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第一章 導かれし者
本当のアルカナ
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ログアウトをして諒太はヘッドセットを外した。指の動きや部屋の様子を改めて確認してみる。やはり何も問題ない。装備していたローブや杖はないし、諒太はプレイし始める前の姿だった。
「あの世界は……」
ゲームに違いない。今でもそう考えている。だが、調べた内容とは異なるオープニングやプレイヤーを一人も見ていないこと。夏美のキャラクターが伝説となっているなんて、普通ではないと思えてしまう。
「夏美に電話しよう……」
まだお使いの途中かもしれないが、諒太は夏美に電話をした。コールに気付いてくれたのなら、きっと彼女は電話に出てくれるはずだ。
『もしもし、夏美だよ』
少しばかり混乱していた諒太だが、夏美の声に落ち着きを取り戻していた。
何が現実であり、何が虚構であるのか。二つの世界をどう線引きしていいのか諒太には分からなかったのだ。しかし、スマホ越しに伝わる夏美の声に気付く。彼女は三百年前の偉人ではなく、明確にこの今を生きる人だ。またそれは諒太自身も同じである。ただの高校生である自分こそが現実であって、間違っても世を救う勇者などではない。
「ああ、すまん……。今からお前んちに行ってもいいか? 確かめたいことがある」
『もう帰るから構わないけど、一緒にプレイしないの?』
「少し確認したいことがあってな」
『何だかよく分からないけど……』
突然の訪問にも夏美は不快感を示さなかった。このあたりは本当に助かっている。彼女が幼馴染みであったことには感謝しかない。
夏美の了承を得た諒太は勢いよく自転車を漕ぎ出す。クレセントムーンの電源を切る余裕もなく九重邸へと急いだ。まさか二日続けて夏美の家に行くとは考えもしないことである。中学時代には異国へ引っ越したかのように感じていた距離も、今となってはコンビニへ行くのと大差がない。
昨日の今日であるから諒太は迷うことなく九重邸へと到着。夏美の自転車を確認するや、インターホンを押した。
「おお、早いね! どうぞどうぞ!」
夏美は買い物を済ませていた。急がせてしまって申し訳ないと思うけれど、諒太には確認しなくてはならないことがある。それはこの先も運命のアルカナをプレイする上で絶対に外せない必須事項だ。
「リョウちん、コーヒーでいい?」
「いや、飲み物はいらん。今すぐにアルカナを起動してくれ……」
喉は渇いていたけれど、今はそれどころじゃない。諒太の知るセイクリッド世界と夏美がプレイするセイクリッド世界が同じかどうかを彼は知りたかった。
「あたしがプレイするのを見るの?」
「それでいい。この前みたくテレビに映し出してくれ……」
夏美はわけも分からないまま運命のアルカナを起動する。一方で諒太はテレビに映し出される画面をジッと見つめていた。
ところが、集中力は長く維持されることなく、テレビ画面を見るや否に諒太は呆然としてしまう。
「何だよ……これ……?」
革新的とまで感じた映像であったはずが、今見るとゲームだとしか思えない。あの世界を見たあとでは作り物でしかなかった。
「王都もまるで違う……」
騎士団の詰め所や冒険者ギルドの場所は同じであったものの、街並みは諒太のプレイする世界と完全に異なっている。
『リョウちん、せっかくだから格好いい魔物が出現するダンジョンを見せてあげるよ!』
不意にテレビから夏美の声が届く。恐らくパーティトークと呼ばれるものだ。とはいえ夏美はパーティを組んでいないので他のプレイヤーには聞こえない。つまりはテレビを見る諒太のためだけに彼女は話している。
「夏美、大声で話してくれたら聞こえるぞ?」
わざわざテレビ画面を通さなくても直ぐ隣にいるのだ。確かにヘッドセットは顔面を完全に覆っているけれど、大きな声なら十分に聞こえる。
『それじゃ味気ないじゃん?』
何とも夏美らしい返答である。ならばと諒太は夏美のノートパソコンを起動。ヘッドセットが接続されていたから、恐らくはスナイパーメッセージがインストールされているはずだ。
