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第十五章 世界と君のために
世界の真相
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公爵邸へと戻った私は再び机に向かっていました。
今のところ真相への手がかりはアンジェラ・ローズマリーの日記しかないと。
「エリカの呪いだけは何とかしたい。天寿を全うしたあとで、再び転生させられる可能性もあるし」
世界線が動き出せば私は天使となる。
でも、魔王因子を残したままだと再びプロメティア世界に送り込まれる可能性が高い。
アマンダは人使いが荒いし、私は天界に残るのだからね。
「呪印に関しては最後まで読んだ。アンジェラは他に何も知らないのかしら?」
黒竜についても、読んだ内容が全て。色々と検索してみるも、新しい情報は見つからない。
エリカと王家の血が持つ問題を解決したいと考えていたのに。
「セントローゼス王家とエリカの関係が分からない……」
溜め息と共に頷くと、どうしてか日記が反応します。
勝手に捲られていく。今しがたのワードに反応したのなら、それはセントローゼス王家に違いありません。
何しろ何千年も昔にエリカが存在するはずもないのですから。
「え?」
ページが確定する。セントローゼス王国に関する秘密が分かるかもしれません。
『内乱が起きた。エルドア王国はもう終わりかもしれない』
いきなりの展開です。エルドア王国とは、かつてこの土地に存在した国。以前にも記述があった王国のことでしょう。
『内乱の首謀者はセントローゼスという貴族だった』
え? それってセントローゼス王家と関係あるの!?
検索したのは私自身ですが、想像を超えた展開には唖然としています。
『セントローゼス卿は大軍を引き連れ、ルナレイクを取り囲んでいる』
行き詰まる展開です。
現在から考えると結果は明らかなのですけど、小国が乱立していた時代にはこういった戦争が多く勃発していたみたい。
『私の家に使者が来た。エルドア国王からだ。私はどうすべきなのだろうな』
恐らく火竜の聖女アンジェラ・ローズマリーが参戦したのなら、戦況は覆るはず。
何しろ彼女はロナ・メテオ・バーストを唱えられるのですから。
『恩義がある。しかも私は嘘をついたままだ。腹を括って戦場へと向かおうか……』
ここは予想通りです。
アンジェラ・ローズマリーはやはり戦いを選んだ。彼女は黒竜討伐という嘘をついていたから。
『クラリスとリサリアにはマリィとルイをつけて逃がした。空から逃げたのなら、捕まることはないだろう。私は王城へと行き、戦場へと赴くことになる。達者でな。我が子たち。願わくば幸せになってくれ』
記される内容を読む限り、アンジェラは死を選んだのかもしれない。
勝利への気概を感じないもの。彼女は今生の別れともいえる文面を書き残しているのだから。
『私は前線へと赴いた。即座に戦争が始まるのかと思いきや、意外にも話し合いを提案されている。一人で砦まで来いと。まあ、どうせ生き長らえた命だ。セントローゼスという男を見極めてやろう』
どうなるのでしょう。
戦いの場面じゃなく、会談が設けられたみたいです。
『セントローゼスは好青年であった。鑑定眼によると稀有な光属性の持ち主。革命ともいえる戦いを始めた理由は圧政に喘ぐ平民のためだとか。私としては同意しかねる話であったが、私もまた支配階級であったから気付かなかったのかもしれない』
光属性の所有者ということは恐らく現在のセントローゼス王国を立ち上げた人でしょう。
セントローゼス王家は全員がルミナスというミドルネームを持っていたのですから。
『話し合いは決裂。やはり戦うしかないようだ。穏便に済ますにはエルドア国王の首が必要であったのだから』
革命軍が勝利するのは間違いありません。
現在まで残るセントローゼス王家の血が革命前に途絶えるはずもないのですし。
『陣地に戻った私は指揮を執る王子に明日の開戦を伝えた。私はどうしていいのか分からない。恐らく本気を出せば勝利できるだろう。だが、あの青年の目を見たあとでは正解が分からないのだ。あの男は世界に必要な気がする』
葛藤が感じられます。
まあでも、結果は明らかでしょうね。現状から推測できる結末は多くありません。
『まるで眠れない。かといって、明日の戦争に怯えたわけではない。既に死は決めている。眠れぬ理由はあの男に会ってから妙に呪印が疼くからだ。どうしてかあの男が欲しくて堪らない。私には夫も子もいたというのに』
ちょっと待って。どうしてそうなっちゃうの?
