青き薔薇の悪役令嬢はその愛に溺れたい ~取り巻きモブとして二度目の転生を命じられたとしても~

坂森大我

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第六章 揺れ動く世界線

再び王都へ

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 半年が経過しています。

「今回はあらゆる警戒をしておかなきゃ……」

 それもそのはず、またもやカルロがセントローゼス王国へと留学する日がやってきたのです。

 不完全燃焼で終わった前世界線の反省を踏まえ、此度はこの世界線をクリアするのだと意気込んでいます。

「何だかんだ髭は仕事が早いのよね……」

 約束通り、髭は毒シタケを送ってくれました。

 早速と増産に入った結果、特効薬はまずまずの数が生産できています。とりあえず半分を髭に送り、半分はアイテムボックスへと収納することに。

 栽培はカルロの部下が引き継いでくれるそうで、その都度ルナレイクまで送ってくれることになっています。

「今回はやることが多い。適切、的確に動いていかないと」

 飢饉対策も抜かりありません。髭は公爵領内に農地を倍増させ、充分な貯えを始めているらしい。

 一方で私は枢機卿としての収入を食材購入に充てていました。

 長雨が来るや、スラム街で炊き出しを始めようと考えてのこと。体力を付けさせ、赤斑病が蔓延しないようにとの予防措置であります。

「最低な世界線は今回限りよ……」

 実をいうと今回もイセリナは教会に居残っていました。

 どうしてか父親を脅迫した私と共同生活することに同意してくれたのです。これより私はカルロとリック、そしてイセリナと四人で王都へと向かいます。

 前回は思わぬ事態に為す術なくリセットされましたが、今回こそはクリアしてやるつもりです。

「やってやるわ……」

 当然のこと、準備万端でありまして、自信満々でもあります。

 私は心に呟く。この二年で溜め込んだ感情を吐き出すようにして。


「さあ、二度目の王都編が始まるんだ――」
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