青き薔薇の悪役令嬢はその愛に溺れたい ~取り巻きモブとして二度目の転生を命じられたとしても~

坂森大我

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第二章 繰り返す時間軸

再び訪れる誕生パーティー

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 死に戻りの人生も再び十四歳となっていました。

 私はやるべきことを的確にこなしています。

 オリビアとの邂逅や、彼女への指示。果てにはコンラッドをリッチモンド公爵家に入り込ませるようにと。

「イセリナ、そろそろ出発しなければなりません」

 いよいよデンバー侯爵家へと旅立つとき。今宵行われるキャサリンの誕生パーティーイベントに向かうべきときであります。

「アナ、ワタクシはまだ死にたくありませんわ」

「私がどれだけ裏で動いたと思うの? もう完璧よ。イセリナはパーティーの主役であり、途中退場などさせないから」

 正直にランカスタ公爵家へと入り込んだのは英断でした。

 充分な準備ができたと思う。確実にリッチモンド公爵家を廃爵とするだけの準備が成されたと疑いなく信じております。

「そう、ならば向かいましょうか。本日でリッチモンド公爵家は終わるのでしょう?」

「愚問です。まあそれは王家の役目。市中引き回しの末、火刑に処されるほどの罪を負うことになるでしょう」

 王子殿下の暗殺など許されるはずがない。たとえそれが第三王子であろうとも。

 加えて決定的な証拠があるのならば、弁明など無駄なことです。

(言い逃れとか許さないわ……)

 私は愛について考えるよりも悪の道を選んだのよ。

 後悔はしたくないし、唯一の正解を選択したのだと信じている。

(私に敵対したことを地獄で後悔すればいい)

 捏造した証拠を突きつけ、前世では取り逃したリッチモンド公爵家を廃爵とするのよ。

 前世からの恨みを全て今世の貴方が請け負うがいいわ。

 私はイセリナを安心させるべく、確信めいた言葉を並べている。

 リッチモンド公爵は今宵限りの権力者ですから――と。
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