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第三章 鮮血に染まる赤薔薇を君に
誕生日イベントのあと
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王城務めを断ったことにより、私が収まるはずだったシャルロット王女殿下の教育係には、ゲームのシナリオ通りに主人公エリカが選ばれました。
これにより彼女は意図せず王子たちの攻略を始めることでしょう。
しかし、私はどうしてかまるで気になりませんでした。
「どうしたらいいの……?」
エリカのことよりも私に燻る感情が何なのかを知りたい。
いえ、気付いてはいるのです。ただ私は初めて覚える感情に戸惑っているだけでしょう。
私が攻略すべき対象は転生する前から明確に決まっていたというのに、今もまだ私はルークについて考えていました。
前世では攻略対象であったから結婚しただけ。だから特別な感情があるはずもない。
だけど、毒に冒された彼を見る私は明らかに動揺していました。全ては計画通りであったというのに。
「私はルークが好きなのかもしれない……」
思考するや否に首を振る。
それだけは認められない。
女神アマンダ曰く、アナスタシアとセシルが結ばれ、前世の結果と同様にイセリナとルークが結ばれるしか世界線は動き始めないのです。
停滞する時間軸を動かすにはそれしか方法がありません。
よって私はランカスタ公爵家にて貴族院までの三年を過ごします。
イセリナを守護しながら、心を落ち着かせる充分な期間とするために。
「顔を合わさなければ問題はないはずよ……」
惑わされるくらいなら、いっそエリカがルークを籠絡してくれないかと思う。
そうすれば、そこにイセリナを割り込ませるだけで世界線は動く。私の出番はなくなるはずだ。
「ルークのこと……」
負のスパイラルでしょうか。
どういった結論をこじつけたとしても、頭に思い浮かぶのは彼の名前でした。
「駄目なんだよ……。ルークだけは……」
三年という時間が冷却期間となってくれるはず。
三年もあれば、エリカなら何とかできるはずよ。持ち前の主人公補正を遺憾なく発揮して。
私は期待することにしました。
前世にて私だけを溺愛したルークの気を彼女が惹いてくれはしないかと……。
これにより彼女は意図せず王子たちの攻略を始めることでしょう。
しかし、私はどうしてかまるで気になりませんでした。
「どうしたらいいの……?」
エリカのことよりも私に燻る感情が何なのかを知りたい。
いえ、気付いてはいるのです。ただ私は初めて覚える感情に戸惑っているだけでしょう。
私が攻略すべき対象は転生する前から明確に決まっていたというのに、今もまだ私はルークについて考えていました。
前世では攻略対象であったから結婚しただけ。だから特別な感情があるはずもない。
だけど、毒に冒された彼を見る私は明らかに動揺していました。全ては計画通りであったというのに。
「私はルークが好きなのかもしれない……」
思考するや否に首を振る。
それだけは認められない。
女神アマンダ曰く、アナスタシアとセシルが結ばれ、前世の結果と同様にイセリナとルークが結ばれるしか世界線は動き始めないのです。
停滞する時間軸を動かすにはそれしか方法がありません。
よって私はランカスタ公爵家にて貴族院までの三年を過ごします。
イセリナを守護しながら、心を落ち着かせる充分な期間とするために。
「顔を合わさなければ問題はないはずよ……」
惑わされるくらいなら、いっそエリカがルークを籠絡してくれないかと思う。
そうすれば、そこにイセリナを割り込ませるだけで世界線は動く。私の出番はなくなるはずだ。
「ルークのこと……」
負のスパイラルでしょうか。
どういった結論をこじつけたとしても、頭に思い浮かぶのは彼の名前でした。
「駄目なんだよ……。ルークだけは……」
三年という時間が冷却期間となってくれるはず。
三年もあれば、エリカなら何とかできるはずよ。持ち前の主人公補正を遺憾なく発揮して。
私は期待することにしました。
前世にて私だけを溺愛したルークの気を彼女が惹いてくれはしないかと……。
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