ところが、パソコンは起動前にパスワードを要求する。誰にでも起動できる設定ではなかった。
「くそ……。パスワードとかナツらしくないな……」
面倒事を嫌う夏美がパスワードを設定するなんて。初期設定時に誤って設定したとしか思えない。だとすれば複雑なパスワードではないと諒太は推理する。
「723……」
一回目のトライは外れ。どうやらパスワードは三文字以上であるようだ。
「お馬鹿のくせにやるじゃないか。じゃあ、7239で……」
忘れにくく入力しやすいパスワードに違いないと諒太は思う。直感的に閃いたパスワードを諒太は再入力する。
【ようこそ 夏美さん】
ニヤリと諒太。夏美の思考を読むなど容易いことであった。中学一年の夏休みまで放課後をずっと一緒に過ごした彼女のことなどお見通しである。
早速とスナイパーメッセージを起動し、諒太は夏美に話しかけた。
「ナツ、戦闘はあとでいい。まずは大広場の城門前に向かってくれ……」
『はぇ!? リョウちん、パソコン起動できたの!?』
諒太の問いには答えず、夏美は疑問を返す。諒太にはパスワードが解けないとでも考えたのだろうか。
「当たり前だ。俺を誰だと思っている? それより城門前に石碑があっただろう?」
確かに昨日は大賢者ベノンの石碑があった。けれど、今日になってそれは勇者ナツの銅像に取って代わっている。諒太はそれを確認しなければならない。
『石碑? 大広場は初心者が仲間を募集するだけの場所だけど……』
夏美は諒太に言われるがまま城門前の大広場へと向かう。夏美の説明通りに大勢のプレイヤーがオープンチャットでクエストの同行者を募集している。
『石碑ってこれのこと?』
夏美が到着したのは諒太もよく知る場所だ。昨日は間違いなく石碑があり、本日になって勇者ナツの銅像が建てられた場所に他ならない。
「マジかよ……?」
息を呑むしかなかった。何もないわけではなく確かに銅像が建っていたのだが、諒太は驚きを隠せない。
『これはハピルっていうアルカナのマスコットだよ。冒険中にエンカウントしたら大量の経験値がもらえる。可愛いよね?』
ああっと適当な相槌を打つ。もう諒太は何も考えられない。
受け入れ難い現実を突きつけられていた。自分自身が経験したばかりのセイクリッド世界。無論のことそれはアルカナというゲームの中にあるはずだった。しかし、セイクリッド世界とアルカナのゲーム世界は明らかに隔絶しているのだ。街並みだけでなく騎士団員やギルドの職員たちでさえも。
「ナツ、これはずっとここにあるのか? たとえばサービス開始直後から……」
『サービス開始直後どころか、βテストからあるよ。古参のプレイヤーには馴染みのあるキャラクターだね』
馴染みどころか、諒太は見たことがない。βテストからずっと設置されているというのに、諒太はハピルの像を知らなかった。
『じゃあ、早速カッケー魔物を見せてあげる! ソロ討伐するからね?』
諒太の気も知らずに夏美は話題を切り替えていた。自慢するつもりなのは明らかであったけれど、呆然としていた諒太は思考を介することなく安易に返してしまう。
「ああ、分かった……」
どうにも不可解である。同じゲームであるはずなのに、内容がまるで異なっている。ベースとなっている部分を除けば、グラフィックから背景まで二つは明確に別物だった。
『ソロ討伐っていっても、完全に一人じゃないのだよ! 流石に高難度クエストだからね。ここは騎士団長コロンを連れていくの!』
言って夏美はハピル像の前を抜けて騎士団の詰め所へと入っていく。悪い予感に苛まれていた諒太だが、小さく顔を振って思考を停止。考えたとして結論など出るはずもなかったのだ。
今は夏美のプレイを見ておくだけでいい。同じゲームをしていることだけは確かである。予感が当たっていようが外れていようが古参である夏美のプレイは今後に役立つだろう。
「ナツ、騎士団長までパーティに誘えるのか?」
ソロで戦うのかと思いきや、夏美は騎士団長コロンというNPCをパーティに組み入れている。また騎士団長は諒太が知るフレアではなく、初めて見るキャラクターだった。
『好感度が上がればどんなNPCでも誘えるよ。要職にあるほど好感度上げは難しくなるけどね。あたしは聖騎士だったから騎士団員は全員連れて行けるよ』
「いやでも、お前のレベルの半分もないぞ? 彼は簡単に死んでしまうんじゃないのか?」
『NPCだよ? ボッチの低レベルプレイヤーを救済するためにいるのに。もし死んじゃっても次の日には詰め所にいるよ。それにコロンは壁役に最適だから……』
諒太はあの世界におけるNPCたちを夏美のようには見られない。彼女たちの仕草や表情は夏美がプレイするアルカナのそれと明らかに異なる。捨て駒に使うような真似ができるはずもなかった。
『さて、魔道塔へ呪文で飛ぶからね!』
夏美はおかしなことをいう。空間転移の呪文はなかったはず。世界の移動には歩いて行くか、馬車やワイバーンを使うしかない。
「おい、空間移動の呪文なんてあるのか? 普通は移動ポータルを使うんだろ?」
大きな街にはポータルと呼ばれる移動装置がある。利用には一度訪れる必要があったものの、ポータルが設置された場所であれば瞬時に飛んでいけるのだ。小さな街や村にはなかったけれど、城下街や街道が交差している街にはある程度設置されていた。
ところが、ダンジョンは基本的にポータルが設置されていない。ポータルがある最寄りの街へと飛ぶか、馬車などで移動するしかなかったのだ。
『勇者専用の呪文なの。昨日のイベント後にスクロールがもらえた。一度行った場所なら、何処にでも飛んでいけるみたい』
「くそっ、また勇者自慢かよ……」
ニシシと笑う夏美に不満げな諒太。とはいえ全てのサーバーでまだ夏美しか勇者がいないのだ。これくらいの優遇は当然あるだろう。
『時空の精霊よ、我に応えよ。無限に拡がる大地。遙かなる稜線の頂、絶海に浮かぶ孤島。我望む場所へと導かん……』
スクロールを読みながら、夏美の詠唱が終わる。
『リバレーション!!』
酔いそうになるほど派手なエフェクトがあり、詠唱を終えた次の瞬間には眼前に巨大な塔がそびえ立っていた。
諒太は再びアルカナの世界に引き込まれている。新しい魔法に初めて見るフィールド。二つの世界は明確に異なっていたものの、諒太はゲーマーとして目が離せなくなっていた。
『ここはスバウメシア聖王国に近い孤島なの。でも一応はアクラスフィア王国内だよ。ボス部屋まですっ飛ばしていくからね?』
言葉の通りに夏美は慣れた様子でサクサクと塔を登っていく。お供である騎士団長コロンもまだ健在だ。攻撃力はさほどもないコロンであるが、壁役と話していた通りに防御力はずば抜けている。
『この扉の向こうにボスがいるよ。不死王リッチは魔法攻撃を無効化する。だから殴り倒すしか手がないの。パーティー戦闘推奨の強敵なんだけど、コロン生贄攻略が確立して腕の立つ戦士系プレイヤーならソロでも狩れるようになったんだよ。まあでもソロ討伐するにはレベル95は欲しいところだけどね……』
「俺はボッチだし魔道士だと伝えたはずだぞ? 殴り倒せとかお前の記憶力は小魚かよ?」
『アハハ! ボッチなら仕方ないね。じゃあ、リョウちんには無理だ!』
ちくしょうと諒太が呟くと夏美は笑い声を大きくした。またもマウントを取れたと彼女は上機嫌である。
『さあ、扉を開くよ!』
勇者ナツが扉を開くと、部屋の中心へ闇が吸い込まれるように凝縮していく。このエフェクトは明らかにボス級の特殊効果である。特別な何かが現れるとプレイヤーたちに知らしめるものだ。
魔界へと繋がっていそうな闇が部屋の中心部に生み出されていた。しかし、次の瞬間には一転してその闇が光を放つ。目を覆いたくなるほど輝いたあと、部屋の中心部には夏美が語ったままに不死王リッチが現れていた。
『華麗に討伐しちゃうから! リョウちん、見逃さないでよね?』
言って夏美は長剣を抜く。斬っては後退を繰り返し、事前の説明通りにリッチを易々と切り刻んでいる。まだ彼女は少しのダメージも受けていない。自信満々に豪語しただけあって、夏美とは思えないほど上手く立ち回っている。生贄攻略と話していた通りにコロンを盾として活用できていた。
『リョウちん、あたし完璧でしょ!?』
ところが、不死王リッチも負けていない。ここまでは火球や水弾が中心であったけれど、徐々に強魔法を使用するようになっていた。
「ナツ、調子に乗るなよ? お前はいつもヘマをやらかすんだから……」
『へーき、へーき!』
