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第七章 光が射す方角
玉虫のように
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瞬く間に一年が過ぎていました。飢饉は今も生活を不安定にさせています。
治水対策のおかげで作物の全滅は避けられたのですけれど、日照不足だけはどうしようもありません。
髭は備蓄した食糧を王家に寄付したりして、その地位を固めているみたい。まあ、私は住民たちに食料が行き渡ればそれで構いません。
それで私は今もエリカの闇属性を除去しようと悪戦苦闘中。しかしながら、魔道書の集まりが悪く、術式は完成に至っておりません。
兎にも角にも、一年が経過したということは、またもや受験日が来たということ。億劫にも感じますが、私が貴族院へ入学するための受験日が来てしまいました。
「ルイ、王城へ行くぞ」
「別についてこなくても構いませんが?」
私の受験だというのに、カルロは付き添いとして来るみたい。
来年から二年生になる彼は先輩ずらをして私を手招きしています。
「トップを取るんだろうな?」
「誰に言っているのです? 殿下と勝負しても圧勝してしまいますよ……」
貴族院の勉強は私からすれば基礎中の基礎。勉強などしなくとも、余裕で満点だと考えています。
そんなわけで私は一年ぶりに登城することに。場所は離れの貴族館でありましたけれど、油断はできません。
何しろ、一年前はセシルが会いに来たのです。
試験開始まで割と時間があったのですが、妙な来訪者に出会う可能性を考えて、私は試験室へと入っていきました。
「ルイ様!」
入室するや私を呼ぶ声。それはエリカでした。
昨年度に授爵した彼女でしたけれど、どうやら貴族院へ入るには試験を受ける必要があるみたいです。
「エリカ、貴方って試験免除じゃないの?」
「それが一年未満の貴族位なので受験が必要みたいです。でも、試験内容は教会で読み漁った書物と大差がありませんので問題ありません!」
自信満々にエリカ。そりゃそうでしょうね。
この子はイセリナと違って、主人公ロールをずっと続けているのですから。
「あの、ルイ様……。貴族院の教室では本当に話しかけてはならないのでしょうか?」
それは私がずっと言い聞かせていたことです。
貴族院の外でなら構わないけれど、貴族院の中では近付かないようにと私は命じています。
「私は他国の要人です。エリカが謂われのない叱責を受けたりしたのなら、間に入りますけれど、私は良からぬ噂が立たぬように動かねばならないのです」
「良からぬ噂って、やはり私が孤児だったからでしょうか……?」
「違うわ!」
思わず大きな声を出してしまう。
本当に私は利己的だ。エリカに命じた話は全部自分のため。他国の要人だなんて話は体のいい嘘なのですから。
「ごめんなさい……。エリカが悪いのではありません。貴族院の中にいると、貴方の近くには王子殿下がいるでしょう?」
もう誤魔化すのは止めた。
全ては私の都合であって、エリカが心を痛める必要はないのだから。
「ルーク王子殿下でしょうか? 確かに貴族院へ入ることを勧めてくれたのはルーク殿下ですけれど……」
やはり二人の仲は進展しているようね。
ルークルートに入った折り、貴族院へ入ることを提案されなければ、ゲームオーバーとなります。
よって二人は一定以上の好感度をお互いに得ていることになる。
「私はルーク殿下に近付いてはいけないの。エリカと話をしていたら、彼が来てしまうでしょ?」
「ひょっとして、殿下が王太子候補から外された件を気にされているのですか?」
そうじゃないよ……。私が気にしているのは私の心だけだもの。
ルークの心配なんか全くしていない。従って私には彼に近付く資格などない。
だからこそ、私は玉虫色の返答しかできませんでした。
「そういうことにしてくれるかしら?」
治水対策のおかげで作物の全滅は避けられたのですけれど、日照不足だけはどうしようもありません。
髭は備蓄した食糧を王家に寄付したりして、その地位を固めているみたい。まあ、私は住民たちに食料が行き渡ればそれで構いません。
それで私は今もエリカの闇属性を除去しようと悪戦苦闘中。しかしながら、魔道書の集まりが悪く、術式は完成に至っておりません。
兎にも角にも、一年が経過したということは、またもや受験日が来たということ。億劫にも感じますが、私が貴族院へ入学するための受験日が来てしまいました。
「ルイ、王城へ行くぞ」
「別についてこなくても構いませんが?」
私の受験だというのに、カルロは付き添いとして来るみたい。
来年から二年生になる彼は先輩ずらをして私を手招きしています。
「トップを取るんだろうな?」
「誰に言っているのです? 殿下と勝負しても圧勝してしまいますよ……」
貴族院の勉強は私からすれば基礎中の基礎。勉強などしなくとも、余裕で満点だと考えています。
そんなわけで私は一年ぶりに登城することに。場所は離れの貴族館でありましたけれど、油断はできません。
何しろ、一年前はセシルが会いに来たのです。
試験開始まで割と時間があったのですが、妙な来訪者に出会う可能性を考えて、私は試験室へと入っていきました。
「ルイ様!」
入室するや私を呼ぶ声。それはエリカでした。
昨年度に授爵した彼女でしたけれど、どうやら貴族院へ入るには試験を受ける必要があるみたいです。
「エリカ、貴方って試験免除じゃないの?」
「それが一年未満の貴族位なので受験が必要みたいです。でも、試験内容は教会で読み漁った書物と大差がありませんので問題ありません!」
自信満々にエリカ。そりゃそうでしょうね。
この子はイセリナと違って、主人公ロールをずっと続けているのですから。
「あの、ルイ様……。貴族院の教室では本当に話しかけてはならないのでしょうか?」
それは私がずっと言い聞かせていたことです。
貴族院の外でなら構わないけれど、貴族院の中では近付かないようにと私は命じています。
「私は他国の要人です。エリカが謂われのない叱責を受けたりしたのなら、間に入りますけれど、私は良からぬ噂が立たぬように動かねばならないのです」
「良からぬ噂って、やはり私が孤児だったからでしょうか……?」
「違うわ!」
思わず大きな声を出してしまう。
本当に私は利己的だ。エリカに命じた話は全部自分のため。他国の要人だなんて話は体のいい嘘なのですから。
「ごめんなさい……。エリカが悪いのではありません。貴族院の中にいると、貴方の近くには王子殿下がいるでしょう?」
もう誤魔化すのは止めた。
全ては私の都合であって、エリカが心を痛める必要はないのだから。
「ルーク王子殿下でしょうか? 確かに貴族院へ入ることを勧めてくれたのはルーク殿下ですけれど……」
やはり二人の仲は進展しているようね。
ルークルートに入った折り、貴族院へ入ることを提案されなければ、ゲームオーバーとなります。
よって二人は一定以上の好感度をお互いに得ていることになる。
「私はルーク殿下に近付いてはいけないの。エリカと話をしていたら、彼が来てしまうでしょ?」
「ひょっとして、殿下が王太子候補から外された件を気にされているのですか?」
そうじゃないよ……。私が気にしているのは私の心だけだもの。
ルークの心配なんか全くしていない。従って私には彼に近付く資格などない。
だからこそ、私は玉虫色の返答しかできませんでした。
「そういうことにしてくれるかしら?」
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