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最終章 世界に光を

多角魔法陣

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 何度聞いても私は笑みを浮かべてしまう。

 告白って良いものだわ。鬱屈とした現状にも光が満ちている。

 思えば前世の私はこの愛を受け流していたのね。悔やんでも悔やみきれない人生を終えたんだ。

 さりとて、この人生はこれからも続く。アナスタシア・スカーレットは必ずや、ルークの愛を享受し、彩りのある人生を送るわ。

 元よりハッピーエンディングしか私は望んでいないのだから。

「よく見てなさいよ。格好いいところ見せてあげるわ!」

 キスのあと、私はルークに告げた。

 ラブロマンスのあとだとは思えぬ猛々しい台詞を。

「お、おう……」

 色っぽい返答じゃなくてごめんなさい。

 だけど、私は格好よくありたいの。貴方がもっと私を愛せるように。強く気高い女を演じ続けるためにも。

「飛べ、ペガサス!!」

 完全にリフレッシュできた。

 私は戦うんだ。古代魔法ロナ・メテオ・バーストを再構築し、行き詰まったこの戦闘に光明を見出してみせる。

「術式展開……」

 先ほど思考したままに術式を展開していく。

 二枚を一枚に集約し、十二芒星陣という複雑な術式にトライしています。

「落ち着いて構築すれば良い……」

 黒竜の周囲を旋回しつつ、私は術式を脳裏に描いた。

 魔力変換から圧縮、そして物質変換に属性を加えていく。

 とても難解な作業でしたけれど、全速力で黒竜の裏を取りながら私は魔法陣を描き続けています。

「最後は放出……」

 眼前には六枚の十二芒星陣が現れています。

 魔力を注ぎ込んで消失しなければ機能しているはずよ。

「いけぇぇえええっっ!!」

 刹那に現れたのは炎を帯びた巨大な隕石です。

 しかし、明確に前回とは異なる。私が知っている術式よりも確実に大きな隕石が出現していました。

「地形が変わっても知らないから!」

 小さく微笑む私。ようやくとこの世界線に勝機を見出しています。

 ルークは見ているかな? 私が唱えたこの超大魔法を。

 もしも格好いいと思ってもらえたなら、私はそれで本望です。

「ロナ・メテオ・バァァストォォオオオ!!」

 撃ち放たれる超大隕石。前々世で見た映画みたい。大地を割ってしまうほどの隕石が黒竜目がけて落ちていく。

 これまでとは違う絶対的な衝撃。魔法陣にて守られている私にもその威力が伝わっていました。

 耳をつんざく轟音と巻き上がる大量の粉塵。

 確信せざるを得ない。私はきっと本来の力を引き出せたのだと。

「やった……」

 黒竜は右前脚を失っている。

 これまで少しのダメージも与えた様子はなかったのに。

 さりとて、それは黒竜の実体を痛めつけただけ。本体は闇の次元にいるのだと聞いています。

 だけどね、そんなことは分かってるわ。今は試し撃ちしているだけだもの。

「十二芒星陣に纏めただけでこの威力ってことは……」

 何だか欲が出てきました。

 もし仮に二十四芒星陣なる多角魔法陣が形成できるのならと。

 単純に今以上の威力を発揮するはず。

 この世界に二十四芒星陣なんてものは存在しませんけれど、術式が機能するのなら可能ではないかと。

「やってみよう。散々死に戻らせてくれたお礼をしなきゃね……」

 不適な笑みを浮かべる。私は黒竜に仕返ししたくなっていました。

 だからこそ、言い放つ。今以上の魔法をお見舞いしてやるのだと。

「この世に存在した痕跡すら消してあげるわ!」
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