かつての残念な記憶が蘇っている。勇者に選定されるほど、彼女がこの三年で成長したのは明らか。けれど、その過程を知らぬ諒太は不安で仕方がない。
さりとて夏美は諒太の不安を一掃するようなプレイを見せている。確かに盾役を使用していたけれど、少しも攻撃を受けないなんて見事としか言いようがない。認めるのは癪だったが、諒太は夏美の成長をこのプレイに見ていた。
しばらくしてリッチの様子に変化が起きる。初めて見る詠唱モーション。それは明確にこれまで詠唱動作とは異なっていた。
「何か……大きいのがくる?」
直ぐさま諒太が察知するも、夏美はまるで気にしていない。コロンに防御の全てを任せているのか、お構いなしに攻撃を続けていた。
両腕を天にかざすリッチ。大袈裟な動作のあと、ようやく詠唱が終わった。禍々しく黒い渦がリッチに吸い込まれ、次の瞬間には巨大な雷撃を撃ち出している。
画面一杯に稲妻が落ちた。目眩を覚えるほど派手な演出である。恐らくこれはリッチが有する最大魔法に違いない。前衛で大盾を構えるコロンは今や完全に雷撃の中心である。
「おい! コロンが死んだぞ!?」
『へーきだって! もう直ぐ倒せる!』
この状況でも夏美は問題ないという。盾役が失われたあと勇者ナツはリッチの攻撃を一身に浴びるというのに。
『とどめっ! ソニックスラァァァッシュ!!』
僅か十分の戦闘だった。夏美は危なげなく不死王リッチを葬っている。不死王を名乗っているというのに、リッチは事もなげに討伐されてしまう。
『あ! きたきた! これが不死王の霊薬だよ! 効果は奇跡的な回復薬でどんな状態異常も治っちゃうの。ただし、一度使ったらなくなっちゃうけどね。それでドロップ率は3%程度だけど、その割に良く落ちるのよ』
「ふざけんな。俺なら1%未満だろう。万能薬だったら初心者である俺にくれよ……」
『それがね、ドロップアイテムの譲渡はできないんだよ。その辺りがこのゲームを難しくしてる。あげられるもので一番良いアイテムが叡智のリングなのよね……』
基本的に譲渡は自由らしいのだが、ドロップアイテムだけは制限があるようだ。ゲームスタート時の所持品やNPCが販売しているもの、生産職が作りだしたレアリティの低いアイテムならば誰にでも譲渡可能だという。つまり、このあと諒太が夏美から援助を受けるのなら、生産職が作り出したアイテムしかないみたいだ。
しばし考えてみる。諒太と夏美の世界は明らかに違うものだ。街並みだけでなく時系列までもが狂っている。けれど、世界の舞台や主要な建物に変化はなかった。だとすれば諒太のセイクリッド世界にも魔道塔があるのではないかと。
強敵を華麗に討伐した夏美に諒太は対抗心を燃やしていた。或いは嫉妬かもしれない。コロンを盾にしていたけれど、彼女の的確な操作に感心し、ゲーマーとして負けてはならないという感情が芽生えている。
「ナツ、魔法剣士になるにはどうしたらいい?」
聞かずにはいられない。魔法職ではない夏美だが、βテストを含めると一年近くもプレイしている。諒太よりも知識があるのは間違いないだろう。
『それなら剣で戦ってれば良いよ。アタックは4あったんでしょ? かなり強くなると思うよ』
簡単に言われてしまうと何だか拍子抜けだ。かといって、それは諒太の予想通りでもある。面倒なイベントを発生させなくとも、プレイヤーの行動次第で成長ルートは切り替わるはずだ。
「ナツ、サンキュー。俺も帰ってプレイするよ」
『ええ? もう帰るの? じゃあログインしたら教えて。一緒にプレイしよう!』
了解と返す諒太であるけれど、それは恐らく無理じゃないかと思う。フレアによると、勇者ナツは三百年前の存在である。どうしてか諒太は夏美と同じ時間軸にいないのだ。二人は同じゲームをしているはずなのに。
諒太はじゃあなと言って夏美の家を出た。帰り道はずっと考えている。夏美のゲーム画面と体験したセイクリッド世界の差異について。自身がログインするセイクリッド世界がどういったものであるのかと。
「あの世界は現実であるのかもしれない――――」
