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第十二章 天恵
訪問の理由
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「一体どこの誰が根も葉もない噂を流したのでしょうかね?」
「火のない所に煙は立たないと言うぞ? 案外、事実かと思うのだがな?」
私は笑ったあと、保存術式を展開する。
この会談の一部始終を録画するために。
「貴様、何をした?」
「いえ、公式な会談ですので記録させてもらおうかと。アンチマジック術式が施されているようですけれど、既にキャンセル済みですわ」
眉間にしわを寄せるご老人。
恐らく彼は私が不利な状況で記録するなんて考えもしていないのでしょう。
「ふん、小賢しいな。はっきりと言え。貴様はワシに対して謝罪しようとして来たのではないのか?」
「いやですわ。私がどうして公爵様に謝罪を? いつぞやの疑惑は私のせいではありませんし」
「貴様、全てお前のせいだろうが!?」
録画しているというのに、そんなに怒らなくても。
ま、煽ったのは私だし、煽られ耐性がないのはこのお爺さんです。
「ルーク殿下は何ともありませんよ? 今は私の従者が護衛しております。レグス様をお連れしないと会っていただけないと考えただけですもの」
「嘘を言うな! ルーク殿下は呪われているはずだぞ!?」
あらま、張り合いのない。
早速とボロを出していますね。
「呪い? 失礼ですが公爵様、どうしてルーク殿下が呪われていると思われたのです? 王都の噂は私もモルディン大臣から聞きました。私の失態によって、ルーク殿下は病に伏せられているのだと……」
「貴様、謀ったな!?」
髭よりも扱いやすくて何よりだわ。
張り合いがないともいうけけれど。
「まあ、実際にルーク殿下は何者かに呪術を受けておりました。ですので、閣下が仰るお話は事実ですわ」
「ほらみろ!? 私は噂を聞いたのだ!」
今さら取り繕っても遅いわ。
貴方には未来など掴み取れない。全ては私の意志が導いているのだから。
「どうして、閣下がお知りになられているのか分かりませんけれど、私にも伝えるべき内容がございますの。私は光属性を持っておりますので、呪術耐性がとても高いのですわ。なので、高位の呪術師を刺客として送られようと、私には蚊に刺される方が嫌なくらいです。よって送り込まれた呪術師は他の手段を考えるでしょう。たとえば都合良く訪れた王子殿下とか……」
まだ降参しないでくださいね?
私が用意したメインディッシュが配膳されるまで耐えてくださいよ?
「私はモルディン大臣も認める魔法使いですの。呪いが効かないだけでなく、呪われた者を解呪できましてよ?」
「いや、解呪には術者が必要だろう!?」
「公爵様、呪いには魔道具で呪う場合もございますけれど、どうして呪術師が呪いをかけたと思われているのです?」
ぐうの音も出ないでしょうね。貴方自身が送り込んだのですから。
とはいえ、まだ余裕はあるはずよ。貴方の陰は遠隔にて呪術を成せる凄腕なんだもの。
だから教えてあげるわ。
私が行使できる力。呪いだなんて障害にもならないことをね。
「私、呪いの術式に干渉できましてよ?」
「火のない所に煙は立たないと言うぞ? 案外、事実かと思うのだがな?」
私は笑ったあと、保存術式を展開する。
この会談の一部始終を録画するために。
「貴様、何をした?」
「いえ、公式な会談ですので記録させてもらおうかと。アンチマジック術式が施されているようですけれど、既にキャンセル済みですわ」
眉間にしわを寄せるご老人。
恐らく彼は私が不利な状況で記録するなんて考えもしていないのでしょう。
「ふん、小賢しいな。はっきりと言え。貴様はワシに対して謝罪しようとして来たのではないのか?」
「いやですわ。私がどうして公爵様に謝罪を? いつぞやの疑惑は私のせいではありませんし」
「貴様、全てお前のせいだろうが!?」
録画しているというのに、そんなに怒らなくても。
ま、煽ったのは私だし、煽られ耐性がないのはこのお爺さんです。
「ルーク殿下は何ともありませんよ? 今は私の従者が護衛しております。レグス様をお連れしないと会っていただけないと考えただけですもの」
「嘘を言うな! ルーク殿下は呪われているはずだぞ!?」
あらま、張り合いのない。
早速とボロを出していますね。
「呪い? 失礼ですが公爵様、どうしてルーク殿下が呪われていると思われたのです? 王都の噂は私もモルディン大臣から聞きました。私の失態によって、ルーク殿下は病に伏せられているのだと……」
「貴様、謀ったな!?」
髭よりも扱いやすくて何よりだわ。
張り合いがないともいうけけれど。
「まあ、実際にルーク殿下は何者かに呪術を受けておりました。ですので、閣下が仰るお話は事実ですわ」
「ほらみろ!? 私は噂を聞いたのだ!」
今さら取り繕っても遅いわ。
貴方には未来など掴み取れない。全ては私の意志が導いているのだから。
「どうして、閣下がお知りになられているのか分かりませんけれど、私にも伝えるべき内容がございますの。私は光属性を持っておりますので、呪術耐性がとても高いのですわ。なので、高位の呪術師を刺客として送られようと、私には蚊に刺される方が嫌なくらいです。よって送り込まれた呪術師は他の手段を考えるでしょう。たとえば都合良く訪れた王子殿下とか……」
まだ降参しないでくださいね?
私が用意したメインディッシュが配膳されるまで耐えてくださいよ?
「私はモルディン大臣も認める魔法使いですの。呪いが効かないだけでなく、呪われた者を解呪できましてよ?」
「いや、解呪には術者が必要だろう!?」
「公爵様、呪いには魔道具で呪う場合もございますけれど、どうして呪術師が呪いをかけたと思われているのです?」
ぐうの音も出ないでしょうね。貴方自身が送り込んだのですから。
とはいえ、まだ余裕はあるはずよ。貴方の陰は遠隔にて呪術を成せる凄腕なんだもの。
だから教えてあげるわ。
私が行使できる力。呪いだなんて障害にもならないことをね。
「私、呪いの術式に干渉できましてよ?」
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