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第十一章 謀略と憎悪の大地

王宮殿では……

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 王宮殿ではイセリナが本日最初の食事を取っていた。

 どうしてかルークの姿もある。彼はイセリナとは違って朝食を取っていたけれど、遅い昼ご飯の時間にイセリナと鉢合わせた格好であった。

「最悪ですわ。アナに置いて行かれましたの……」

 既に昼食時でもなかったけれど、自然と目が覚めた時間が午後二時なのだ。

「昼過ぎまで寝てるからだろ?」

 ブツクサというイセリナに、ルークが薄い目をして言った。

 それはまさに正論であったものの、イセリナには弁明もある。

「呑みすぎたからですわ! それにいつもならアナが起こしてくれますの!」

「本当に眠り姫なんだな……」

 ルークは嘆息している。何しろ自身の婚約者なのだ。

 アナスタシアが話していたことが誇張ではないことを知らされていた。

「しょうがないだろ? やはり所領の顔見せに公爵令嬢は連れて行けない。君の立場の方がずっと上なんだからな」

「今頃、アナは新酒を楽しんでいるのかしらねぇ……」

「昨日、あれだけ呑んだのに、まだ呑み足りないのか?」

 聞きしに勝るダメっぷりをルークは見ていた。

 夜会で踊った彼女とは別人のよう。

 アナスタシアが教育係をしていたと聞いたけれど、相当に苦労しただろうと思えてならない。

「まあ、アナのことですから、何かしら問題を抱えているかもしれませんわ」

「ああ、それは同感だ……」

 二人は問題発生を疑っていない。かといって、心配しているのではなかった。

 アナスタシアであればと思う。彼女ならどのような局面でも対応してしまうと信じている。

 よってアナスタシアが戻ってくる時を楽しみに待つだけ。

 どのような土産話を聞かせてくれるのかと……。
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