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第十四章 迫る闇の中で
因果応報
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コンラッドにシルヴィアを任せてから、私は認識阻害魔法を施して貴族院に潜んでいました。
誰の証言でイセリナの机を確認することになるのか、じっくりと見させてもらいましょう。
朝の七時を告げる鐘が鳴り響きました。
本日は休日なので生徒は一人もおりませんが、運命であるかのように衛兵たちが貴族院の校舎に現れています。
(あら? レグス団長じゃないの?)
イセリナの容疑であるからか、兵たちの先頭を行くのは近衛騎士団長様。真っ先に講堂へと入っていく。
書物を探すだけだというのに、十人も引き連れながら。
(嘘? モルディン大臣までこの場にいたの?)
事実を確認するためか、モルディン大臣の姿もあります。
恐らく、もたらされた情報と同時に査問会の議案が提出されたのだと思われます。
二年生の講堂は学科別なので大きくありません。よって直ぐさまイセリナの机まで彼らは到着していました。
「レグス団長、情報にあった机にはありませんよ?」
「だから言っただろう? イセリナ様はそのような悪事を働く方ではない」
流石は強面騎士団長様ですね。
内心はホッとしていたでしょうに。
「レグス団長、とりあえず、もう一人の机を確認してみましょう。一般科にはもう一人情報と合致する人物がおられますので」
どうやらタレ込みは少し濁して伝えられていたみたい。
イセリナが盗んだと確定させずに、捜索させたようです。
(面白くなってきたな。仮に公爵令嬢という括りなら……)
死に戻った甲斐があるというものです。
元々茶番でありましたが、このあとの展開が楽しみになってきました。
「団長、発見しました! 情報通りに王家の婚約者名簿が見つかりました!」
「何だと!?」
優秀って素晴らしいわね。
あの衛兵には金一封差し上げたいところです。まるで私が送り込んだ間者のような働きぶりですもの。
「もう一人の公爵令嬢の机に間違いないのだな?」
「えっと、待ってください。再確認します。この机の使用者は……」
さあ、頑張って衛兵君。あともう少し頑張ればいいだけだから。
リストと照らし合わせて衛兵が頷く。彼はレグス団長に向かってその名を告げます。
「エレオノーラ・ゼファー・クレアフィール公爵令嬢です」
さてと、鬼が出るか蛇が出るか。私としてはドラゴンだって構わないわ。
この結果でも査問会を開くのでしょうかね。
俄然楽しみになっています。
覚悟しなさいクレアフィール公爵。もう賽は投げられたのよ……。
誰の証言でイセリナの机を確認することになるのか、じっくりと見させてもらいましょう。
朝の七時を告げる鐘が鳴り響きました。
本日は休日なので生徒は一人もおりませんが、運命であるかのように衛兵たちが貴族院の校舎に現れています。
(あら? レグス団長じゃないの?)
イセリナの容疑であるからか、兵たちの先頭を行くのは近衛騎士団長様。真っ先に講堂へと入っていく。
書物を探すだけだというのに、十人も引き連れながら。
(嘘? モルディン大臣までこの場にいたの?)
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恐らく、もたらされた情報と同時に査問会の議案が提出されたのだと思われます。
二年生の講堂は学科別なので大きくありません。よって直ぐさまイセリナの机まで彼らは到着していました。
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「だから言っただろう? イセリナ様はそのような悪事を働く方ではない」
流石は強面騎士団長様ですね。
内心はホッとしていたでしょうに。
「レグス団長、とりあえず、もう一人の机を確認してみましょう。一般科にはもう一人情報と合致する人物がおられますので」
どうやらタレ込みは少し濁して伝えられていたみたい。
イセリナが盗んだと確定させずに、捜索させたようです。
(面白くなってきたな。仮に公爵令嬢という括りなら……)
死に戻った甲斐があるというものです。
元々茶番でありましたが、このあとの展開が楽しみになってきました。
「団長、発見しました! 情報通りに王家の婚約者名簿が見つかりました!」
「何だと!?」
優秀って素晴らしいわね。
あの衛兵には金一封差し上げたいところです。まるで私が送り込んだ間者のような働きぶりですもの。
「もう一人の公爵令嬢の机に間違いないのだな?」
「えっと、待ってください。再確認します。この机の使用者は……」
さあ、頑張って衛兵君。あともう少し頑張ればいいだけだから。
リストと照らし合わせて衛兵が頷く。彼はレグス団長に向かってその名を告げます。
「エレオノーラ・ゼファー・クレアフィール公爵令嬢です」
さてと、鬼が出るか蛇が出るか。私としてはドラゴンだって構わないわ。
この結果でも査問会を開くのでしょうかね。
俄然楽しみになっています。
覚悟しなさいクレアフィール公爵。もう賽は投げられたのよ……。
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