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第十一章 謀略と憎悪の大地

闇を晒す

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「やめてくれ。全て話す……。レナだけは……」

「えっと、偽名だと思うけど、セバスチャンでいい?」

 私が聞くとセバスチャンは頷いている。何とか超ドS領主は避けられたみたいね。

 私はこの答弁を記録することにしました。魔法陣を設置し、一部始終を録画しておくことに。

「ではセバスチャン、貴方は誰と契約したの?」

 全て話すと言ったセバスチャンですが、やはり契約が頭にあるのか躊躇いがあるみたいね。

「大丈夫よ。素直に話せば何もしない。それどころか、私は貴方を庇護すると誓いましょう。既に拷問をした私を信じられないかもしれませんけれど」

 とりあえず、私は突き刺した針を抜くことに。

 リベンジャーにて痛覚を取り除いてから、抜いてはハイヒールを繰り返し、全ての針を抜き終えています。

「どう? 話す気になった? もう貴方は依頼者の契約外。情報によっては国外に逃がしてあげたりもできます」

 再び頷くセバスチャン。

 彼はゆっくりと自身の置かれた状況から話し始めます。

「妻が捕らえられている。依頼人は分からない。俺を子爵領に送り込んだ人間はザックと名乗っていた……」

 即座にコンラッドと視線を合わせる。

 けれど、首を振る様子から何も分からないのは同じみたいね。

「他には?」

「恐らく、ここにいる全員が同じだと思う。俺たちが仕事をしなければ、捕らわれた家族が酷い目に遭うらしい」

 これは全員の契約をキャンセルする必要がありそうね。少しでも情報を引き出しておかないと。

「皆様、彼と同じだったら手を挙げて。施された契約を解除しますから」

 残る九人が手を挙げている。

 まあ予想通りだ。とにかく、メルヴィス公爵に契約者の死を悟られるわけにはならない。計画は実行中であると考えてもらわなきゃね。


 私は全員の契約書を書き換えている。公爵との契約は無効にしたけれど、向こう側が察知できないように。

 契約は魂の繋がり。それを切ってしまっては怪しまれてしまうからと。

 再度、事情聴取を始めるも結果は同じでした。

 全員が口にするザックという人物。間違いなくメルヴィス公爵の陰でしょうね。

「姫、私はメルヴィス公爵領に潜伏していましたが、メルヴィスの陰は一度も見ませんでした。常に暗躍しておるのだと思われます」

「でしょうね。契約に現れたザックという人間は間違いなく手練れでしょう。恐らく信頼されている陰に違いないわ」

 メルヴィス公爵家の契約を全員が解除した今、もう敵対しないと思えます。

 かといって、私にはすべきことがあった。

「貴方たちの家族は必ず助け出すわ。命令を聞けとまでは言わないけれど、掃除や洗濯くらいの仕事はしてくださいね?」

 領主生活一日目は非常に厄介な宿題を与えられることになりました。

 さりとて、やり甲斐がある。BlueRoseの裏話ともいうべきシナリオ。私は絶対にクリアしてやろうと心に誓っています。

 成り上がってみせるわ。

 メルヴィス公爵の闇を表舞台まで引っ張り出してやるのよ。
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