのネットスラング。お疲れを略しただけのそれが洞窟の名になってしまったらしい。
幼馴染みとして申し訳なく思う。夏美はただイベントが終わったことを告げただけだ。決して後世にまで残そうとした言葉ではなかったことだろう。
しかし、オツの洞窟の由来は楽しめている。諒太は少しばかり夏美に感謝していた。ロークアット姫殿下との出会い。何の問題もなく会話できたのは、全て夏美が笑い話としてくれたからだ……。
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