幼馴染み(♀)がプレイするMMORPGはどうしてか異世界に影響を与えている

 かつて水無月諒太には幼馴染みがいた。団地の隣室に住む同い年の女の子。同じく鍵っ子であった夏美の家で諒太は放課後になると毎日一緒にゲームをしていた。
 しかし団地の取り壊しが決定し、二人共が引っ越しを強いられてしまう。毎日一緒に遊んできた二人だが、中学一年の夏休みにその関係は終わりを告げる。
 時を経て諒太は高校へと進学。幸運にも隣席は美少女であった。諒太は出会いの予感を覚えたものの、美少女はかつての隣人である夏美に他ならない。
 二人は直ぐさま意気投合し、大人気ゲーム【運命のアルカナ】をプレイしようと約束をする。
 運命のアルカナは多人数参加型のゲームであり、ヘッドセットを装着して楽しむVRゲーム。夏美は三年前と変わることなく今もゲーマーであるようだ。
 帰宅した諒太は早速とゲームの設定を始めるも何やら様子がおかしい。夏美の家で見た映像より現実感があり、オープニングも事前に調べた内容と異なっていた。しかし、夏美と通信ができたし、彼女からのプレゼントまでちゃんと受け取れている。よって諒太は深く考えることなくレベリングに精を出す。先行してプレイしていた夏美に追いつこうとして。
 しかし、諒太もゲーム機が異常を来していると気付く。あろうことか諒太がプレイする世界はゲームの設定から三百年後であった。過去である夏美のプレイ状況が反映されていく世界。そこは仮想世界ではなく現実そのもの。夏美がゲーム世界でやらかすたび、諒太の世界に異変が生じた。
 不安定な世界線に諒太は動揺するも、元より彼はゲーマーである。世界の理がゲームの設定であるのならと、諒太は世界のために戦おうと思う。
 残念な幼馴染みのプレイに翻弄されながらも諒太は世界を救い続けている……。
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