一般常識からかけ離れた結論に至る。高校生にもなって異世界について真剣に考えていた。けれど、二つの違いは明らかである。夏美がプレイする世界も現実的だと感じるけれど、それはゲームという枠組みの中においてだ。セイクリッド世界にあるような現実感は皆無であり、諒太がプレイするアルカナの世界とはまるで異なっていた……。
「あの世界は……」
ゲームに違いない。今でもそう考えている。だが、調べた内容とは異なるオープニングやプレイヤーを一人も見ていないこと。夏美のキャラクターが伝説となっているなんて、普通ではないと思えてしまう。
「夏美に電話しよう……」
まだお使いの途中かもしれないが、諒太は夏美に電話をした。コールに気付いてくれたのなら、きっと彼女は電話に出てくれるはずだ。
『もしもし、夏美だよ』
少しばかり混乱していた諒太だが、夏美の声に落ち着きを取り戻していた。
何が現実であり、何が虚構であるのか。二つの世界をどう線引きしていいのか諒太には分からなかったのだ。しかし、スマホ越しに伝わる夏美の声に気付く。彼女は三百年前の偉人ではなく、明確にこの今を生きる人だ。またそれは諒太自身も同じである。ただの高校生である自分こそが現実であって、間違っても世を救う勇者などではない。
「ああ、すまん……。今からお前んちに行ってもいいか? 確かめたいことがある」
『もう帰るから構わないけど、一緒にプレイしないの?』
「少し確認したいことがあってな」
『何だかよく分からないけど……』
突然の訪問にも夏美は不快感を示さなかった。このあたりは本当に助かっている。彼女が幼馴染みであったことには感謝しかない。
夏美の了承を得た諒太は勢いよく自転車を漕ぎ出す。クレセントムーンの電源を切る余裕もなく九重邸へと急いだ。まさか二日続けて夏美の家に行くとは考えもしないことである。中学時代には異国へ引っ越したかのように感じていた距離も、今となってはコンビニへ行くのと大差がない。
昨日の今日であるから諒太は迷うことなく九重邸へと到着。夏美の自転車を確認するや、インターホンを押した。
「おお、早いね! どうぞどうぞ!」
夏美は買い物を済ませていた。急がせてしまって申し訳ないと思うけれど、諒太には確認しなくてはならないことがある。それはこの先も運命のアルカナをプレイする上で絶対に外せない必須事項だ。
「リョウちん、コーヒーでいい?」
「いや、飲み物はいらん。今すぐにアルカナを起動してくれ……」
喉は渇いていたけれど、今はそれどころじゃない。諒太の知るセイクリッド世界と夏美がプレイするセイクリッド世界が同じかどうかを彼は知りたかった。
「あたしがプレイするのを見るの?」
「それでいい。この前みたくテレビに映し出してくれ……」
夏美はわけも分からないまま運命のアルカナを起動する。一方で諒太はテレビに映し出される画面をジッと見つめていた。
ところが、集中力は長く維持されることなく、テレビ画面を見るや否に諒太は呆然としてしまう。
「何だよ……これ……?」
革新的とまで感じた映像であったはずが、今見るとゲームだとしか思えない。あの世界を見たあとでは作り物でしかなかった。
「王都もまるで違う……」
騎士団の詰め所や冒険者ギルドの場所は同じであったものの、街並みは諒太のプレイする世界と完全に異なっている。
『リョウちん、せっかくだから格好いい魔物が出現するダンジョンを見せてあげるよ!』
不意にテレビから夏美の声が届く。恐らくパーティトークと呼ばれるものだ。とはいえ夏美はパーティを組んでいないので他のプレイヤーには聞こえない。つまりはテレビを見る諒太のためだけに彼女は話している。
「夏美、大声で話してくれたら聞こえるぞ?」
わざわざテレビ画面を通さなくても直ぐ隣にいるのだ。確かにヘッドセットは顔面を完全に覆っているけれど、大きな声なら十分に聞こえる。
『それじゃ味気ないじゃん?』
何とも夏美らしい返答である。ならばと諒太は夏美のノートパソコンを起動。ヘッドセットが接続されていたから、恐らくはスナイパーメッセージがインストールされているはずだ。
ところが、パソコンは起動前にパスワードを要求する。誰にでも起動できる設定ではなかった。
「くそ……。パスワードとかナツらしくないな……」
面倒事を嫌う夏美がパスワードを設定するなんて。初期設定時に誤って設定したとしか思えない。だとすれば複雑なパスワードではないと諒太は推理する。
「723……」
一回目のトライは外れ。どうやらパスワードは三文字以上であるようだ。
「お馬鹿のくせにやるじゃないか。じゃあ、7239で……」
忘れにくく入力しやすいパスワードに違いないと諒太は思う。直感的に閃いたパスワードを諒太は再入力する。
【ようこそ 夏美さん】
ニヤリと諒太。夏美の思考を読むなど容易いことであった。中学一年の夏休みまで放課後をずっと一緒に過ごした彼女のことなどお見通しである。
早速とスナイパーメッセージを起動し、諒太は夏美に話しかけた。
「ナツ、戦闘はあとでいい。まずは大広場の城門前に向かってくれ……」
『はぇ!? リョウちん、パソコン起動できたの!?』
諒太の問いには答えず、夏美は疑問を返す。諒太にはパスワードが解けないとでも考えたのだろうか。
「当たり前だ。俺を誰だと思っている? それより城門前に石碑があっただろう?」
確かに昨日は大賢者ベノンの石碑があった。けれど、今日になってそれは勇者ナツの銅像に取って代わっている。諒太はそれを確認しなければならない。
『石碑? 大広場は初心者が仲間を募集するだけの場所だけど……』
夏美は諒太に言われるがまま城門前の大広場へと向かう。夏美の説明通りに大勢のプレイヤーがオープンチャットでクエストの同行者を募集している。
『石碑ってこれのこと?』
夏美が到着したのは諒太もよく知る場所だ。昨日は間違いなく石碑があり、本日になって勇者ナツの銅像が建てられた場所に他ならない。
「マジかよ……?」
息を呑むしかなかった。何もないわけではなく確かに銅像が建っていたのだが、諒太は驚きを隠せない。
『これはハピルっていうアルカナのマスコットだよ。冒険中にエンカウントしたら大量の経験値がもらえる。可愛いよね?』
ああっと適当な相槌を打つ。もう諒太は何も考えられない。
受け入れ難い現実を突きつけられていた。自分自身が経験したばかりのセイクリッド世界。無論のことそれはアルカナというゲームの中にあるはずだった。しかし、セイクリッド世界とアルカナのゲーム世界は明らかに隔絶しているのだ。街並みだけでなく騎士団員やギルドの職員たちでさえも。
「ナツ、これはずっとここにあるのか? たとえばサービス開始直後から……」
『サービス開始直後どころか、βテストからあるよ。古参のプレイヤーには馴染みのあるキャラクターだね』
馴染みどころか、諒太は見たことがない。βテストからずっと設置されているというのに、諒太はハピルの像を知らなかった。
『じゃあ、早速カッケー魔物を見せてあげる! ソロ討伐するからね?』
諒太の気も知らずに夏美は話題を切り替えていた。自慢するつもりなのは明らかであったけれど、呆然としていた諒太は思考を介することなく安易に返してしまう。
「ああ、分かった……」
どうにも不可解である。同じゲームであるはずなのに、内容がまるで異なっている。ベースとなっている部分を除けば、グラフィックから背景まで二つは明確に別物だった。
『ソロ討伐っていっても、完全に一人じゃないのだよ! 流石に高難度クエストだからね。ここは騎士団長コロンを連れていくの!』
言って夏美はハピル像の前を抜けて騎士団の詰め所へと入っていく。悪い予感に苛まれていた諒太だが、小さく顔を振って思考を停止。考えたとして結論など出るはずもなかったのだ。
今は夏美のプレイを見ておくだけでいい。同じゲームをしていることだけは確かである。予感が当たっていようが外れていようが古参である夏美のプレイは今後に役立つだろう。
「ナツ、騎士団長までパーティに誘えるのか?」
ソロで戦うのかと思いきや、夏美は騎士団長コロンというNPCをパーティに組み入れている。また騎士団長は諒太が知るフレアではなく、初めて見るキャラクターだった。
『好感度が上がればどんなNPCでも誘えるよ。要職にあるほど好感度上げは難しくなるけどね。あたしは聖騎士だったから騎士団員は全員連れて行けるよ』
「いやでも、お前のレベルの半分もないぞ? 彼は簡単に死んでしまうんじゃないのか?」
『NPCだよ? ボッチの低レベルプレイヤーを救済するためにいるのに。もし死んじゃっても次の日には詰め所にいるよ。それにコロンは壁役に最適だから……』
諒太はあの世界におけるNPCたちを夏美のようには見られない。彼女たちの仕草や表情は夏美がプレイするアルカナのそれと明らかに異なる。捨て駒に使うような真似ができるはずもなかった。
『さて、魔道塔へ呪文で飛ぶからね!』
夏美はおかしなことをいう。空間転移の呪文はなかったはず。世界の移動には歩いて行くか、馬車やワイバーンを使うしかない。
「おい、空間移動の呪文なんてあるのか? 普通は移動ポータルを使うんだろ?」
大きな街にはポータルと呼ばれる移動装置がある。利用には一度訪れる必要があったものの、ポータルが設置された場所であれば瞬時に飛んでいけるのだ。小さな街や村にはなかったけれど、城下街や街道が交差している街にはある程度設置されていた。
ところが、ダンジョンは基本的にポータルが設置されていない。ポータルがある最寄りの街へと飛ぶか、馬車などで移動するしかなかったのだ。
『勇者専用の呪文なの。昨日のイベント後にスクロールがもらえた。一度行った場所なら、何処にでも飛んでいけるみたい』
「くそっ、また勇者自慢かよ……」
ニシシと笑う夏美に不満げな諒太。とはいえ全てのサーバーでまだ夏美しか勇者がいないのだ。これくらいの優遇は当然あるだろう。
『時空の精霊よ、我に応えよ。無限に拡がる大地。遙かなる稜線の頂、絶海に浮かぶ孤島。我望む場所へと導かん……』
スクロールを読みながら、夏美の詠唱が終わる。
『リバレーション!!』
酔いそうになるほど派手なエフェクトがあり、詠唱を終えた次の瞬間には眼前に巨大な塔がそびえ立っていた。
諒太は再びアルカナの世界に引き込まれている。新しい魔法に初めて見るフィールド。二つの世界は明確に異なっていたものの、諒太はゲーマーとして目が離せなくなっていた。
『ここはスバウメシア聖王国に近い孤島なの。でも一応はアクラスフィア王国内だよ。ボス部屋まですっ飛ばしていくからね?』
言葉の通りに夏美は慣れた様子でサクサクと塔を登っていく。お供である騎士団長コロンもまだ健在だ。攻撃力はさほどもないコロンであるが、壁役と話していた通りに防御力はずば抜けている。
『この扉の向こうにボスがいるよ。不死王リッチは魔法攻撃を無効化する。だから殴り倒すしか手がないの。パーティー戦闘推奨の強敵なんだけど、コロン生贄攻略が確立して腕の立つ戦士系プレイヤーならソロでも狩れるようになったんだよ。まあでもソロ討伐するにはレベル95は欲しいところだけどね……』
「俺はボッチだし魔道士だと伝えたはずだぞ? 殴り倒せとかお前の記憶力は小魚かよ?」
『アハハ! ボッチなら仕方ないね。じゃあ、リョウちんには無理だ!』
ちくしょうと諒太が呟くと夏美は笑い声を大きくした。またもマウントを取れたと彼女は上機嫌である。
『さあ、扉を開くよ!』
勇者ナツが扉を開くと、部屋の中心へ闇が吸い込まれるように凝縮していく。このエフェクトは明らかにボス級の特殊効果である。特別な何かが現れるとプレイヤーたちに知らしめるものだ。
魔界へと繋がっていそうな闇が部屋の中心部に生み出されていた。しかし、次の瞬間には一転してその闇が光を放つ。目を覆いたくなるほど輝いたあと、部屋の中心部には夏美が語ったままに不死王リッチが現れていた。
『華麗に討伐しちゃうから! リョウちん、見逃さないでよね?』
言って夏美は長剣を抜く。斬っては後退を繰り返し、事前の説明通りにリッチを易々と切り刻んでいる。まだ彼女は少しのダメージも受けていない。自信満々に豪語しただけあって、夏美とは思えないほど上手く立ち回っている。生贄攻略と話していた通りにコロンを盾として活用できていた。
『リョウちん、あたし完璧でしょ!?』
ところが、不死王リッチも負けていない。ここまでは火球や水弾が中心であったけれど、徐々に強魔法を使用するようになっていた。
「ナツ、調子に乗るなよ? お前はいつもヘマをやらかすんだから……」
『へーき、へーき!』
かつての残念な記憶が蘇っている。勇者に選定されるほど、彼女がこの三年で成長したのは明らか。けれど、その過程を知らぬ諒太は不安で仕方がない。
さりとて夏美は諒太の不安を一掃するようなプレイを見せている。確かに盾役を使用していたけれど、少しも攻撃を受けないなんて見事としか言いようがない。認めるのは癪だったが、諒太は夏美の成長をこのプレイに見ていた。
