299 / 377
第十三章 巨星に挑む
戦況
しおりを挟む
五時間近くを要して私たちはエスフォレスト地方の主要都市クルセイドへと戻っていました。
もうすっかり日が落ちていましたが、それ故に空からでも火の手が見えています。
「早く降ろして! 私は前線に行かなくてはならない!」
御者たちを急かして、適当な場所へと降り立つ。
そこは初日にゴンドラを降ろした街の大広場でした。
「姫様!」
私の姿が現れるや、住人たちが声をかけてきました。
「皆様、ようやく王都より戻りました。戦況はどうなっていますか?」
聞けば近衛騎士団が何とか街門を守護しており、今のところ火矢による火事以外は被害が起きていないとのこと。
「皆様、ご安心ください。私が戻ってきた以上は逆賊メルヴィスなど敵ではございません。初日に語ったまま、私は逆賊共を退けて見せましょう!」
私の話に住人たちは威勢の良い掛け声をかけています。
士気は高い。これならば市街地戦となったとして、踏ん張れるかと思います。
「姫様、馬をどうぞ!」
いや、私はドレス姿なんだけど、住民たちは何を期待しているのかしら?
赴任早々に馬を駆ったせいか、私を誤解しているみたいね。
「アナ、ドレスのまま乗るのか?」
「まあ、以前もそうしたから、住人たちも疑っていないのよね……」
用意された馬は四頭。私とルーク、レグス団長にモルディン大臣と人数分です。
早速と跨がる私に住民たちは大歓声を上げています。
「まったく。サービスにもほどがあるわね……」
「アナ、お前ドレスの裾が!?」
「落ち着いて。見えたとして減るものじゃないわ」
「いやいや、減るだろう!?」
面倒になったので、私は馬を走らせます。
大歓声を背に受けながら旅立つ感じで、少しばかり昂揚していました。
数十分かけて辿り着いたのは街門の手前にある騎士団の詰め所です。仮設の建物ですけれど、要した時間を考慮すると充分でしょうね。
「部隊長はどこです!?」
私は馬上から部隊長を呼ぶ。指揮している者に現状を聞くことが手っ取り早いのだと。
すると、以前にも見た部隊長が私の前に現れています。
「アナスタシア様、ドルトンの部隊は旅団規模となっております。恐らく二千人はくだらないかと……」
まさかの大規模侵攻でした。
ぶっちゃけ王家からのご厚意で近衛騎士団千名がクルセイドには配備されておりますが、実際にはペガサスにて先行した五百しか到着しておりません。
大隊規模で旅団単位と戦うのであれば、この防戦も仕方ないと言えるでしょう。
「よくぞ持ち堪えました。鞍の付いたペガサスはありますか?」
街門を開くと危険です。
よって私はペガサスには撃退しようと考えます。
「部隊長、四騎用意しろ! 俺たちも戦線に赴く」
「ルルル、ルーク殿下!?」
流石に驚いています。
王都へ戻った第一王子がまだクルセイドにいるなんてね。
ペガサスの用意を待っている間に、敵軍の仮設砦の位置やらを確認。また僚軍は街門のすぐ前に陣取るだけであり、私の到着をずっと待っていたみたい。
「とても良い判断です。部隊長、貴方は最善を尽くしました。あとはお任せあれ」
言って私はペガサスへと跨がる。
羽がありますので、馬よりもドレスが捲れてしまうのですけれど、全員が見て見ぬ振りをしてくれます。
「さあ、敵陣を破壊し尽くすわよ! 公爵家の跡取りとか知ったこっちゃないわ!」
四騎のペガサスが宙を舞う。
街門を超えて、ドルトン軍の砦へと向かって。
もうすっかり日が落ちていましたが、それ故に空からでも火の手が見えています。
「早く降ろして! 私は前線に行かなくてはならない!」
御者たちを急かして、適当な場所へと降り立つ。
そこは初日にゴンドラを降ろした街の大広場でした。
「姫様!」
私の姿が現れるや、住人たちが声をかけてきました。
「皆様、ようやく王都より戻りました。戦況はどうなっていますか?」
聞けば近衛騎士団が何とか街門を守護しており、今のところ火矢による火事以外は被害が起きていないとのこと。
「皆様、ご安心ください。私が戻ってきた以上は逆賊メルヴィスなど敵ではございません。初日に語ったまま、私は逆賊共を退けて見せましょう!」
私の話に住人たちは威勢の良い掛け声をかけています。
士気は高い。これならば市街地戦となったとして、踏ん張れるかと思います。
「姫様、馬をどうぞ!」
いや、私はドレス姿なんだけど、住民たちは何を期待しているのかしら?
赴任早々に馬を駆ったせいか、私を誤解しているみたいね。
「アナ、ドレスのまま乗るのか?」
「まあ、以前もそうしたから、住人たちも疑っていないのよね……」
用意された馬は四頭。私とルーク、レグス団長にモルディン大臣と人数分です。
早速と跨がる私に住民たちは大歓声を上げています。
「まったく。サービスにもほどがあるわね……」
「アナ、お前ドレスの裾が!?」
「落ち着いて。見えたとして減るものじゃないわ」
「いやいや、減るだろう!?」
面倒になったので、私は馬を走らせます。
大歓声を背に受けながら旅立つ感じで、少しばかり昂揚していました。
数十分かけて辿り着いたのは街門の手前にある騎士団の詰め所です。仮設の建物ですけれど、要した時間を考慮すると充分でしょうね。
「部隊長はどこです!?」
私は馬上から部隊長を呼ぶ。指揮している者に現状を聞くことが手っ取り早いのだと。
すると、以前にも見た部隊長が私の前に現れています。
「アナスタシア様、ドルトンの部隊は旅団規模となっております。恐らく二千人はくだらないかと……」
まさかの大規模侵攻でした。
ぶっちゃけ王家からのご厚意で近衛騎士団千名がクルセイドには配備されておりますが、実際にはペガサスにて先行した五百しか到着しておりません。
大隊規模で旅団単位と戦うのであれば、この防戦も仕方ないと言えるでしょう。
「よくぞ持ち堪えました。鞍の付いたペガサスはありますか?」
街門を開くと危険です。
よって私はペガサスには撃退しようと考えます。
「部隊長、四騎用意しろ! 俺たちも戦線に赴く」
「ルルル、ルーク殿下!?」
流石に驚いています。
王都へ戻った第一王子がまだクルセイドにいるなんてね。
ペガサスの用意を待っている間に、敵軍の仮設砦の位置やらを確認。また僚軍は街門のすぐ前に陣取るだけであり、私の到着をずっと待っていたみたい。
「とても良い判断です。部隊長、貴方は最善を尽くしました。あとはお任せあれ」
言って私はペガサスへと跨がる。
羽がありますので、馬よりもドレスが捲れてしまうのですけれど、全員が見て見ぬ振りをしてくれます。
「さあ、敵陣を破壊し尽くすわよ! 公爵家の跡取りとか知ったこっちゃないわ!」
四騎のペガサスが宙を舞う。
街門を超えて、ドルトン軍の砦へと向かって。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
75
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる