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第十三章 巨星に挑む
騙し合いの末
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事前に話していたように、ルークは査問会へと乱入していました。
この事態には居合わせた全員が驚いています。
ああいや、一人を除いて。
(モルディン大臣の思惑通りに進んでいるのかしら?)
どう考えてもモルディン大臣によって、この流れが生み出されているとしか思えません。
議長でありながら私の味方をしたことや、タイミングが良すぎるルークの登場まで。
「ルーク殿下は査問会への出席者に入っておりませんが?」
もちろん議長として否定するように話しますが、ルークが引き下がるはずもありません。
「モルディン、俺は当事者だと言ったはず。何なら、王太子選の話にまでなっているじゃないか? 俺が支持者以外から命を狙われた疑惑があるのなら、参加する権利はあるだろう?」
意外だわ。ルークにこんなでまかせが言えるなんて。
もっとも裏で指示された可能性を私は捨てていませんけれど。
「確かに。今し方の話が聞こえていたのですか。メルヴィス公爵が貴方様を殺めようと間者を送ったという証拠。アナスタシア・スカーレット子爵から提出されました」
「間違いなくメルヴィスの陰だった。惚けているようだけど、重要な証言ができる人物を連れてきたんだ。聞いてくれるか?」
予想外すぎる展開になりました。
ルークが証人を用意しているなんて私は聞いてないし、証人が存在するとは思えない。
存在するのなら、髭に頼み込んでまで連れてきています。
「皆様、ルーク殿下がこのように申されております。私としましては殿下を当事者であると認定し、事実の究明をしたいと考えますが如何でしょう?」
モルディン大臣の発言に拍手が返されています。
否定でないそれは無言の承諾となっていました。しかし、この状況でもご老人は声を張ります。
「ワシは認めんぞ! 誰も入れるんじゃない!」
「申し訳ございませんが、過半数の意見ではございません。反対は一人です。よって、証人を呼んでください」
有無を言わさずルークが証人だと話す人物が現れています。
(嘘……?)
思わぬ人物に私は息を呑んでいました。
けれど、私よりも驚愕した人間がこの場にはいたのです。
「サイファー……」
呟いたのはメルヴィス公爵でした。
サイファーとはコンラッドのコードネーム。それを口にしたメルヴィス公爵は彼が裏の人間であることを知っているはずです。
「証人として指名されましたコンラッドと申します」
何食わぬ顔をしてコンラッド。いやいや、あんたには所領の警備を頼んだはずでしょ?
上位貴族のいざこざが好物とか話してたけど、職務放棄してまで飛びつくなっての。
「コンラッド、貴方は何を知っていますか?」
モルディン大臣が聞く。
どうにも不可解だけど、コンラッドはルークの暗殺がメルヴィス公爵の差し金だと証言できるみたい。
「私はランカスタ公爵に雇われておりまして、アナスタシア様の陰をしております」
「嘘だ! お前はワシと契約したではないか!?」
声を荒らげるのはお爺さまです。
ごめんなさいね。コンラッドは特殊な契約をしているので、後からどのような契約をしようと無効なのよ。
「平たく言えば二重契約でしょうか。それで私はアナスタシア様から命を受け、メルヴィス公爵領に潜入していたのです。その折りに、昔仕事をした縁もあって、公爵殿に呼ばれました」
その話は聞いています。長男であるドルトンをけしかけたりしたのだと。
「私は二重契約に耐え得る契約をアナスタシア様と交わしています。よって、公爵殿との契約は無効となっています。なのでこうして証言できるというわけです」
知らされた事実に打ち震えるメルヴィス公爵。声にならない声でコンラッドに返していました。
「貴様、ワシを騙したのか……?」
この事態には居合わせた全員が驚いています。
ああいや、一人を除いて。
(モルディン大臣の思惑通りに進んでいるのかしら?)
どう考えてもモルディン大臣によって、この流れが生み出されているとしか思えません。
議長でありながら私の味方をしたことや、タイミングが良すぎるルークの登場まで。
「ルーク殿下は査問会への出席者に入っておりませんが?」
もちろん議長として否定するように話しますが、ルークが引き下がるはずもありません。
「モルディン、俺は当事者だと言ったはず。何なら、王太子選の話にまでなっているじゃないか? 俺が支持者以外から命を狙われた疑惑があるのなら、参加する権利はあるだろう?」
意外だわ。ルークにこんなでまかせが言えるなんて。
もっとも裏で指示された可能性を私は捨てていませんけれど。
「確かに。今し方の話が聞こえていたのですか。メルヴィス公爵が貴方様を殺めようと間者を送ったという証拠。アナスタシア・スカーレット子爵から提出されました」
「間違いなくメルヴィスの陰だった。惚けているようだけど、重要な証言ができる人物を連れてきたんだ。聞いてくれるか?」
予想外すぎる展開になりました。
ルークが証人を用意しているなんて私は聞いてないし、証人が存在するとは思えない。
存在するのなら、髭に頼み込んでまで連れてきています。
「皆様、ルーク殿下がこのように申されております。私としましては殿下を当事者であると認定し、事実の究明をしたいと考えますが如何でしょう?」
モルディン大臣の発言に拍手が返されています。
否定でないそれは無言の承諾となっていました。しかし、この状況でもご老人は声を張ります。
「ワシは認めんぞ! 誰も入れるんじゃない!」
「申し訳ございませんが、過半数の意見ではございません。反対は一人です。よって、証人を呼んでください」
有無を言わさずルークが証人だと話す人物が現れています。
(嘘……?)
思わぬ人物に私は息を呑んでいました。
けれど、私よりも驚愕した人間がこの場にはいたのです。
「サイファー……」
呟いたのはメルヴィス公爵でした。
サイファーとはコンラッドのコードネーム。それを口にしたメルヴィス公爵は彼が裏の人間であることを知っているはずです。
「証人として指名されましたコンラッドと申します」
何食わぬ顔をしてコンラッド。いやいや、あんたには所領の警備を頼んだはずでしょ?
上位貴族のいざこざが好物とか話してたけど、職務放棄してまで飛びつくなっての。
「コンラッド、貴方は何を知っていますか?」
モルディン大臣が聞く。
どうにも不可解だけど、コンラッドはルークの暗殺がメルヴィス公爵の差し金だと証言できるみたい。
「私はランカスタ公爵に雇われておりまして、アナスタシア様の陰をしております」
「嘘だ! お前はワシと契約したではないか!?」
声を荒らげるのはお爺さまです。
ごめんなさいね。コンラッドは特殊な契約をしているので、後からどのような契約をしようと無効なのよ。
「平たく言えば二重契約でしょうか。それで私はアナスタシア様から命を受け、メルヴィス公爵領に潜入していたのです。その折りに、昔仕事をした縁もあって、公爵殿に呼ばれました」
その話は聞いています。長男であるドルトンをけしかけたりしたのだと。
「私は二重契約に耐え得る契約をアナスタシア様と交わしています。よって、公爵殿との契約は無効となっています。なのでこうして証言できるというわけです」
知らされた事実に打ち震えるメルヴィス公爵。声にならない声でコンラッドに返していました。
「貴様、ワシを騙したのか……?」
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