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第一章 前世と今世と

昏倒したあと

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 ふと私は意識を戻していました。

 またもや見慣れた天井かと思いきや、どうしてか子爵家だとは思えない豪華な装飾が施された天井を見ています。

「知らない天井ってか……」

 思わずオタクムーブしている私ですが、とりあえず現状を把握できています。

 なぜなら私はこの天井を知っていたから。

「ここは王宮殿ね……」

 王宮殿とはソレスティア王城内にある王族の居住棟でした。かつて私は住んでいたのです。見間違うはずもありません。

 前世イセリナが没してから累計で三十八年。三度のリスタートを経験しつつ、どうしてか私は再び王宮殿へと戻って来ました。

 明らかにレグスルートから脱線していたにもかかわらず。

「あ、お気付きになられましたか!?」

 どうやら一人ではなかったらしい。

 メイドを付けてくれていたようで、目覚めた私に彼女は声をかけてくれる。

 いや、ちょっと待って! 知らない天井とか呟いちゃったけど……。

「えっと、今は何日でしょうか?」

「アナスタシア様は三日間眠り続けていらっしゃったのです! 直ぐにお食事の用意をさせていただきます!」

 深々と頭を下げるや、メイドは部屋を出て行った。

 聞きたいことは他にもあったのだけど、まあお腹が空いているのも事実だわ。腹が減ってはってね。

「しかし、ルークは子爵令嬢をわざわざ王宮殿まで運んでくれたのね……」

 流石に放置はしないだろうけど、まさか王宮殿に連れてくるなんて意外だわ。

 治療目的なら他にも宿泊施設があるのだし、今の私は青き薔薇のイセリナではない。

 イセリナの取り巻きであったモブ2号に他ならないのだから。

「これからどうしよう……」

 念願の王城まで到達した私。しかし、問題がないわけではありません。

 ミスリルの採掘はある程度済ませていたけれど、この世界線において私はイセリナと接点を持たない。

 鉱山を髭に売り払うイベントをこなしていないのです。

「まあ、このまま王城に留まれるはずもないか……」

 王子殿下を守ったのだから、少しくらいは褒美をいただけることでしょう。

 だけど、白金貨単位にはならないはず。何しろ私は貴重な竜種の素材を鱗すら残さず消し去っていたのですから。

「やっぱ髭にお小遣いをもらうしかないね……」

 貴族院に入って、王家と接触すべく準備するにはお金が少なからず必要です。

 美しいドレスや煌びやかな宝石も社交界には必須なのだし。

「とりあえず、この機会にセシルと会っておきたいなぁ」

 せっかく王城まで辿り着いたのですから、今世の攻略対象である第三王子セシルと顔合わせくらいはしておきたいところだよね。

 しばらくするとメイドが戻ってきました。彼女は料理を載せた台車を押して、ベッドの直ぐ脇にまで来てくれる。

 重い身体を起こしながら、私はベッドから降りようとするのだけど、

「ああ、そのままで結構です! 無理をなさってはなりません!」

 直ぐさま制止されてしまう。

 まるでお姫様に戻ったかのようです。四十年近くが経過し、完全に忘れていました。

 何もしなくていいのがお姫様。病で伏せっていたわけでもないのだけど、私は口を開くだけで食べさせてもらえます。

(恐縮だけど、甘えておきましょうかね)

 アルティメットモードにおけるささやかな休息としてメイドの厚意を受けようと思う。

 食事が終わったあと、メイドは片付けをしながら問いを投げています。

「アナスタシア様、医師の診察後となるのですけれど、夜は晩餐が開かれる予定となっております。お身体の調子が悪いようでしたら、お伝えくださいまし」

 え? 本当に? 子爵令嬢如きに晩餐会が開かれるってマジなの?

 そりゃあ、願ったり叶ったりだけど、流石に気後れしてしまうね。

「どのような方々が参加されるのでしょう?」

「王宮殿で催されますので、大袈裟なものではないみたいですよ? 国王様、王妃様、あとはルーク王子殿下にセシル王子殿下とシャルロット王女殿下でございます」

 おおう、王族勢揃いですか。充分に大袈裟だっつーの。

 前世では全員顔見知りだけど、アナスタシアでは初めてだわ。何だか緊張してしまうよね……。

「承知しました。ただの魔力切れですし、平気ですわ」

 ぶっちゃけ前回の昏倒時も目が覚めるや、私は動き始めていたのだけど。

 重労働でもない食事会ならば、今すぐにだっていけちゃいます。

「それでは後ほどお伺いいたします」

 このあと私は医師による診察を受け、身体に異常がないことを確認。

 メイドが再びやって来るまで寝て過ごすことにしました。

(この世界線はどうなってんの?)

 ふと思う。最初から違和感があったのだけど、冷静に考えると現状は私の知る世界線ではありません。

 未知なるルートに入り込んでしまったとしか考えられないものです。

(あんなメイドいたかしら?)

 些細なことかもしれない。しかし、王宮殿に住んでいた私が知らないのです。

 レグスルートに決めたときから、世界線は動き始めているのかも。私が知らない世界線へと入った可能性が高い。


 夕方になって、メイドが戻ってきました。

 今回は大量の衣装ケースを持ち込み、私に似合うドレスを選んでくれています。

「懐かしいな……」

「はい? 何か仰りましたか?」

「ああいえ、こちらのことよ! ありがとう、ミーシャ」

 メイドはミーシャという准男爵家のご令嬢らしい。

 基本的に所領を持たない下位貴族は王家に仕えるなどして生計を立てています。

(イセリナだった時代を思い出しちゃうな……)

 命を狙われる以外は不自由のない暮らし。

 お金で苦労しないなんて、アナスタシアからすると明確にチート。現在の私は選ぶほどの衣装すら持っていないのですから。

(やっぱ、こうなるのか……)

 ミーシャの見立てたドレスは髪色に合わせたのか、薄い桃色をしたシンプルなものでした。

 やはりアナスタシアは可愛い系みたい。

 既にファニーピッグではなかったけれど、他者から受ける印象は同じなのかもしれません。

 まあ十二歳であるのだし、今はこれでいいよ。

 威圧的なディープブルーのドレスを選ぶほど、私は盲目的に動いているわけじゃないし。


 ミーシャに案内され、私は晩餐会が開かれるという部屋へと通されています。

(この部屋なら本当にこぢんまりとした会だろうな……)

 単に私をもてなすだけ。王国の重鎮が集うなどあり得ない小さな貴賓室であったのですから。

 ミーシャが扉を開くと、私はドレスの裾を上げて軽く挨拶。そのままゆっくりと歩いてシャルロット王女殿下の隣へと向かう。

 即座に椅子が引かれるけれど、まずはガゼル王に挨拶しなければなりません。

「ガゼル陛下、このような過ぎた会を催していただいたこと、身に余る栄誉に存じます」

 田舎貴族らしくない好待遇だといえる。

 正直に褒美を下賜されるくらいだと考えていました。

 食事会が催される理由は火竜の討伐だけでなく、王子殿下を守ったという意味合いに違いありません。

「よい。我も感謝しておるのだ。アナスタシア、其方の勇気ある行動と、貴族令嬢らしくない武勇伝は言葉を幾つ並べようと称賛しきれぬ。まさかスカーレット子爵に有能な娘がいたとは思いもせんかった。今宵は無礼講としようじゃないか」

 私は苦笑いを浮かべている。

 何しろ貴族令嬢らしくないと言われてしまったのです。

 この席にはターゲットであるセシル王子殿下もいらっしゃるというのに。

(まあ、事実だし……)

 一通りのコース料理を食べ終えた頃、ガゼル王がパンと手を叩く。

 すると、使用人たちは全員が静かに退出していきました。

 私が不思議がっていると、対面に座るルークが声をかけてきます。

「アナスタシア、俺は正直に驚いたし、助けられたと思ってる。君があの場面で現れてくれなければ、俺は確実に死んでいただろう」

 ルークは私に頭を下げました。

 恐らく王様には事前に伝えていたのでしょう。だからこそ、使用人たちの退出を促したはずです。

「ああいえ、少しばかり魔法を嗜む程度ですわ」

 セシル殿下の手前、自慢げに語るわけにもなりません。

 それよりも失った淑女というイメージを植え付けなきゃいけないのです。しかし、ルークは私の思惑とは異なる話を続けてしまう。

「いや凄かったよ。近衛魔道士隊でもあれほどの魔法は使えないぞ? 何しろ火竜二頭を木っ端微塵にしてしまったんだからな! 凄く格好良かった!」

 ルーク、やめてくれない?

 これ以上、私の邪魔をしないでくれるかしら?
 
(格好いいとか令嬢に対する褒め言葉じゃないっての……)

 セシルはただでさえ気弱な王子様なのに、凶暴な女アピールなんて求めていないのよ。

「私が習得する最大魔法なのですわ。魔力枯渇によって三日も意識を失ってしまいました。か弱い私には過ぎた魔法ですの……」

「アナ、謙遜するなよ? 魔法だけじゃなく、君は肝も据わっている。火竜が襲ってくるというのに、堂々と戦いを選択できるのだからな! いや、本当に格好良かった!」

 本当に勘弁してくれませんか?

 そして、さりげなく愛称で呼ぶんじゃない。

 肝が据わるって令嬢に対する言葉か!?

「アナスタシア様、凄いです!」

 ほら、セシルが奇異の目で私を見てるじゃん。

 これなら面識を持たない方が良かったまで考えられるわ。

「ふはは、ルークはあれからずっとこうなのだ。アナスタシアは凄いと言い続けておる。この会もルークの提案なのだよ。アナスタシア嬢、ルークは君に気があるだけで、悪気があるわけじゃない」

「ち、父上!?」

 あれ? 何だか私が想像していた世界線じゃなくない?

 ガゼル王の話にルークは顔を真っ赤にしている。

 ジョークとして聞き流せなかったのか、彼は取り繕うように言葉を続けた。

「俺は命を救われたんだ! アナに爵位を上げてください。王城に留まれるほどの……」

 ちょっと待って! ここは冷静になろうよ、ルーク!

 火竜の巣では会話なんて殆どなかったでしょ?

 なのに、どうして君はそんなにも顔を紅潮させて、反応を気にするような視線を私に向けるのです?

(これは……マズい)

 なぜかは分かりませんが、どうも私はルークのフラグを立ててしまったようです。

 この状況を私は知っています。

 前世ではなく、更に前の人生における経験。乙女ゲームBlueRoseでの記憶が私に確信させていました。

 何しろ、この晩餐会は主人公エリカが王家と親密な関係になるイベントと酷似していたのです。

 平民であったエリカは聖女としての名声を高め、遂には一代貴族として認められる。

 このこぢんまりとした晩餐会はゲームの記憶を彷彿と蘇らせていました。

「ままま、待ってください! 私は子爵令嬢なのです。過ぎた身分をいただく必要はございませんし、そのような厚遇を受ける理由もありませんわ!」

 私は世界線を動かさねばならない。間違ってもルークルートへ入るわけにはならないのです。

 陞爵したとして伯爵令嬢。第一王子殿下の相手として相応しくなく、結果として妾になる未来しかありません。

 エリカのように聖女認定でもなければ、私が王妃となる未来などあり得ない。加えてイセリナが第三王子セシルで妥協するとは思えないのです。

「わはは、そんなに謙遜するな。アナスタシア、君は我が国の懸念であった火竜を討伐しただけでなく、ルークを守ったのだ。それに怒り狂った火竜が王国を滅ぼしたとしてもおかしくはなかったと、レグスが話していたぞ? 褒美だけで済ますのはセントローゼス王家の名折れ。スカーレット子爵家は伯爵家へと陞爵させよう。アナスタシア嬢には近衛魔道士長を任命しようと考えておる」

 ぴぇええ……。明言しないでくれませんかね?

 今はオフレコだけど、貴方様が口にすると私は断れないのですよ。

 それこそ謹んでお受けしますとしか答えられないじゃない?

 返答に困っている私の側へ、どうしてかルークがやって来ました。

「アナ、ずっと王城にいてくれないか?」

 ゴクリと息を呑む。

 えっと、どうして世界線はこうなっちゃったの?

 アマンダ、早くレジュームポイントまで戻しなさいよ! 絶対にこれは終末を迎える世界線だわ。

 赤子からやり直してあげるから、さっさと戻しなさいって!

「アナスタシア様、僕もお城にいて欲しいです! どうかお願いします!」

 セシルもまた私が王城に残ることを望んでいるみたい。

 どうやらセシルの存在が、この世界線をかろうじて繋ぎとめている理由ではないでしょうか。

(どうしろってんのよ……?)

 セシルに望まれるのは計画通りだけど、過剰に向けられるルークの想いが私を躊躇させていました。

「私は無作法で貴族令嬢らしくありません。私などが王城勤めをしてしまえば、それこそ王家の名折れとなります。ですので、有り難いお話ですけれど、ここだけの話ということでお願いいたします」

 私は頭を下げていた。セシルだけでなく、集まった王家の面々に。

 きっと、この世界線はリセットされるだろう。

 色々と誤った選択をしてしまったお詫びを兼ねて、どうか謝罪させてください。

「アナスタシア嬢、君は本当にできた娘だ。とてもルークと同い年とは思えん。シャルロットの教育係も任せたいと考えておるのだ。それとも儂がこれだけ頼んだとして、君は顔を横に振るのかね?」

 王様の話に私は長い息を吐いた。それはもう脅迫ですよ、王様……。

 王様にここまで言わせてしまったのなら、もう私に断る術はありません。

 小さく息を吐きながら、私は頷きを返します。

 どうせこの世界線は長くない。ならば、もうどうにでもなれと言った風に。

「謹んでお受け致しますわ。それで、私は愛馬を山頂に残したままなのです。申し訳ございませんが、このあと所領へと戻りたいと考えております」

 既に情報収集する気にもなれない。

 この世界線は過度に変動した未来なんだもの。行き詰まった世界線の情報など混乱の原因になるだけです。

 であれば、さっさと王城から立ち去るのみ。

「うむむ、何とも勇ましいな? レグスが気に入るわけだ。とりあえず、馬を繋いだ場所までは送らせてくれ」

 歩いて戻る羽目になるならば、その申し出は受けた方が賢明です。

 どうせ、そのうちにレジュームポイントまで戻されるでしょう。アナスタシアとルークが結ばれる未来など、アマンダは予定していないのですから。

 私は軽い気持ちで王様の話に了承していました。
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