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第二章 繰り返す時間軸
予期せぬ来賓
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パーティー会場へとやって来た私たちは堂々と広間の中心にいます。
とりあえず執事のコンラッドは仮の仕事へと戻り、私たちはゲームでお馴染みの三人となりました。
悪役令嬢と取り巻き二人でありましたが、不安などありません。充分な準備は自信へと繋がっていたのです。
イセリナが現れると、やはり挨拶に群がるのはご令嬢たちでした。
まあしかし、今回は雑魚の相手をしないと決めております。私は一人ずつ解毒魔法を唱えながら、挨拶を見守るだけ。
(まぁたサマンサの出番か……)
ここで北部の侯爵令嬢サマンサの順番となった。
サマンサに対しては解毒魔法を使えない。なぜなら彼女はキーマンです。
セシルが現れた世界線において、彼女の手袋に塗られた猛毒を指摘することが王子殿下の登場に繋がっていたのですから。
(トラウマでもあるよね……)
前世界線においてサマンサは指摘から逃れていたのです。それはコンラッドが執事をしていた世界線でしたが、生憎とこの世界線もコンラッドが執事であったりします。
味方ではあっても、同じ結果になる要素であることは間違いありません。
(頼むわよ……)
私は意を決してサマンサの腕を掴みます。
青ざめるサマンサを見る限り、やはり手袋には猛毒が塗られている。
確信した私は声を張って、会場中にその事実を伝えるだけです。
「貴方、猛毒を塗った手袋をしてますわね!? そのような手でイセリナ様に触れようとするなど許されることだと思って!?」
できるだけ騒ぎを大きくするの。
聞きつけたセシルが来てくれるようにと。
「な、何を根拠にそのようなことを仰るのでしょう!?」
サマンサも必死です。切り捨てられる要員に選ばれたというのに、彼女もまた声を張っています。
「ならば、その手袋のまま、ご自身の顔を触ってくださいな? それができるのでしたら、私は土下座をして謝罪しますわ。お望みなら自害しても構いません」
強気に返すだけだ。厚手の手袋をしているのだから、絶対に毒が塗ってある。
あとは彼女の味方が現れないことを願うしかありません。
パーティーの開始前でありましたが、会場はどよめいています。
(さて、ここからよね……)
一瞬のあと、会場は益々騒々しくなっていました。
その理由は明々白々。私ですら予想していない展開となっていたのです。
「アナ、君はどこでも騒ぎを起こすんだな……」
近衛騎士団長を引き連れ現れた少年。見紛うはずもない。
さりとて、この場所に一度として現れたことのない人物がそこにいました。
どうしてルークがここに?――。
とりあえず執事のコンラッドは仮の仕事へと戻り、私たちはゲームでお馴染みの三人となりました。
悪役令嬢と取り巻き二人でありましたが、不安などありません。充分な準備は自信へと繋がっていたのです。
イセリナが現れると、やはり挨拶に群がるのはご令嬢たちでした。
まあしかし、今回は雑魚の相手をしないと決めております。私は一人ずつ解毒魔法を唱えながら、挨拶を見守るだけ。
(まぁたサマンサの出番か……)
ここで北部の侯爵令嬢サマンサの順番となった。
サマンサに対しては解毒魔法を使えない。なぜなら彼女はキーマンです。
セシルが現れた世界線において、彼女の手袋に塗られた猛毒を指摘することが王子殿下の登場に繋がっていたのですから。
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前世界線においてサマンサは指摘から逃れていたのです。それはコンラッドが執事をしていた世界線でしたが、生憎とこの世界線もコンラッドが執事であったりします。
味方ではあっても、同じ結果になる要素であることは間違いありません。
(頼むわよ……)
私は意を決してサマンサの腕を掴みます。
青ざめるサマンサを見る限り、やはり手袋には猛毒が塗られている。
確信した私は声を張って、会場中にその事実を伝えるだけです。
「貴方、猛毒を塗った手袋をしてますわね!? そのような手でイセリナ様に触れようとするなど許されることだと思って!?」
できるだけ騒ぎを大きくするの。
聞きつけたセシルが来てくれるようにと。
「な、何を根拠にそのようなことを仰るのでしょう!?」
サマンサも必死です。切り捨てられる要員に選ばれたというのに、彼女もまた声を張っています。
「ならば、その手袋のまま、ご自身の顔を触ってくださいな? それができるのでしたら、私は土下座をして謝罪しますわ。お望みなら自害しても構いません」
強気に返すだけだ。厚手の手袋をしているのだから、絶対に毒が塗ってある。
あとは彼女の味方が現れないことを願うしかありません。
パーティーの開始前でありましたが、会場はどよめいています。
(さて、ここからよね……)
一瞬のあと、会場は益々騒々しくなっていました。
その理由は明々白々。私ですら予想していない展開となっていたのです。
「アナ、君はどこでも騒ぎを起こすんだな……」
近衛騎士団長を引き連れ現れた少年。見紛うはずもない。
さりとて、この場所に一度として現れたことのない人物がそこにいました。
どうしてルークがここに?――。
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