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第十一章 謀略と憎悪の大地
誰の味方
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「王家はアナスタシア様の安全を保証しなければなりませんからね」
王家が味方なら私は正義だ。
であれば、私は確認しておかねばなりません。
「恐らく戦争まで発展するのではないかと思います。まあそれで、戦争になると私も戦場へと向かうことになるのですが、そのとき私に名分はあるのでしょうか?」
聞いておかねばならない。
王家が味方についてくれるのなら、私の行動に制限はないのかどうかを。
「メルヴィス公爵を討つ免罪符は……」
私が望むものはそれだけだ。
火竜の聖女は間違いなく目をつけられている。
それは少なからず脅威を覚えているからであり、ランカスタ公爵家との関係が好ましく感じられていないからだ。
私の質問には首が振られています。
どうやら王家は味方をしてくれたとしても、全面的なバックアップではないようですね。
「残念ながら、攻め込まれる事に対する防衛しか援助しようがありません。証拠がないのであれば、メルヴィス公爵を討った貴方様を王家は裁くことになるでしょう」
なるほどね。
イセリナ時代さながらの断罪イベントが待っているみたい。
公爵家という最上位貴族を討つには、やはり明確な証拠が必要となります。
「仕方ありませんね。まあでも、私は逃げたくない。私が破滅するまで仕掛けてくるというのなら、私はメルヴィス公爵の首を落とすだけ。脅せば黙り込むような令嬢とは違うわ」
悪役令嬢らしい破滅ルート。
生きるか死ぬしかないイベントフラグは気合いを入れるに充分な状況だと思えます。
「まあ、確かに。王国としては最大限にアナスタシア様を擁護させて頂く所存です。できれば諸侯を黙らせる証拠を見つけてから行動してくださいまし」
「とりあえずは防戦に徹しますわ。そのうち何かしらの尻尾を踏んづけるかもしれません。二百人もの傭兵は早々集まらないでしょうからね」
「そうですね。恐らく二日目の襲撃で仕留める算段であったと思われます。二百人というと何組もの傭兵団を寄せ集めたはず。傭兵を呼び寄せるのにも限りがあるはずですし、いずれは私兵を割くやもしれません。そのときこそ好機到来かと……」
モルディン大臣も同じ意見のようです。
傭兵を雇うお金はあったとして、先に傭兵の数が底をつく。
そうなると公爵に繋がる糸口が見つかるかもしれない。
「どうあっても、敵対なさるのですね?」
「今さらでしょう? ゼクシス男爵の一言。私たちは知っている。今考えると、あの遣り取りは保存しておくべきでしたわ」
男爵の証言だけでは何の意味もありません。
しかし、多くの疑念を生むことでしょう。
グレー扱いにされたイセリナの毒殺計画。北部の翁がどれほどの野心家なのか、世間に知らしめることくらいはできたはず。
「何かあれば魔道具にて連絡してください。私に直接届きます。情報の漏洩もありません」
言ってモルディン大臣は魔道通話の道具を手渡してくれる。
魔道具と言っても懐に入るサイズ。この形式だと電話と言うより、トランシーバーですかね。
対となる魔道具にしか接続できないようになっているので機密性は高まるのですが、それ以外には接続できないのです。
しかしながら、モルディン大臣に直結するのなら問題はありません。
実をいうと大臣に関しては全面的に信用しているの。
何しろ、私はゼクシス男爵に契約を求める際、例としてモルディン大臣にサインさせていたから。
私はその契約書をまだ所有したままなのです。
ここまで心臓に変化がなかったモルディン大臣は王家の忠臣であり、私に助力してくれる数少ない人間であることでしょう。
王家が味方なら私は正義だ。
であれば、私は確認しておかねばなりません。
「恐らく戦争まで発展するのではないかと思います。まあそれで、戦争になると私も戦場へと向かうことになるのですが、そのとき私に名分はあるのでしょうか?」
聞いておかねばならない。
王家が味方についてくれるのなら、私の行動に制限はないのかどうかを。
「メルヴィス公爵を討つ免罪符は……」
私が望むものはそれだけだ。
火竜の聖女は間違いなく目をつけられている。
それは少なからず脅威を覚えているからであり、ランカスタ公爵家との関係が好ましく感じられていないからだ。
私の質問には首が振られています。
どうやら王家は味方をしてくれたとしても、全面的なバックアップではないようですね。
「残念ながら、攻め込まれる事に対する防衛しか援助しようがありません。証拠がないのであれば、メルヴィス公爵を討った貴方様を王家は裁くことになるでしょう」
なるほどね。
イセリナ時代さながらの断罪イベントが待っているみたい。
公爵家という最上位貴族を討つには、やはり明確な証拠が必要となります。
「仕方ありませんね。まあでも、私は逃げたくない。私が破滅するまで仕掛けてくるというのなら、私はメルヴィス公爵の首を落とすだけ。脅せば黙り込むような令嬢とは違うわ」
悪役令嬢らしい破滅ルート。
生きるか死ぬしかないイベントフラグは気合いを入れるに充分な状況だと思えます。
「まあ、確かに。王国としては最大限にアナスタシア様を擁護させて頂く所存です。できれば諸侯を黙らせる証拠を見つけてから行動してくださいまし」
「とりあえずは防戦に徹しますわ。そのうち何かしらの尻尾を踏んづけるかもしれません。二百人もの傭兵は早々集まらないでしょうからね」
「そうですね。恐らく二日目の襲撃で仕留める算段であったと思われます。二百人というと何組もの傭兵団を寄せ集めたはず。傭兵を呼び寄せるのにも限りがあるはずですし、いずれは私兵を割くやもしれません。そのときこそ好機到来かと……」
モルディン大臣も同じ意見のようです。
傭兵を雇うお金はあったとして、先に傭兵の数が底をつく。
そうなると公爵に繋がる糸口が見つかるかもしれない。
「どうあっても、敵対なさるのですね?」
「今さらでしょう? ゼクシス男爵の一言。私たちは知っている。今考えると、あの遣り取りは保存しておくべきでしたわ」
男爵の証言だけでは何の意味もありません。
しかし、多くの疑念を生むことでしょう。
グレー扱いにされたイセリナの毒殺計画。北部の翁がどれほどの野心家なのか、世間に知らしめることくらいはできたはず。
「何かあれば魔道具にて連絡してください。私に直接届きます。情報の漏洩もありません」
言ってモルディン大臣は魔道通話の道具を手渡してくれる。
魔道具と言っても懐に入るサイズ。この形式だと電話と言うより、トランシーバーですかね。
対となる魔道具にしか接続できないようになっているので機密性は高まるのですが、それ以外には接続できないのです。
しかしながら、モルディン大臣に直結するのなら問題はありません。
実をいうと大臣に関しては全面的に信用しているの。
何しろ、私はゼクシス男爵に契約を求める際、例としてモルディン大臣にサインさせていたから。
私はその契約書をまだ所有したままなのです。
ここまで心臓に変化がなかったモルディン大臣は王家の忠臣であり、私に助力してくれる数少ない人間であることでしょう。
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