しばらくしてリッチの様子に変化が起きる。初めて見る詠唱モーション。それは明確にこれまで詠唱動作とは異なっていた。
「何か……大きいのがくる?」
直ぐさま諒太が察知するも、夏美はまるで気にしていない。コロンに防御の全てを任せているのか、お構いなしに攻撃を続けていた。
両腕を天にかざすリッチ。大袈裟な動作のあと、ようやく詠唱が終わった。禍々しく黒い渦がリッチに吸い込まれ、次の瞬間には巨大な雷撃を撃ち出している。
画面一杯に稲妻が落ちた。目眩を覚えるほど派手な演出である。恐らくこれはリッチが有する最大魔法に違いない。前衛で大盾を構えるコロンは今や完全に雷撃の中心である。
「おい! コロンが死んだぞ!?」
『へーきだって! もう直ぐ倒せる!』
この状況でも夏美は問題ないという。盾役が失われたあと勇者ナツはリッチの攻撃を一身に浴びるというのに。
『とどめっ! ソニックスラァァァッシュ!!』
僅か十分の戦闘だった。夏美は危なげなく不死王リッチを葬っている。不死王を名乗っているというのに、リッチは事もなげに討伐されてしまう。
『あ! きたきた! これが不死王の霊薬だよ! 効果は奇跡的な回復薬でどんな状態異常も治っちゃうの。ただし、一度使ったらなくなっちゃうけどね。それでドロップ率は3%程度だけど、その割に良く落ちるのよ』
「ふざけんな。俺なら1%未満だろう。万能薬だったら初心者である俺にくれよ……」
『それがね、ドロップアイテムの譲渡はできないんだよ。その辺りがこのゲームを難しくしてる。あげられるもので一番良いアイテムが叡智のリングなのよね……』
基本的に譲渡は自由らしいのだが、ドロップアイテムだけは制限があるようだ。ゲームスタート時の所持品やNPCが販売しているもの、生産職が作りだしたレアリティの低いアイテムならば誰にでも譲渡可能だという。つまり、このあと諒太が夏美から援助を受けるのなら、生産職が作り出したアイテムしかないみたいだ。
しばし考えてみる。諒太と夏美の世界は明らかに違うものだ。街並みだけでなく時系列までもが狂っている。けれど、世界の舞台や主要な建物に変化はなかった。だとすれば諒太のセイクリッド世界にも魔道塔があるのではないかと。
強敵を華麗に討伐した夏美に諒太は対抗心を燃やしていた。或いは嫉妬かもしれない。コロンを盾にしていたけれど、彼女の的確な操作に感心し、ゲーマーとして負けてはならないという感情が芽生えている。
「ナツ、魔法剣士になるにはどうしたらいい?」
聞かずにはいられない。魔法職ではない夏美だが、βテストを含めると一年近くもプレイしている。諒太よりも知識があるのは間違いないだろう。
『それなら剣で戦ってれば良いよ。アタックは4あったんでしょ? かなり強くなると思うよ』
簡単に言われてしまうと何だか拍子抜けだ。かといって、それは諒太の予想通りでもある。面倒なイベントを発生させなくとも、プレイヤーの行動次第で成長ルートは切り替わるはずだ。
「ナツ、サンキュー。俺も帰ってプレイするよ」
『ええ? もう帰るの? じゃあログインしたら教えて。一緒にプレイしよう!』
了解と返す諒太であるけれど、それは恐らく無理じゃないかと思う。フレアによると、勇者ナツは三百年前の存在である。どうしてか諒太は夏美と同じ時間軸にいないのだ。二人は同じゲームをしているはずなのに。
諒太はじゃあなと言って夏美の家を出た。帰り道はずっと考えている。夏美のゲーム画面と体験したセイクリッド世界の差異について。自身がログインするセイクリッド世界がどういったものであるのかと。
「あの世界は現実であるのかもしれない――――」
一般常識からかけ離れた結論に至る。高校生にもなって異世界について真剣に考えていた。けれど、二つの違いは明らかである。夏美がプレイする世界も現実的だと感じるけれど、それはゲームという枠組みの中においてだ。セイクリッド世界にあるような現実感は皆無であり、諒太がプレイするアルカナの世界とはまるで異なっていた……。
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