超展開を見せる日記でしたが、一応は弁明というか推論が記されています。
『男の手にあった痣。私の脇腹にあるものとは似て非なるもの。しかし、あれが巨悪による種であるならば、あの青年もまた惨殺の生き残りか、若しくは血を引く者かもしれない……』
私には理解できません。
一目惚れしたのではないとしても、呪印が関係しているなんて弁明は受け入れられない。
しかし、私は知らされている。呪印の意味。セントローゼス王家の秘密について。
『巨悪の種は惹かれ合う。あの男と結ばれてはならない――』
今のところ真相への手がかりはアンジェラ・ローズマリーの日記しかないと。
「エリカの呪いだけは何とかしたい。天寿を全うしたあとで、再び転生させられる可能性もあるし」
世界線が動き出せば私は天使となる。
でも、魔王因子を残したままだと再びプロメティア世界に送り込まれる可能性が高い。
アマンダは人使いが荒いし、私は天界に残るのだからね。
「呪印に関しては最後まで読んだ。アンジェラは他に何も知らないのかしら?」
黒竜についても、読んだ内容が全て。色々と検索してみるも、新しい情報は見つからない。
エリカと王家の血が持つ問題を解決したいと考えていたのに。
「セントローゼス王家とエリカの関係が分からない……」
溜め息と共に頷くと、どうしてか日記が反応します。
勝手に捲られていく。今しがたのワードに反応したのなら、それはセントローゼス王家に違いありません。
何しろ何千年も昔にエリカが存在するはずもないのですから。
「え?」
ページが確定する。セントローゼス王国に関する秘密が分かるかもしれません。
『内乱が起きた。エルドア王国はもう終わりかもしれない』
いきなりの展開です。エルドア王国とは、かつてこの土地に存在した国。以前にも記述があった王国のことでしょう。
『内乱の首謀者はセントローゼスという貴族だった』
え? それってセントローゼス王家と関係あるの!?
検索したのは私自身ですが、想像を超えた展開には唖然としています。
『セントローゼス卿は大軍を引き連れ、ルナレイクを取り囲んでいる』
行き詰まる展開です。
現在から考えると結果は明らかなのですけど、小国が乱立していた時代にはこういった戦争が多く勃発していたみたい。
『私の家に使者が来た。エルドア国王からだ。私はどうすべきなのだろうな』
恐らく火竜の聖女アンジェラ・ローズマリーが参戦したのなら、戦況は覆るはず。
何しろ彼女はロナ・メテオ・バーストを唱えられるのですから。
『恩義がある。しかも私は嘘をついたままだ。腹を括って戦場へと向かおうか……』
ここは予想通りです。
アンジェラ・ローズマリーはやはり戦いを選んだ。彼女は黒竜討伐という嘘をついていたから。
『クラリスとリサリアにはマリィとルイをつけて逃がした。空から逃げたのなら、捕まることはないだろう。私は王城へと行き、戦場へと赴くことになる。達者でな。我が子たち。願わくば幸せになってくれ』
記される内容を読む限り、アンジェラは死を選んだのかもしれない。
勝利への気概を感じないもの。彼女は今生の別れともいえる文面を書き残しているのだから。
『私は前線へと赴いた。即座に戦争が始まるのかと思いきや、意外にも話し合いを提案されている。一人で砦まで来いと。まあ、どうせ生き長らえた命だ。セントローゼスという男を見極めてやろう』
どうなるのでしょう。
戦いの場面じゃなく、会談が設けられたみたいです。
『セントローゼスは好青年であった。鑑定眼によると稀有な光属性の持ち主。革命ともいえる戦いを始めた理由は圧政に喘ぐ平民のためだとか。私としては同意しかねる話であったが、私もまた支配階級であったから気付かなかったのかもしれない』
光属性の所有者ということは恐らく現在のセントローゼス王国を立ち上げた人でしょう。
セントローゼス王家は全員がルミナスというミドルネームを持っていたのですから。
『話し合いは決裂。やはり戦うしかないようだ。穏便に済ますにはエルドア国王の首が必要であったのだから』
革命軍が勝利するのは間違いありません。
現在まで残るセントローゼス王家の血が革命前に途絶えるはずもないのですし。
『陣地に戻った私は指揮を執る王子に明日の開戦を伝えた。私はどうしていいのか分からない。恐らく本気を出せば勝利できるだろう。だが、あの青年の目を見たあとでは正解が分からないのだ。あの男は世界に必要な気がする』
葛藤が感じられます。
まあでも、結果は明らかでしょうね。現状から推測できる結末は多くありません。
『まるで眠れない。かといって、明日の戦争に怯えたわけではない。既に死は決めている。眠れぬ理由はあの男に会ってから妙に呪印が疼くからだ。どうしてかあの男が欲しくて堪らない。私には夫も子もいたというのに』
ちょっと待って。どうしてそうなっちゃうの?
超展開を見せる日記でしたが、一応は弁明というか推論が記されています。
『男の手にあった痣。私の脇腹にあるものとは似て非なるもの。しかし、あれが巨悪による種であるならば、あの青年もまた惨殺の生き残りか、若しくは血を引く者かもしれない……』
私には理解できません。
一目惚れしたのではないとしても、呪印が関係しているなんて弁明は受け入れられない。
しかし、私は知らされている。呪印の意味。セントローゼス王家の秘密について。
『巨悪の種は惹かれ合う。あの男と結ばれてはならない――』
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